mrphnx: 2007年6月アーカイブ

Q.最近、発音問題には、規則性があると友達に聞きました。例えば、もっとも強く発音する部分を示しなさい。という問題があります。

例えば、at・ten・tionの単語のような,-tionのつくものは、1つ前の音節に第1アクセントに語尾があります。こんなふうに簡単なルールで強い発音が、わかります。ほかに、このような、簡単に強い発音が、すぐにわかるようなルールを教えてください。お願いします。


A.アクセントも基本はきちんとひとつひとつ覚えていくべきだと思いますが、接尾辞をつけた場合アクセントが移動することで覚えておくと役にたつものがいくつかありますから紹介します。

 -al という接尾辞がついた単語は
(1)この語尾の前に子音字が2つあれば、その直前にアクセントがあります。(accidental, autumnal, triumphal, universal),
(2)この語尾の前に母音、あるいは子音字が1つのときは、その2つ前の音節にアクセントがあります。(例 annual, animal, capital, original)

-ic で終わる語のアクセントは -ic の直前の音節にあります。しかしこれにはわずかの例外があって、よく発音試験に出されます。(例外 Arabic, Catholic, rhetoric, lunatic, arithmetic, heretic, politic は第1音節にアクセントがあります)

動詞に -ee を付けて人を表す場合は -ee にアクセントが来ることが多いです。(例  trustee, employee, interviewee, addressee)

こんなふうに規則性を覚えてもかえって混乱するのではないでしょうか。素直にどう発音するか、どこにアクセントがあるか覚えていったほうがずっと速いし、そうでなければ自分で話す時に正しいアクセントで話せないと思います。

こうした規則が役に立つのは自分が見たことのない単語のアクセントを推測しなければならない時だけです。

あげるときりがありませんが、生徒を指導していて皆が発音を間違える例をいくつかあげてみたいと思います。

まず~を許すという意味の allow です。これは多くの生徒は「アロウ」と発音しがちです。しかし正しい発音は「アラウ」です。

それから win の過去形の won。これは「ウオン」と発音しがちですが、「ワン」が近い発音です。won と one は全く同じ発音です。

say は 「セイ」ですが says は「セイズ」ではなくて「セズ」になります。

南という意味の south は 「サウス」ですがその形容詞の southern は「サザン」で「サウザン」ではありません。「サザンオールスターズ」というミュージックグループがあるでしょ。その「サザン」です。

こうした間違えやすい発音は試験でもよく出題されますから要注意です。

英語の発音と文字にはある程度規則性があります。

子音に関してはほぼ発音と文字は一致します。r, l, th, p, b, t, d, s, sh, chなどは見ただけでほぼどんな発音かわかる文字です。

やっかいなのは母音でこれはかなり複雑で同じ文字でもいろいろな発音をします。でもある程度規則性がありますから慣れればどう発音するかは大体わかるようになるはずです。

規則性を利用したフォニックスという指導法もあります。

詳しくは 26. 子供の英語教育   の項目をご覧下さい。

しかし実際に発音問題にでるのはこうした規則性からはずれているものが多いのです。

Q.テストとかに、発音問題が、あります。私はいつも、ぜんぜん分からないので、なんとなくか、かんで、解いています。確実にできる方法はないでしょうか。

私は、単語の1つ1つの発音をきっと、覚えられません。何か規則性が、あるんだと思いますが、よく分かりません。だれか、発音問題が、簡単にできる方法を知ってる人は、教えてください。お願いします。


A.発音問題がわからないのは一つ一つの単語の発音を正確に覚えていないからです。英語学習をする上で発音はとても大切です。間違った発音で英語を覚えると英語が聞き取れなくなりますし、自分で話しても通じなくなってしまいます。

ちょっと大変ですがまず発音記号をきちんと自分で発音できるようになってください。カタカナで英語の発音を代用しているのではいつまでたっても通じる英語はマスターできません。 

参照項目  3.発音記号を覚えよう 

Q.ところで、母音の発音の考え方はかなりバラエティーがあります。それの反映の発音記号も辞書により少しずつ違っていたりしています。

私の辞書は研究社のですが、「エ」の弛緩音である数字の3の逆になったのがありません。「オ」の弛緩音である、Cの逆になったのはりあますが。これは日本の辞書では普通なんですか?どうも不合理に思えてしまうのですが。


