104)4. 英語アウトプット方法: 2007年6月アーカイブ

英語をモノにする為には大量の英語を吸収し、大量の英語を使わなければなりません。「使う」ということに関しては「教師主導型」だけでは十分な量が確保できないと思うのです。

例えば日本の英会話スクールでは、教師1人に対して1~6人くらいの生徒で会話をする、プライベートレッスンやセミプライベートレッスンが主流です。これは「教師主導型」の発想だと思います。生徒は先生(多くの場合ネイティブスピーカー)と英語を話しに行くわけです。

しかし、この方法では十分な英語を使う機会は確保できません。なぜなら教師をその時間拘束するわけですからそこにはかなりのコストがかかってくるからです。

結局、このレッスンを受けられるのは週に1、2時間程度が限度ということになってしまいます。しかし、このくらいの量では英語はなかなか使えるようになりません。アウトプットの量が少なすぎるからです。

ではどうしたら良いのでしょうか?コストをかけずに英語をたくさん話す方法はないのでしょうか?

英語をたくさん話させる為の良い方法があります。教師(ネイティブスピーカー)と話すことにこだわらずに他の日本人の生徒と英語を話せばよいのです。話す相手を教師に限らなければ、英語を話す機会は何倍にも増えます。これは「生徒主導型」の発想です。

私達の学校が校内を日本語禁止にして英語のみを使わせているのはその為です。授業中はもちろん、休み時間の会話や、遅刻や欠席の電話連絡もすべて英語です。その上、カリキュラムにプロジェクトワークという英語のグループ活動が組み込まれていますから、生徒はいろいろな形で英語を使わなければならないようにできています。

プロジェクトワークの準備の為に、授業以外にも生徒同士が集まって英語のミーティングを開くことも多いのですが、これは生徒同士で話すわけですから教師に対しかかるコストはゼロです。

おそらく、かけたコストに対して得られた「英語を使う機会」の量は、私達の学校の生徒は他の英会話スクールの生徒の10倍以上になると思います。

英語学習は量が大切です。私は日本で英語を使う機会を十分確保する為にはこの「生徒主導型」を使う以外にないと思うのです。

日本人同士で英語を話すことに抵抗があるのは英語をインプットすることと、アウトプットすることを同時にやるという発想から抜けられないからだと思います。英語はネイティブスピーカーと話しながら覚えるものだという先入観がどうしても邪魔をするのです。しかし私はインプットとアウトプットは切り離してやった方が効率がいいと思います。

インプットはネイティブスピーカーが録音したテープやCDがいくらでもあるのですから、一人でもできます。テープを止めながらネイティブスピーカーの話している正しい英語とできうるかぎり近い発音で言えるように口を使って何度も言いながら確実に覚えていきます。必要なのは自分でインプットした英語が正しいかどうかをチェックしてくれる先生だけです。

一方英語のアウトプットには相手がどうしても必要です。そこでどうやったら費用をかけずにたくさん英語を使えるかを考えなければなりません。ネイティブスブスピーカーと話すことだけにこだわると十分なアウトプットの量が確保できません。

アウトプットに関して大切なのはとにかく量をこなすことです。私が強調したいのは高い授業量を払って英会話学校でネイティブスピーカーと話すより、日本人同士でおたがいに英語を使ったほうが費用的にもずっと安く大量の英語を使うことができるということなのです

英語は読んだり、聞けたりするのに、話すことがダメだという方が多いようなのでその原因について考えてみたいと思います。

まず語彙にはpassive vocabulary と active vocabulary があることをご存知でしょうか?

passive vocabularyは、聞いたり、読んだりするとわかる表現のことです。

active vocabularyは、話したり、書いたりする時に使える表現を言います。

passive vocabulary は active vocabulary より多いのが普通です。これは母国語である日本語の場合にもあてはまりますが、外国語の場合はこの差が母国語より開いてしまうことが多いのです。

 「英語は聞いたり、読んだりすることはかなりできるようになったのに話したり、書いたりしようと思うとなかなか出てこない。」という方はこの差が大きい方です。

こうした方はかなり上級者の方でもいらっしゃるようです。 そういう方はガイド試験や英検1級の一次試験はパスできるのですが2次の面接試験がどうしても合格できなくて苦労します。 TOEICでは900点とれているのにスピーキングは全然ダメという方もいます。 こうした方はpassive vocabularyは豊富なのにactive vocabulary が少ないのだと思います。

