140)40-05.日本語で理解して英語を覚える方法についての私の意見
I さんの質問
つまり、話すための英文法に書いてある日本語の文章を見る、あるいは日本語(読む、あるいは聞く)→イメージ化 →(発想や概念==英語)→英語(話す、あるいは書く)という行為である、と理解してよろしいでしょうか。確か、國弘正雄先生も、著書の中で、通訳するという行為は、このような> 行為である、と述べられていたと思います。
もし、わたしのこのような理解が正しいとすれば、話すための英文法に書いてある日本語の文章を読んで、それを直ちに英語で言うという勉強方法を、「英語で考える」ための練習として実効あるものにするためには、常に、日本語(読む、あるいは聞く)→イメージ化というプロセスを経なければならないはずです。しかし、これは容易な事ではないと思います。
私の回答
私は国広先生の「英語の話し方」新版を読みましたが、国広先生と私の考えはほぼ同じです。違いがあるとすれば、国広先生はひたすら音読して自然に覚えるのに対し、私は意識して英語を覚えようとするところだと思います。
I さんの質問
私は、法律の条文を暗記する方法として、一つ一つの文言をイメージ化して結びつける方法が良いときき、実行してみたことがあるのですが、条文の文言を一つ一つイメージ化するのは非常に困難な作業でした。特に、「権利が消滅する」、「質権を設定する」等のように、法律的な状態の変化等の抽象的な概念をイメージ化するのは困難でした。
私自身は、難しい言葉は、その言葉として記憶しているとしか説明がつきません。大脳生理学的に言うと、右脳記憶ではなく左脳記憶とでも言うのでしょうか。
私の回答
英語にはイメージ(絵)にしやすいものと、しにくいものがあります。目でみれるもの動作などはすぐイメージにできますが、抽象的な概念はイメージにしにくいのです。しかし、抽象的なものも日本語としては自分なりにこんなものだという概念になっていると思います。
「質権を設定する」の意味することは絵にはならなくても日本語ではどんなことを意味するかはわかっていると思います。法律などはもともとが外国語でそれを日本語に訳しただけですから英語にもほぼ同じ概念はあるのです。ですから法律などは日本語で概念として理解しているものを英語ではどういうのかというやり方で覚えてしまうのがてっとり速いと思います。
その車に質権を設定する establish the right of the pledge on the car. と覚えれば他の場面でも使えるでしょう。
I さんの質問
ちょっと脱線してしまいましたが、私が、話すための英文法に書いてある日本語の文章を見る、あるいは誰かに読んでもらって、直ちに英語でスラスラ言う練習方法に対して危惧しているのは、次のような点です。
まず、話すための英文法に書いてある日本語の文章というのは、市川先生が書かれた文章であって、もちろん私自身が考えた文章ではない訳です。しかも、イメージ化が困難な場合には、それらの文章を、そのままそれらの文章として記憶して、英語と結びつける作業を行うことになるのではないでしょうか。
それよりも、話すための英文法に書いてある日本語によって一通りの意味を理解した後は、例えばアメリカ口語教本にあるようにイラストを見ながら英文を変形させる、という練習方法の方が、英語で考えるという練習には有益なような気がするのです。 話すための英文法に書いてある日本語の文章を見る、あるいは誰かに読んでもらって、直ちに英語でスラスラ言うという訓練は、通訳になる人の練習にはいいと思うのですが、英語で考えるという練習にはどうなのでしょうか。
私の回答
英語の勉強は英語を覚えることですから、日本語をいっさい使わずに会話のスキットやエッセイ、新聞の記事、物語等を英語で覚えていってももちろんいいわけです。英語の意味を英語の定義で覚えることもいいでしょう。
イメージできるものは、アメリカ口語演習のように絵をみて変形練習するのもいいと思います。トータルフィジカルリスポンスのように動作と英語を組み合わせる方法もあります。したがって日本語をいっさいはさまずに英語を覚えていくということももちろん可能です。
一方では「英語で考える」ためには英語はすべて英語で理解すべきであるから、日本語は一切排するべきであるという考え方もあります。 しかし、なにもそこまで厳密にすべてを英語だけでつみあげていかなくても、日本語で知っている知識や概念をある程度使って英語を覚えていうというのも悪いことではないのではないかというのは私の意見です。
松本亨先生も「これを英語で何というか」とか「英作全集」などで日本語を英語でなんというかというやり方を使っていますから、すべて英語だけで理解せよと主張されているわけでもないと思います。 最初は日本語とくっつけて英語を覚えていても、覚えてしまった英語は1人歩きを始めます。
私も話すための英文法で覚えた構文を無意識で使うことがありますが、日本語はもう全くでてきません。英文が定着してしまって自分のものになっているからです。日本語と英語をあわせて覚えても英語のまま理解したり、英語で直接表現できるようになれますからあまり心配されないことです。
関連記事
- 140)40-05.日本語で理解して英語を覚える方法についての私の意見
- I さんの質問 つまり、話すための英文法に書いてある日本語の文章を見る、あるい...
- 140)40-04. 日本語で考えたものを英語に訳すのと直接英語で表現する方法の違い
- I さんの質問 Misterは、「英語を書くほうが話すことよりやさ...
- 140)40-03. 一度は使う機会を持たないと英語は使えるようにならない
- 英語が使えるようになるためにもう1つ大切なのは英語を使う機会をできるだけ多く持...
- 140)40-02. 完全に覚えたものしか表現できない
- 理解するということはうろ覚えの英語でもなんとかできますが、表現するのは英語を完...
- 140)40-01. 表現できるためには理解できるよりもさらに深い学習が必要
- 英語を正しい音声で覚えてあり英語とイメージが結びついていれば英語で理解すること...
コメントする