A.発音表記は辞書によって違うので混乱する場合がありますが、自分の使っている辞書のそれぞれの発音記号がどの音声を表しているかに慣れればそれほど難しくないと思います。

ご指摘の3の逆になった発音記号は以前は/e/の発音記号で表していましたが、二重母音の/ ei /と混同しがちなので使われるようになったのだと思います。

同様に以前は/ i /の発音記号で表していたものも、/ i: /と混同しがちなので、/Ⅰ/で表す辞書が増えています。

もっといろいろな発音記号のバラエティにも触れたいのですが、HTMLで使えるフォントが限られているのでこの辺でやめておきます。

日本語の音韻と英語の音韻が違う事で起こる問題の例をもう1つあげます。それは日本語の「ん」の音韻です。

「ん」には/m/と/n/と/ng/の3つの音声が含まれますが日本語ではこれを区別せずに同じ音韻として認識します。でも英語ではこの3つはそれぞれ違う音韻として区別します。

散歩の「ん」は 英語では sampo で /m/ の音です。
便利の「ん」は 英語では benri で /n/ の音です。
勉強の「ん」は 英語では bengkyoo で /ng/ の音です。
でも日本語ではみな「ん」として区別しません。
だから日本人はこの語尾の/m//n//ng/の区別が苦手なわけです。

生徒の発音をチェックしていると非常の多くの生徒が one of を「ワンオブ」と発音することに気づきます。しかし「ワンオブ」では「ん」の音は/ng/の音になってしまっています。one の最後の子音は/n/の音ですから、舌は歯茎につけて発音しないといけません。したがってカタカナ表記すれば「ワンノブ」になります。同様に an apple は 「アナプル」 an orange は「アノレンジ」になります。

このように英語の語尾の「ん」に近い音は唇を閉じて発音する/m/, 舌を歯茎につけて発音する/n/,舌の奥の方を持ち上げて発音する/ng/の音を意識して区別して発音しないといけません。

Q.文法同様、発音にも理屈がある。その理屈を知って練習すれば、習得がより早くより正確になる訳です。

音をオーディオ・テープで聞いて練習すると言うのは、勿論重要な事ですが、時に耳は正しく音を聞き分けてくれません。例えばお話の、2種類のL音の問題なんか聞き分ける耳が普通無いと思います。

 

A.おっしゃる通り日本人の耳は英語のL(/l/)とR(/r/)と日本語のラ行で使うflapped'r'を同じ音として認識しこれを聞き分ける事は難しいです。なぜでしょうか?

これを理解するには音声と音韻という概念が役にたちます。 音声学では/r/と/l/とflapped'r'は違う音声としてあつかいます。しかし日本語にはこの3つの区別がありませんから、日本語しか聞いてこなかった人はこの3つの音声を同じ音として認識してしまうのです。

この同じ音として認識してしまう音声のグループのことを「音韻」といいいます。日本語に慣れた脳は/r/と/l/とflappeed'r'は同じ音韻に属すると判断してしまうわけです。

この音韻はだいたい10代前半で確立するといわれています。すなわち子供のころは/l/と/r/とflapped'r'は違う音として認識できるのに、この10代前半の時期を境に区別できなくなってしまうわけです。

脳というコンピューターが日本語の音韻をプログラムに組み込んでしまって、他の言語の音声を聞いても日本語の音韻でもって分類してしまうわけですね。 子供の時期に外国語を習うと発音が良くなるのはこういう理由からです。

大人になってから英語の発音を学ぶということは一旦確立した音韻を英語用にもう一度組みなおすことですから大変です。よほど注意して聞かないと同じ音韻内の音声を区別することは難しくなります。

ちなみに英語の音韻ではflapped'r'は/r/と同じ音韻に属すると判断するようです。日本語のラ行がra,ri,ru,re,roとrをつけて表記するのは英語の話者には日本語のラ行は/r/の音に聞こえるからです。