では active vocabulary を増やすためにはどうしたら良いのでしょうか? 私がこうした方にアドバイスしているのは

1.英語をきちんと覚えること

 2.英語を使う機会をたくさん持つことです。

英語を大量に聞いたり,読んだりしていくと英語に慣れますからpassive vocabulary を増やすことはできます。しかし、active vocabulary として使えるようになるには、そうしたあいまいなレベルの記憶では十分ではありません。 適切な表現がとっさに口をついて出てくる為には、そのきまり文句を完全に暗記していつでも使えるようになっていなければなりません。私は「石につまづいても出てくる表現」などと言っています。

完全に暗記したってなかなか使えるようになれないのですから、うろ覚えの表現などというのは使えるわけがありません。 英語がなかなかでてこない人はこうした「きちんと英語を覚えていく訓練」が足りないのではないかと思うのです。

それからもう1つ大切なのは英語を使う機会をできるだけ多く持つことです。英語が使えるようになる為には必ずどこかでその表現を使ってみる体験をしなければなりません。覚えるだけでは使えるようになれないのです。

したがってなんとか英語を使う機会を作らなければいけません。英語で日記をつけるとか、英語のチャットに参加するとか、友達と英語で話をするとか、とにかく自分で工夫して、英語をアウトプットする機会を確保しなければいけません。

私達の学校の生徒さんは英語で話すのがあたりまえですから、英語を使うということに関しては慣れています。ですからpassive vocabulary と active vocabularyのギャップが少ないのです。

一度どこかで使ったものは、次の機会にも使えますから、いろいろな英語を使う機会を多くもてばもつほど、使える英語の表現も増えていきます。

Q.パターンプラクティスとコミュニカティブアプローチなど、興味深く読みました。 1カ所少し気になった部分があります。 パターンプラクティスは稲垣様もおっしゃっているように機械的で苦痛なため多くの人が挫折しやすい方法だと思いますが、テープと本だけ購入すれば大量に練習できるという点では非常に優れていると思います。

また、「練習の時は間違えなく話せても、実際に英語を自分で考えて話す時になると英語がスムーズに出てこなかったりすることでしょう。置き換え練習ができるということと、自分で英語が話せるということとはやはり違ったところがあります。」とありますが、私のスピーキング力はあまり高くないので見当違いの反論になるかもしれませんが、私の感覚ではこれはないと思います。パターンプラクティスは置き換え練習を繰り返すことで基本構文パターンを身につける練習でして、身に付いた基本構文は実際の会話においても使えていると感じております。

A.ご指摘のようにパターンプラクティスは、誰でも簡単に練習できるところが長所です。私もパターンプラクティスでスピーキング力が向上することは異論がありません。

私が言いたいのはパラーンプラクティスで練習した後、実際に英語でコミュニケーションすることもしなけばいけないのではないかということです。 パターンプラクティスはテニスで言えば壁打ちのようなものだと思います。つまりパターンプラクティスは相手がいないのです。ボールを打つ練習はできますが、これだけでは試合にはのぞめません。やはり私は壁打ちで十分練習した後、実際に誰かを相手に実践練習をすることがどうしても必要だと思うのです。

誰かを相手に試合をすると、相手とのかけひきや、臨機応変な対応が必要になってきます。機械的でない、クリエイティブな部分がでてきます。これは壁打ち練習だけではできないことだと思います。 そしてこの「相手とのコミュニケーション」というのが、言語を学ぶ本質的な楽しさだと思うのです。

「ネイティブスピーカーと話すと正しい英語になって、日本人と話すとブロークンイングリッシュになる」という人がいますが、本当にそうでしょうか?

私は日本人と話そうとネイティブスピーカーと話そうと、正しい英語を正確な発音で覚えていかないと正しい英語で話せるようになるとは思いません。それを証拠にアメリカに長く住んでいてアメリカ人と話す機会が多い日本人でもひどい英語しか話せない日本人はたくさんいます。

逆に日本にいても正しい英語をきちんとインプットしていけば正しい英語を話せるようになれるのです。 私達の学校では生徒さんに正しい英語を大量に覚えさせているので、最初はブロークンイングリッシュしか話せなくてもだんだん正しい英語が使えるようになっています。

もちろん頭の中に英語が十分蓄積されていないうちは英語を話そうとすると間違えます。しかし、それは話す相手が誰であろうとやはり同じように間違えてしまうのです。日本人と話すとブロークンイングリッシュになってネイティブと話すとすばらしい英語を話すようになると考えるのは幻想にすぎません。

