101)16-01. 人の性格はどのように形成されるか?

| コメント(0)

Q.予告された「3.英語コンプレックスの克服法」を読むのを楽しみにしておる一人なんですが・・・。(^^;;

今、僕の姪はハイティーンなんですが、彼女が言葉を機関銃の銃弾を発射するように使いだした頃、つまり3-5歳の頃のことをよく覚えています。

そりゃ、独演会でして、今日保育園で覚えたり体験したりすることを一生懸命話すわけです。むろん語彙力も表現力も限られているのですが、その早いこと、早いこと、大変なスピードで、話したものです。

ところが、今彼女は非常に人見知りして、口数も少なくなりました。幼い頃の彼女と今の彼女の差に驚くばかりです。 幼い頃は一種の躁状態であるのでしょう。

「耳からはじめる!英会話入門」にも書いてあったようですが、子どもが言葉を覚える過程というか、そこには明らかに、言葉に対する「コンプレックス」がないのであって、そういう状態が上の姪の例でもわかりますように、言葉を使う上でかなり好ましい状態であるとしたら、積極的に英語が口から出ない人を、そういう良い状態にする方法というものは、可能だと思われますか。 
 

A.私は大学では、教育学をメインに、社会心理学、教育心理学、カウンセリング、英語学などを広く浅く学びました。その中でも興味を持って勉強したのが、「人の性格はどのように形成されるか」という点です。

また大学院ではドラマやアクティングの中で「自分の演じる役をどのように作っていくか」という「役の性格分析」をやらされました。

役者はさまざまな性格のキャラクターを演じなければなりませんから「人の性格」ということを深く理解しないと、表面的な役作りに終わってしまう危険があるからです。

性格というのは、もちろん生まれつきのものもあります。しかし同時に成長していく過程で形成されていく部分もあると思うのです。

姪御さんが幼児のころおしゃべりだったのに、今は口数が少なくなったのは成長過程でそうした変化を生んだなんらかの働きかけが外部からあったのだと思います。

人の性格にはいろいろなものが影響を与えますが、家庭環境やどのような社会文化で育ってきたかということが大きいと思います。

そこで「環境が人の性格に与える影響」と「それが言語習得に与える影響」について、私の考える仮説を少し述べてみたいと思います。

カウンセリングの手法の1つに交流分析というのがあります。人はみな自分の中に「子供(Child)」「大人(Adult)」「親(Parent)」という3つの部分を持ちこれを適宜使い分けているというのです。

「子供」は人が生まれながらに持っている天真欄満な部分です。これが出ている時は他人のことなど気にせず自分をどんどん主張し、開放していこうとします。

「大人」は一定のルールにしたがって冷静に何が正しくて、何が悪いのかを判断し、この判断にもとづき行動しようとする部分です。これが出ている時は感情が抑えられ、規範にそった行動がとられます。

「親」は母親が子供をかわいく思い、守ってあげようとする部分です。人に同情したり、動物をかわいがったりする時もこの部分が出てきます。

幼児は基本的には「子供」の部分しか持っていませんから、子供はみな天真爛漫です。幼児向けの番組の歌のおねえさん、おにいさんなどもこの子供の部分が前面に出ています。そうでなければ子供に好かれないでしょう。

姪御さんが、おしゃべりだった時もおそらくこの子供の部分が出ていたのだと思います。 しかし、子供は成長する過程でいろいろなことを習います。

特に母親の影響は絶大です。親は「あれをしてはいけない、こうしなければいけない」と規範を教えていくわけです。こうして幼児の中にも「大人」の部分がだんだん形成されてきます。

親が幼児の言うことを、「うんうんそうだね」「ひろちゃん、すごいね」などと幼児の子供の部分を受け入れていくタイプだと、幼児の「子供」の部分は広がり、天真爛漫な性格になりやすいです。

反面、接し方が子供の言うことにあまり興味を示さず、逆に「そんなことしちゃダメでしょう」と言うようなことが多いと幼児の「子供」の部分は減退し内気な、あまり発言しない性格になる傾向があると思います。

  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Google Bookmarksに登録
  • はてなブックマークに登録
  • del.icio.usに登録
  • livedoorクリップに登録
  • Saafブックマークに登録
  • Buzzurl(バザール)に登録

関連記事

116)16-08 自己主張は訓練が必要
日本人は「内から押しだす力=自己主張」が弱いというお話をしました。私は自己主張...
116)16-07.インプットは正確に、アウトプットは大胆に
「発音や表現の正確さにこだわりすぎるのは得策ではない」と言うと「では日本人英語...
116)16-07.インプットは正確に、アウトプットは大胆に
「発音や表現の正確さにこだわりすぎるのは得策ではない」と言うと「では日本人英語...
116)16-06.英語を話す人は英語の間違いにこだわるか?
では、英語を話す人達は英語の誤りや発音の良し悪しにこだわるのでしょうか? もち...
116)16-05.なぜ心が萎縮してしまうのか?
日本人が英語を話す時、心が萎縮してしまう理由にはいろいろなものが考えられます。...
116)16-04. 外から引き出す力、内から押し出す力
Q.英語を効果的に身につけるために、学習者の精神面がとても大切なことは、ご丁寧...
116)16-03教師は生徒にどう接するべきか
もし「言語習得には天真欄満さが必要ではないか」で説明した仮説が正しいとすると、...
116)16-02 言語習得には天真欄満さが必要ではないか
私は言語の習得(言語を自然に学ぶ方法)[英語のインプットのところで説明しました...
101)16-01. 人の性格はどのように形成されるか?
Q.予告された「3.英語コンプレックスの克服法」を読むのを楽しみにしておる一人...

コメントする

カテゴリ

このサイトを購読する

月別アーカイブ

2008年3月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

RSS登録

  • My Yahoo!に追加
  • Add to Googleに登録
  • はてなRSSに登録
  • ivedoorリーダーに登録
  • エキサイトリーダーに登録

タグクラウド