英語の〔l〕には語頭で使われるClear'l'と語末で使われるDark'l'があり基本は同じですが少し発音の仕方が違います。

語頭で使われるClear'l'の場合は日本語のラリルレロと混同しないよう、〔l〕の音を誇張して十分響かせてから次の母音へ移行します。

語末で使われるDark'l'の場合はすぐ前の母音から舌端を心持とゆっくり上の前歯の後ろまで上げながら唇を日本語のオを発音するときの形にしておきます。そうして、しっかり舌端を前歯の裏に押し付けその位置を保ちながら〔l〕を発音します。舌端はすぐに離してはいけません。

理屈はこうですが後は練習です。ためしてみて下さい。

Q.日本のラ行の子音"r"の発音って、[r]というよりか、[l]ですよね? 舌を歯茎に付けるとこからして(厳密には違うと思う)。

 中学生の時、日本に来てまだ間もない外人の英語の先生が、日本の"r"の発音をそのまま[r]で発音しているのを聞いて、結構不自然だったのを覚えています。

私には、E-mailで日本語を教えている外人のペンパルがいるのですが、このような個人的な意見なのですが、その人たちには、「日本の"r"はなぜだか[l]と発音するんだよ。」と教えています。

  ヘボン(ヘプバーン)さんには[r]に聞こえたのでしょうか。それともイタリアの"r"の発音が[l]っぽいのでしょうか。はたして私が間違っているのでしょうか。 

A.日本語のラ行を発音する時の音と英語の〔l〕の音は違う音声です。音声記号でも違う記号を使います。

日本語のラ行の音は舌先で歯茎を一回だけたたきながら発音するflapped'r'と呼ばれる音声です。

英語の〔l〕は舌を歯茎に近い上の前歯の裏側に舌先をやわらかくして押し当てその左右から息を通しながら発音する側音というカテゴリーに分類される音声です。

語尾の子音が弱く発音され聞き取れない時、ネイティブスピーカーはどうやってその違いを認識しているのでしょうか?

例えば bat と bad は語尾の子音が弱く発音されると t と d はほとんど聞き取れません。それでもこの2つの単語は明確に区別できるのです。 それは t と d の前の a の音が違った発音をされるからです。 

a の音は日本語のエとアの間のような音で発音記号で書けば同じですが、t のような無声音の前では短く d のような有声音の前では長く発音されます。 bat の場合はつまったような短い音、bad の場合はすこし長く伸ばしたような音で発音されるのです。

このように英語の発音は前後にある発音によっていろいろな影響を受け、同じ発音記号の中でも変化しますから、個々の発音記号を単発で練習するのではなくて、単語や文の中でネイティブスピーカーがどう発音しているのかをよく聞いて同じように発音できるように真似しながら練習していかなければなりません

115)15-04 語尾の子音

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Q.私を悩ませているのは、単語末の子音の発音です。

どこかで、日本人は単語末の子音を強く発音するべき、と聞いたことがあります。例えば日本人の英語の発音は、"shop"が「ショ」、"blain"が「ブレイ」に聞こえがちなのだそうです。それで、頑張って子音を強く発音しようとすると、[p]が[pu]になったり、[g]や[ng]が[gu]や[ngu]になったりしてしまいます。

また、[m]や[n]のような鼻音が単語末に来るとかなり厄介。例えば、"sum"、"sun"と"sung"の3つが、口の形は区別できても、音声として区別できません。

 

A.語尾の子音は弱く発音されます。もちろんアナウンサーや俳優のようにきちんと英語を発音しなければいけない職業の人は訓練を受けていますから語尾の子音まで正確にきちんと発音します。

しかし一般の人の場合はネイティブスピーカーでも語尾の子音はかなり弱く発音されます。日本人だけが語尾の子音を弱く発音するというのは誤解です。

逆に日本人が語尾の子音を強く発音しようとすると、その後に不必要な母音をつけやすく、これが誤解のもとになります。shop は「ショッ」batは「バッ」と聞こえるくらい語尾の子音を弱く発音したほうが「ショップ」「バット」とカタカナ的に発音するよりずっと英語に近い音になります。

今、ジョーダン女史のSpoken Japaneseを読み始めているのですが、ローマ字による発音表記法、特に高低アクセントの表記法がたいへんおもしろいと思います。

日本語には高低の2つのアクセントがあり、単語やセンテンスレベルでどのようにこれが変化するのかを覚える必要があります。 東京では箸のことをHA-shi、橋のことをha-SHIと大文字の所を高く、小文字のところを低く発音します。