英語をモノにする為には英語を実際に使う機会が絶対に必要です。この「使う」というのはテキストを見ながら会話の練習をしたり置き換え練習などのパターンプラクティスをすることではなく実際に何らかの目的の為に英語を聞いたり、読んだり、書いたり、話したりすることを言います。   

他の英会話学校もこの英語を使う環境の必要性に気づいていて、その為にラウンジと称したスペースを設けて、授業以外の時間にネイティブスピーカーとそこで話させるという方法をとっているところも多いようです。しかしこの方法はいくつかの点で問題があり効果的ではありません。

1.雑談は実際には難しく話題にも限界がある。   

例えばネイティブスピーカーをラウンジに一人置いて生徒が5人くらい雑談するとします。一見簡単そうで誰にでもできそうに見えますがこれを本当に効果的なものにするのは実際にはかなり難しく、教師に相当な力量が必要なのです。教師は毎回違った話題を提供しなければなりませんしその為に相当な準備も必要です、またレベルの違った生徒達一人一人に平等に話させる技術もなければなりません。ただソファとテーブルを置いて外国のポスターを貼ってそこらへんに歩いているネイティブスピーカーを置いておけばうまくいくようなものではないのです。

 2. コストがかかる   

結局ラウンジ方式を成功させる為にはある程度優秀なネイティブスピーカーを採用し、ラウンジに居る時間に対してもクラスを教えるのと同じような賃金を払わなくてはならないということです。これには当然コストがかかり生徒はこれを負担しなければなりません。授業料を支払ってラウンジに入るのではクラスと同じことになります。   

以上のような理由から、英会話学校が無料で優秀なネイティブを長時間ラウンジにおいておくのは実際には相当に難しいことなのです。多くの英会話学校のラウンジが結局は生徒が日本語で雑談する場になってしまっているのはこの辺に理由があります。   

またよく考えてみればラウンジ形式をとって生徒5人にネイティブが一人入っていても結局は会話のほとんどは日本人同士で英語を話しているわけなので、ネイティブはいてもいなくても大して変わらないことになります。私の学校のように校内日本語禁止にして、生徒同士が英語でしか話せないようにしてしまえばそれですむことだと思います。

「生徒主導型」は、たくさんのアウトプットを確保できのは良いのですが、間違った英語を直す機会が「教師主導型」より少ない点が弱点です。その為「生徒主導型」を使う時は以下の点に注意する必要があります。

 1.十分な英語のインプットの量を確保すること。

十分なインプットがないのに「生徒主導型」を使うと、生徒は自分で英語を作って話すようになります。これは間違った英語をはびこらせるもとになります。これを防ぐためには、アウトプットの傍ら、常に大量の英語をインプットしていくことを怠ってはなりません。

このインプットを確保する為に、私達の学校では、生徒さんに大量の英語を正しい発音で覚えさせています。これを続けていくと、頭の中に正しい英語がたまってきて、だんだん話せる表現が増えてきます。それにともない言えないことが少なくなり、英語で直接言いたい事を正しい表現で思いついてそのまま話せるようになるのです。

また正しい発音で英語をインプットしていきますから、今までのカタカナ発音が、正しい英語の発音に修正されて、発音も向上していきます。

2.よくある間違いを修正する。

生徒が話す英語を聞いていると、よくある間違いに気付きます。私達の学校では、こうした表現を書き出して。生徒がみんな読めるところに掲示してあります。

たとえば生徒は遅刻する時は、学校に電話をかけてその理由を英語で説明しなければいけないのですが、残業しなければならない時に   I have to overwork. という生徒が非常に多いのです。このような場合はoverworkは「働きすぎる」という意味で、「残業する」のは  I have to work overtime.  と言うのだと指摘するわけです。

このように生徒の使う英語に教師が注意を払い、間違いを含んだ表現を指摘して修正しているので、英語が崩れていかないのです。

さて私は英語をアウトプットする方法には2つの大きな流れがあると考えています。私は今までこれをオーディオリンガル的手法とコミュニカティブアプローチ的手法と呼んできましたが、この呼び方は誤解を生むので呼び方を変えてみたいと思います。新しい呼び方は「教師主導型」と「生徒主導型」です。この2つを比較しつつ説明を試みたいと思います。

