139)39-07. 「文の意味が直接英語でわかる」には何が必要か?

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単語の意味を理解することは動物でもできます。たとえば訓練した犬に「おすわり」とか「伏せ」とか言えば犬はその意味を理解できます。しかし文を理解することは人間のみに与えられた才能です。文を文法で組み合わせて複雑な意味を伝えることは人間にしかできないのです。

「文の意味が直接英語でわかる」ということは単純なものと複雑なものがあります。単純なのは「きまり文句」です。これは知っていればわかります。例えばWhat do you do? は「お職業は?」という意味だと知っていればこの表現を聞いた時すぐわかります。 

what が疑問詞でdoは現在形で使う助動詞でといった分析をして理解しているわけではないと思います。この表現は全体で「お職業は?」という意味だと覚えているからWhat do you do? と聞いた時に意味はすぐわかるのです。

きまり文句として覚えてしまっているものは高速処理が可能です。私達が日常使う言葉のほとんどは「覚えてしまっている」というのが本当のところだろうと思います。ですからよく使う文というのはそのまま覚えてしまうと良いのです。

複雑なのは「きまり文句」以外の文です。これは無制限にありますからすべての文を全部覚えていると考えるのは合理的ではないと思います。しかし聞いた文をその都度分析して理解しているわけでもないと思います。理解するのは一瞬でできるからです。

どうやら人間のは意味を理解しながらたくさんの英語を覚えていくと脳の中に英語のの回路ができて、初めて聞いた文も理解できるようになるらしいのです。たくさんの文を覚えて、その表現を使うという試行錯誤を何度もやっているうちに英文法や語法が脳にインップットされて無意識でも新しい文が理解できたり、新しい文を作って表現できるようになるのです。

どうしてそんなことができるか脳の構造はどのようになっているのかということは言語学の対象となる謎です。チョムスキーをはじめとする言語学者達はが生成文法と呼ばれるいろいろなモデルを使って「こんな仕組みになっているのではないか」といろいろ考えていますが本当のところはまだよくわかっていません。

しかし英語の文を分析せずに理解できるようになるためには英語を何度も脳に通し、英語の文をたくさん覚えていくことが有効なことは私の経験上からも確実です。

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