「こんにちは」をこの方法で書くと、日本人はko-N-NI-CHI-WAと話すのに、英米人はko-n-NI-chi-waと話しがちだということになります。

日本での日本語教育ではアクセントの表記法はひらがなにいろいろな記号をつけて表記することが多いのですが、ジョーダン女史の方式は英語圏の人にはとてもわかりやすいだろうと思います。

また日本人が同じ音だと思いながら、気がつかないで違うように発音している場合まで細かく説明されていて、これならば自然な日本語らしい発音ができるようになるだろうと思いました。

日本語の場合は「ひらがな」がほぼ発音と一致しますが、英語の場合はスペリングと発音が全然違うので問題です。そこで英語の発音を表記する為に発音記号が使われるのですが、日本人でこれをまともに発音できる人が非常に少ないのです。これは本当に問題だと思います。

単語のスペリングを書くことはできるのに、その発音を発音記号で表記することができない人が多いのは、いかに発音がないがしろにされているかの証明だと思います。

単語を発音記号で書けないというのは、漢字にひらがなで「ふりがな」がふれないのと同じことです。 結局、英語に近い日本語の音を代用して、英語をカタカナ読みしているので、話しても通じない、聞いてもわからない変な英語を覚えてしまうことになってしまいます。

やはりジョーダン女史のように、たとえ多少大変でも、学習を始めてなるべく早いうちに、個々の発音記号を発音でき、かつ聞き分けられるような訓練をするべきだと思います。私たちの学校では「発音」のクラスでこれを徹底的にやっています。

Q.ジャーナリストをしていた韓国人の知り合いに聞いた話しですが、日本語や朝鮮語は英語と比べて言語として使われている音が非常に少ないのだそうです。(例:BとVやLとRの使い分け、舌をはさむTHなどが無い)。

その方の話しだと、朝鮮語も音が少ないが、日本語はさらに少なくて、英語の約半分くらいの音しかないそうです(この辺り、聞き語りですので誤りがあれば詳しい方、修正お願いします)。これにはかなり驚きました。

彼女は、母国語の音の少なさにより、英語の音を瞬間的に正しくキャッチして追いかけられないのが、両国民の英会話が苦手な理由だ、と考えているようでしたが、説得力があったので、今でも覚えています。

 

A.おっしゃる通り、日本語は「言語として使われる音」が少ない言語です。言語学ではこの「言語として使われる音」のことを音韻(phoneme)と呼んでいます。 たとえば日本人は英語のLとRの区別が苦手ですが、それは日本人はこの2つの音を同じ音韻ととらえているからです。つまり日本人の頭はこの2つの音が同じ音に聞こえるわけです。

またご指摘のように、”th”のような音はないですから、発音するのは苦労します。また日本語にない音なので、日本語にもある”s”の音で代用しがちです。

子供はまだ日本語の音韻が確立していないので、英語の音韻を聞くとそのまま素直に吸収します。子供のうちはちゃんとLとRは違った音に聞こえるのです。ところが、大人になってから英語の発音を習うと、日本語の音韻が確立してしまっているので、どうしても英語の音をそれに近い日本語の音で代用しがちなのです。

 子供の時に、正しい英語の音を聞いて英語を吸収していると、ネイティブスイーカーに近い発音になれるのに、大人の英語はなかなか日本人的な発音がとれないのはそのためです。

最近速読速解の方法で英語を返し読みしないで頭から日本語に訳していく方法がもてはやされています。

たとえば The girl said something, / but they couldn't understand / what she said. を「その少女は何か言った|しかし彼女たちは理解できなかった│少女が何を言ったのかを」 のように返し読みせずに語順の通り日本語に訳していく方法です。

日本語と英語では語順が違うので、日本語として通じるように訳すと返し読みをしなければならないのですが、この方法は英語を部分に区切ってその部分を順に訳していくことにより意味をとっていこういというものです。同時通訳はこの方法を使うので「同時通訳方式」などとも呼ばれています。

しかし私はこの方法は邪道だと思います。語順の通り訳したって、英語を日本語に訳して理解していることには違いはありません。そんなことをしなくたって正しい方法で英語を勉強していけば英語のまま理解できるようになると思います。