1.会話の主体

 「教師主導型」は教師と生徒が会話をすることがメインです。会話のリーダーシップは教師がとり、生徒はこれに乗って話す練習をします。

「生徒主導型」は生徒同士が会話をすることがメインです。教師の仕事は生徒同士が会話をする目的を与えることで、あとは生徒がこの目的を利用して自分で話します。

2. 会話の内容

 「教師主導型」は会話で何をどう言うかは教師が決めますが、「生徒主導型」は話す内容をある程度生徒にまかせるやり方です。

3.生徒の英語の「誤り」の直し方

「教師主導型」では生徒が英語の発音や表現を間違えた場合これをすぐ直します。

「生徒主導型」では、コミュニケーションを重視し、生徒が間違えを厳密に直さず会話を続けます。直す場合も相手が誤りに自然に気づくやり方で直します。

 

次に「教師主導型」「生徒主導型」の長所、短所を比較してみたいと思います。

 「教師主導型」の長所はきちんとした英語を教えられるところです。会話のリーダーシップは教師が握っていますから、教えようとする課題をきちんと教える時に役にたちます。

短所は、教師は一人しかいませんから、生徒が話す量が限られてしまうことです。教師が一人の生徒と話している間、他の生徒はそれを聞いていることになります。

 「生徒主導型」の長所は生徒同士を組み合わせて話させますから、いくつもの会話が同時進行的にすすむことになります。したがってそれぞれの生徒が会話する量が増えます。

短所は生徒同士が話しますから、その中で間違えがあってもそれを「教師主導型」ほど厳格に直していくことができません。

私は「生徒主導型」をメインに使いますが同時に「教師主導型」も捨てがたい良さがあるので使っています。私達の学校のカリキュラムにとりいれられているプロジェクトワークというのは「生徒主導型」のやり方です。  

オーディオリンガルとコミュニカティブアプローチを私なりに比較してみると以下のようになります。

まずオーディオリンガルは、文法(structure)ベースの練習なのに対し、コミュニカティブアプローチは 1.状況(situation)ごと、例えば買い物や、道案内や、料理の表現など 2.機能(function)ごと、例えば人にものを頼む、反対の意見を述べるなどのどちらかになります。

私の出したインフォメーションギャップの例は最も単純なものであり、実際はこの上にコミュニケーションにリアリティを持たせ、生徒を「のらせる」さまざまな工夫が加えられなければなりません。これがなかなか一苦労なのですが、最近のテキストには先人が考案した、いろいろなアイディアが載せられているのでそれを使って,自分の教えるクラスの実情に合わせていけば結構うまくいきます。

こうしたコミュニケーションについてのアイディアはやはり日本語教育の教材より英語教育の教材の方が豊富で、私は日本語教師の教育実習をした時には英語教材からそうしたアイディアを拾ってティーチングプランを作っていました。

オーディオリンガルとコミュニカティブアプローチのもう1つの違いは、教師と生徒の関係です。 オーディオリンガルの場合はコミュニケーションは主として教師と生徒の間で行われます。生徒間のコミュニケーションというのはあまりありません。また教師は生徒が誤った英語を使った場合は即、直すべきという考えに立っており、生徒の発音、文法などの間違いをその都度直していきます。

これに対しコミュニカティブアプローチの教材は原則として生徒同士が英語でコミュニケーションする為に作られています。教師は生徒同士が話しているのを聞いて、必要があれば手助けしたり、誤りを直したりしますが、オーディオリンガルのような厳格なチェックはしません。それはコミュニカティブアプローチではお互いに意思の疎通をすることが最も大切で、正確な英語を話すことにこだわった指導をすると、かえって生徒間のコミュニケーションを阻害し良くないと考えられているからです。

Audio Lingual Methodが当初期待されていた効果が得られなかったことから、その後開発された教授法がCommunicative Approachで現在、会話用に作られた教材のかなりのものにこの手法の演習が含まれています。

この手法は「言語は言語を使う必要があって使うものだ」という考えがもとになっており、学習者に英語のコミュニケーションの必要性を人為的に作ってやることにより英語を話させようとするものです。

ここではその中のインフォメーションギャップを利用した会話練習と、ゲーム的要素を含んだ会話練習の例を紹介したいと思います。

これはロングマンから出ているEnglish Firsthandというテキストに出てくるアクティビティーです。 まず二人がペアになります、AさんはシートAを、BさんはシートBを持ちます。それぞれのシートにはPat, Michael, Hee Soon, Dusit, Naomiの5人のhometown, occupation, Age, interestの覧があります。 シートAのPatのhometownの覧は空欄になっていますが、シートBにはSan Franciscoと書かれています。AさんはPatのhometownを知る為にBさんにWhere is Pat from?と聞きます。そしてBさんはAさんにHe is from San Francisco.と答えます。 逆にシートAのPatのoccupationの覧にはstudentと書いてあり、シートBのその覧は空欄になっていますから、今度はBさんがAさんにWhat does he do?と聞き、AさんがBさんにHe is a student.と答えます。このようにお互いに不足する情報を相手に聞いていくということにより、自然に英語を話させていこうというわけです。

