201)頂いたお便りの紹介: 2007年5月アーカイブ

稲垣様

 初めてメールを差し上げます。小生、現在、オーストラリアで日本語教育にたずさわっているものですが、もともと、故松本亨先生のNHK英会話の放送がきっかけで、英語に興味を持つようになり、地球の果てオーストラリアにまできてしまいました。松本亨先生のご著書の主なものは、今でも、ときどき読み返し、また、新鮮な気持ちで外国語としての日本語教育を見直したり、英語の勉強を怠けている自分にハッパをかけたりしています。

最近、ふと、松本先生の書かれたものが、まだ、販売されているのだろうかと、インターネットでさがしていたのですが、偶然、フィニックス英語学院のホームページが見つかり、その前身が松本亨英語学校であることを知りました。松本先生の英語習得の哲学がそのまま受け継がれ、実行されているのを知り、ぜひ、メールを差し上げたく思った次第です。

小生が英会話放送を聞き始めたころは、まだ、テープレコーダーには、手の届かないころで、録音しておいて、あとで繰り返し、というわけにはいかない昔のことです。それでも、(そのおかげでと言った方があたっているかもしれませんが)、必死になって勉強したことを覚えています。あのころの熱情を持って、英語の勉強を続けていたら、今ごろは、すごい英語力が身についているのにと後悔するのですが、そこは、人間の弱さ、あるところまで、達してしまうと、手を抜いてしまうのが常のようです。

それでも、大学の英米学科に入り、その後、アメリカの大学院に入学、そして、オーストラリアの大学で、23年間、すべて、松本亨先生のおかげだと思っています。もし、先生の放送を聞いていなかったら、今ごろは、日本国内で技術関係の仕事をしているのではないか、と想像したりしています。(大学受験準備の途中で、専攻予定を精密工学から英語に変えてしまったのも、先生の放送の「おかげ」だと思っています。)

こちらに来てから、数年後に、日本からの留学生から松本先生が亡くなられたことを聞いて、驚きました。これから、さらにご活躍されることを当たり前のように考えていたので、ショックでした。しかし、先生の英語習得の哲学は先生のご著書を通し、また、フィニックス英語学院のようにそれを実行される方々によって、末永く、若い英語学習者たちに影響を与え続けていくものと思います。

小生の日本語教授法にも、松本先生のお考えが、無意識に、また、意図的に、少なからず取り入れられています。

三、四年前に、日本からある女子留学生が、相談に私のところにまいりました。彼女の英語を聞いて、私は、てっきり、日本国内のインターナショナルスクールかなにかの卒業生だと思い込んでいたのですが、あとで、松本亨英語学校の卒業生だと聞いてびっくりしました。

日本の英語教育は、学習教材から言っても、教授法の点でも、小生が日本にいたころに比べると、段違いに向上しているものとは思いますが、小生の大学に留学してくる日本人学生を見ている限り、まだ、もう一歩という感じを持ちます。その中で彼女の英語を聞いて、松本亨英語学校の威力に感心したものです。

フィニックス英語学院も、松本先生のお考えを踏襲されているので、大変効果的な英語教育をされているものと思います。

大学に勤めていて、こんなことを言うと、大学の偉い先生方にお叱りを受けるかもしれませんが、大学の外国語授業は、一般の外国語学校のように授業の方法や内容に柔軟性を持たせることが非常にむずかしく、稲垣先生もご存知のように、大学の英米学科、英文科を出ても、自由に英語を話したり、読んだりできないのが普通のように考えられています。

小生は、時々、気のあった同僚には、大学で本当に効果的な外国語教育は無理だよ、と率直に話します。これは、日本でも、外国でも同じだと思います。予算の関係から最近では、会話の時間に20人以上も詰め込むことがあり、いくらがんばっても、本当の意味でのコミュニケーションというものは成立しがたいのではないかと思います。

もちろん、いろいろ工夫し、学生中心の学習に持っていく努力はしていますが、どうしても大きな制約にぶつかります。その点、フィニックスのような制度が取れるところでは、効果的な学習環境を整えることが可能なような気がします。

 今後も稲垣先生の教え子たちが、すばらしい英語を駆使して、国内外で活躍されるものと信じております。また、フィニックス英語学院の今後のますますのご発展を願っております。

加藤英司

私の先輩にあたるような方にはげましのお便りをいただいて感激しております。松本亨先生の意思を継いだ良い英語教育のためにがんばりたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

カテゴリ

このサイトを購読する

月別アーカイブ

2008年3月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

RSS登録

  • My Yahoo!に追加
  • Add to Googleに登録
  • はてなRSSに登録
  • ivedoorリーダーに登録
  • エキサイトリーダーに登録

タグクラウド