「英語で考える」学習法の目標はあくまで「英語のまま理解する」ことです。日本語に訳さないと理解できない、納得できないのはやはり今までの訳して理解していく方法の習慣にとらわれてしまっているからだと思います。

 

昨日のメールマガジンでPENGUIN READERSの紹介をしましたので、小説・戯曲などを読む時のアドバイスをしたいと思います。

小説・戯曲などを読む上で大切なのは状況(Situation)を把握するということです。状況がわからなくなると話がわからなくなり、混乱し読みつづけるのがいやになってしまいます。 状況は登場人物、場所、時間、それぞれの人物が何をやろうとしているかなどで構成されます。

小説・戯曲では最初に状況の説明があることが普通です。ここはあまりおもしろくないところですが、時間をかけてゆっくり読んでください。わからないところがあったら読み返すくらいでいいと思いいます。状況把握ができないまま読み進んでも後で混乱しますから念入りにすることが必要です。

それから登場人物の名前とお互いの関係をしっかり理解します。登場人物はファーストネーム、ラストネーム、ニックネームといろいろな形で呼ばれますから登場人物の名前はしっかり覚えておかないと誰が誰だったかわからなくなります。

私は本のしおり用に小さな紙をはさんでおいて新しい登場人物が出てくるたびに、その名前とバックグラウンドをその紙にメモしてます。こうしておけば読み進んでいるうちにこの名前の登場人物が誰だったかわからなくなってもこの紙を見ればすぐわかります。これは特に登場人物が多い場合にとても役に立ちます。

 関連項目 「21.脚本の書き方」をご覧下さい。

Q.最近、吉本ばななの「アムリタ」(日本語)を、趣味の一貫として(つまり、英語どうこう関係なく)読みました。で、その後、書店で洋書コーナーをうろついていると、偶然にもあったのです。Banana Yoshimoto の"Amrita"(英語版)が。初めの方だけ(立ち読み)読んだのですが、英語に訳された「英語版」に、「日本語版」と較べて、全く違和感がないのにびっくり。全く同じストーリーが、頭の中に入ってきました。

当たり前かもしれないけど、ここまで厳密に翻訳する人も凄いと思います。日本語の方を英語に逐語訳しても、逆に英語を日本語にしても、それぞれ、全く違う文章になってしまうのに。まぁ、翻訳は我々の仕事ではないし、それについて、問い詰めはしないつもりですが。

A.私は効率良く英語を学ぶ方法として日本ものを使った英語学習をすすめています。詳しくは国際英語の学び方の章の「日本もの」を使った英語学習をご覧下さい。

小説を読む場合英米の文学作品を読むと英語がわからないのと文化的背景がわからないのとの2重の負担をかけます。その点、日本文学の英語版は文化的な背景は日本ですから、ずっと理解しやすく読みやすいのです。

また日本語の表現を英語ではどのように言うのかという観点からいろいろな表現を見ることができますから英語が効率良く吸収できます。

日本語でよんだことがある小説を英語で読みなおしたり、まず日本語で読んでから英語で読むと話を知っていますからスラスラ速く読めます。英米の文学作品を苦労しながら少し読むのと、日本文学の英語文学を同じ時間をかけて大量に読むのでは後者の方が圧倒的に英語は上達します。

Q. 松本先生は著書の中で、「とにかくたくさん英語を読まなければいけません」とおっしゃっておられましたが、基礎の段階から読めそうなもの、例えば、ladderシリーズとか、やさしくrewriteした小説などを読んでおいたほうがいいのでしょうか?

A. 松本先生はご自分で英語の小説を書かれるくらいの方ですから、読書量はものすごい量だったと聞いています。私はとても松本先生ほど本は読めません。でも読んだ方がいいのはもちろんです。

松本先生がおっしゃっていたのは英語を話すことばかりやっていてもダメで英語を読んだり聞いて英語を吸収することが重要だということだと思うのです。

最近は学習者用にやさしく書きなおした小説もたくさんでていますから、興味のあるものを手当りしだいによんでみたらどうでしょう。

小説類は少しづつ読んでいくより一気に読んだほうがいいと思います。本を手に1時間とか2時間とかかけて50ページよむとか100ページ読むとか決めて集中して読みます。

あまり難しいものより、1ページにわからない単語が2、3個のものを多読したほうがいいと思います。

最初は薄いものから、1冊づつ征服していくようなつもりで読んでいくとよいでしょう。そのうちだんだん読む速さも速くなってきます。  

おもしろい作品をやさしい英語で書き直したものにペンギンリーダーズがあります。私のおすすめです。以下のサイトで紹介していますから読んでください。

ペーパーバックを読めるようになるためのお薦めの教材 

 