次の例は同じテキストに出てくるFind somone whoというゲームです。これは多人数のクラスで使います。 まず生徒にそれぞれ一枚のシートが配られます。シートには Find someone who... と書いてあり、その後 1. who is shy. 2. who has been to China. 3.. who can play the musical instrument. 4. who can do 20 push-ups. 5. who was born in February. 6. who likes mathematics などが書かれています。 生徒はこれにあてはまる人をクラスメートの中から探すわけです。まず最初のクラスメートに、 Are you shy? と聞きます。 もしも答えがYes, I am.なら、その人の名前をシートに書きます。No, I am not.なら他の人のところへ行って同じ質問をするわけです。 この方法でそれぞれの文にあてはまる誰かを探していって、全部の文にあたる人が探せるまで続けます。ヨーイスタートで誰が一番速く探せるか競争させると、クラス中が蜂の巣をつついたように、にぎやかになります。

関連項目 私のおすすめの英語教材 スピーキングをのばす為の教材(アウトプット用)

まずAudio Lingual Methodについて説明します。これはミシガン大学で開発されたのでミシガンメソッドとも呼ばれ、言語学理論に基づく教授法としてかつて一世を風靡したメソッドです。ここではその代表的プラクティスと言えるパターンプラクティスを紹介します。

次のプラクティスは1959年に出版され、今だにロングセラーを続けているアメリカ口語教本(研究社出版)の入門編の中に出てくるプラクティスです。

まず二人の男の子が野球をしている絵をみせ。先生が I play baseball every day.と言って生徒がこれをリピートします。 次に先生がBobと言います。 生徒はIの部分をBobに変えてBob plays baseball every day.と言います。 次に先生がBob and Dick と言います。 生徒はBob and Dick play baseball every day.と言います。 このように I, You, Heと主語を変えたり、baseballをsoccer, tennis, volleyballなどに変える他、先生がQuestionと言うと生徒はDoes Bob play baseball every day?とこれを疑問文に変えたり、Yes,と先生が言えば、Yes, he does. He plays baseball every day.と答えたりもします。

この手法はとにかく矢継ぎ早に正確に指示通りに英語を話させることがポイントです。 私が通学していた中学校ではこのパターンプラクティスが広く使われていました。慣れてくると教師も生徒もよどみなく次から次へと指示通りの英語が話せるようになります。

この方法の良いところはとにかく限られた時間で大量の英語を話させることができる点です。生徒も先生も授業の初めから終わりまでずっと英語を話しっぱなしといった感じです。また生徒が発音や文法を間違えた時はその都度直せますから発音向上や文法のチェックにもなります。

悪いところは練習が機械的で退屈だということです。教師も生徒もまるで自分が英語を話すマシーンになったような気がします。それと、練習の時は間違えなく話せても、実際に英語を自分で考えて話す時になると英語がスムーズに出てこなかったりすることでしょう。置き換え練習ができるということと、自分で英語が話せるということとはやはり違ったところがあります。

これほど単純ではありませんが、ベルリッツなどで使われている、教師が矢継ぎ早に英語で質問を発し次々と生徒がそれに答えていく手法はこの方法の延長線上にあるものと言えます。

英語が使えるようになる為にはインプットだけでは足りません。アウトプットすなわち英語を使う練習が必要なのです。

英語をインプットしていけば、その英語は聞いたり、読んだりした時にわかるようにはなります。しかし、それを話したり、書いたりできるようになる為にはその英語を実際に使うという経験が必要なのです。 そこでこれからは「いかに英語を使わせるか?」というアウトプットの方法について説明していきたいと思います。

教室の中で英語を使わせる方法としては大きくAudio Lingual的な方法とCommunicative Approach的な方法があります。現在ではCommunicative Approach的な手法が主流です。

私の学校で使われているプロジェクトワークもcommunicative Approachの延長上にあるやり方です。ここでは典型的なAudio LingualとCommunicative Approachのexerciseを簡単に紹介した後プロジェクトワークとドラマメソッドについて説明していきます。

カテゴリ

このサイトを購読する

月別アーカイブ

2008年3月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

RSS登録

  • My Yahoo!に追加
  • Add to Googleに登録
  • はてなRSSに登録
  • ivedoorリーダーに登録
  • エキサイトリーダーに登録

タグクラウド