121)21-05.シーンごとの状況を考える
さて、幹の部分が書き終わったところで枝の部分に移ります。枝の部分にあたるのは各シーンの状況(situation)です。
各シーンには必ず状況があります。状況は場所、時、登場人物、そして登場人物が何をしようとしているのかという4つの部分から構成されます。この4つの要素が見ている人にわかるような工夫をしなければなりません。これらがわからないと観衆はストーリー自体がわからなくなります。
たとえば場所ですが舞台上でそのシーンがどこの場所なのかを示す、何らかののヒントを見ている人に与えなくてはなりません。背景を使う場合もあるでしょう、木を置くなど大道具を利用することもできます。波のうちよせる音を流して砂浜ということをあらわすこともできます。ボールでもころがってくればそこは公園だということがわかります。
時に関して難しいのはシーンとシーンの間にどのくらい時間が経過したのかを示すことです。5分後なのか、次の朝なのか、一週間後なのかどうやって示しますか?ナレーションを使う方法もありますがあまりほめられた方法とは言えません。ナレーションで説明しなくてもセリフや舞台の様子から自然に時の経過が理解できるような工夫をしなくてはなりません。
登場人物については各役者の名前、登場人物同士の関係を自然にわからせなければなりません。ある役者が他の役者にMomと呼べば、二人は親子ということがわかります。もちろん衣装や動作、セリフなども登場人物がどんな人なのかを理解させることに役立ちます。とにかくその役が初めて舞台に登場したときにその人がどのような人物なのかある程度わからせないといけません。
小説の場合はこれらの状況を言葉で説明すれば事足りますが、戯曲の場合はこれらの要素を見せてやらなければならないから難しいのです。自分の脚本を読んでシーンごとに状況がはっきり見てわかるかどうかをよく考えてみてください。
登場人物が何をしようとしているかという目的の部分についてはセリフのところでいっしょに説明します。
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