Q. いつも暖かいアドバイスをいただき、本当に感謝しております。アドバイスいただいた3つのポイントは、まさにそのとおりだと思います。

私のケースでは、 ①興味があるもの ②背景をしっているもの ・・・という観点からは、BUSINESS WEEKがBESTとなります。 ただ、③難易度が自分にあっているものを選ぶ ・・・という観点から選択いたしますと、矛盾が生じてしまいます。

先のアドバイスでは、今の私のレベルTOEIC550(L 235 R 315)では、BWは、レベルが高すぎとのことでした。 無理してでも、BWに挑戦した方がよいのでしょうか。それとも、簡単に読めるものを多読した方が、良いのでしょうか。

稲垣先生のおっしゃった「英語を英語で理解する、日本語に翻訳せずに」を意識するとどうしてもBWだと無理があるような気がします。 今日の昼休みも、本屋にいって、さまざまな洋書をいろいろみましたが、長所、短所さまざまあり、とてもなやんでしまいます。

何度も、お聞きして申し訳ございませんが、先生が私の立場でしたら、どんな選択をなさいますか。一言で結構ですので、教えてください。 よろしく御願いいたします。


A.英語学習は場所によって一番やりやすい勉強を選ぶ方がいいと思います。 たとえばディクテーションや辞書をひいての精読は電車のなかでは難しい勉強です。 BUSINESSWEEKが難易度からいって電車の中で読み飛ばすのは難しいということになると机に向かって辞書をひきながら読むということになります。 その為には家で30分なり1時間なり家で時間をとってじっくり読まなけらばなりません。

この場合私がおすすめするのはコンピューターで読むべき記事を開けてバビロンというコンピューター上の辞書を使って読むという方法です。 バビロンはご存知ですか?知らない単語にきたら右クリックをしてやるとその単語の意味を表示してくれる辞書です。

英和版と英英版がありますが 英英版の方をおすすめします。(英英でわからなければクリックするだけで英和版にきりかえることもできます) 頻繁に辞書をひくと読むことをさまたげてしまいますが、バビロンを使うとすばやく意味を知ることができますから読む流れをさまたげません。

この辞書は無料でバビロンのサイトからダウンロードできます。(有料になってしまったようです。残念) バビロンのサイトのURLを入れておきますので、ここからダウンロードしてください。

http://www.babylon.com/jpn/

BUSINESSWEEKのサイトのURLも入れておきます。

http://www.businessweek.com/ebiz/

英字新聞やTIMEやNEWSWEEK、CNNの原稿などもホームページがありますからそこで読むものができます。購読しなくてもよめるわけですね。

これらのサイトのリンクは私のHPの英語学習に役立つサイトへのリンク集に入っていますから利用してください。

電車の中でおすすめする勉強としては英語の暗記をおすすめします。英会話入門でもいいですし、DUOみたいな語彙の勉強でもいいですから、 英語を毎日覚えることをおすすめします。これはテキスト一冊あればすむことですから、電車の中でも十分できます。

MDプレーヤーやiPodを使えばどこでも英語を聞くことができますから通勤中のながら勉強などにはもってこいです。

本屋に足を運んで自分にあった教材をあれこれ考えてみるのは大切なことだと思います。

そして選んだ教材は徹底してやります。 わたしのおすすめの英語教材でもいろいろなものを紹介していきますので、参考にしてください。

Q. 先日は、お忙しい中、親身になったアドバイスをいただきましてまことにありがとうございます。リスリングに関しましては、早速〝英会話入門〟のテキストとテープを購入し、ディクテーションのトレーニングを開始しました。

リーディングに関しましては、教材選択に悩んでおります。 〝Mini World〟を購入して読みましたが、かなり簡単な感じがします。また、ご指導していただきました〝Japan Times〟では、毎日毎日、少しずつしか読めず、とてももったいない感じがしてなりません。

以前の質問で私の英語力(TOEIC 550:L235 R 315)では、難しいとされているとされている英語雑誌についてその難易度や内容、TOEICのレベルの違い等について教えて下さい。

もし可能ならば、下記のなかから挑戦してみたいと思っております。 毎週、購入すると単価が高くなってしまいますので、定期購読を考えています。

自分自身では、金融関係の仕事に就いている関係上、BUSINESS WEEKの記事などは、興味があります。(全体的には難しいが中にはスラスラ読めるものもあります。)

下記の全てについて購入し、実際読んだ経験があります。(電車の中が主な場所) ①NEWSWEEK ②TIME ③BUSINESS WEEK ④The Economist ⑤NEWYARKER ⑥その他(ご推薦があれば) 上記のなかでもしなければ、先生のご指導にしただって勉強していきたいと思います。


 A. どんなリーティングの教材を選んだらいいかということは人によって違います。そこでリーディング教材を選ぶ上での基準を説明したいと思います。

1.興味のあるものを選ぶこと

Sさんの興味があることと私が興味があることは違います。たとえば私はSさんがあげられた雑誌のうち、NEWSWEEKとTIMEは読んだことがありますが、私は他の雑誌は読んだことがありません。それは私はビジネスマンではありませんから、経済問題にそれほど興味がないからです。そのかわり、私はドラマが専攻でしたから、英語の脚本とかスクリーンプレイはよく読みます。

Sさんは金融関係のお仕事についていらっしゃいますから、経済問題に興味があるのだと思います。だから経済雑誌に興味があるわけですね。この興味があるということはとても大切なことです。興味のあること、読むことが必要だと思うことは一生懸命に読みますし楽しく読めるからです。

興味のないものを無理やり読もうとしてもイヤになってしまいます。だからSさんがBUSINESS WEEKの記事にに興味があれば、それはSさんにとって良い教材だと思います。

2.背景を知っているものを選ぶ

興味のあるものを選ぶことと関係しますが、自分の知らない言語で何かを読む場合は最初はできるだけ内容の背景がわかっているものを読むべきだと思います。

私がCNNやTIMEよりJapan Timesの方をすすめるのはニュースの内容が日本のことですから背景がわかっているだけわかりやすいからです。

Sさんは経済の知識も豊富でしょうから、経済雑誌は読みやすいのだと思います。スラスラ読めるものは英語が多少わからなくても概念を知っているから想像しやすいからだと思います。だからBUSINESS WEEKはあっているのでしょう。

3.難易度が自分にあっているものを選ぶ

あまり難しいものは辞書なしで読むのは辛いと思います。たとえば私はNEWSWEEKを購読していますが1ページで知らない単語はだいたい2~3個くらいです。これくらいでしたら、辞書をひかなくても前後関係から意味が推測できますから、多読の教材として適切です。しかし、もし1ページでわからない単語が10も20もあったら辞書なしで読むのは難しいと思います。

もちろん辞書(英英辞典を使って下さい)をひきながら時間をかけて精読していけばいいのですが、電車の中で読み飛ばす教材としては難しすぎると思うのです。

多読の教材を選ぶ場合は今の英語力よりも少しだけ難しめのものを選び難しすぎるものは避けるのが良いのです。

ここらへんが難しいところなのですが多くの英語学習者は英語のレベルはアメリカの小学生以下しかないのに、読みたい教材として大学レベルの難易度を選びたがるのでそのギャップに悩んでしまうわけです。

危険なのは難しすぎる教材を選ぶと英語のまま理解できないので、日本語に訳して理解するようになってしまうことです。日本語に訳していくのでは大学受験でやった英文解釈と変わらないことになってしまい、本当の意味で英語や読めるようにはなりません。

以上の3点を考慮しながら、自分にとって何を読むのが最も適切なのかを試行錯誤してやってみてください。

「興味がわいて、背景もよくわかっていて、そしてあまりわからない単語がなく、辞書をひかなくても内容が想像できるもの。」これを本屋に行って立ち読みしながらいろいろ探してみて下さい。

◆ このページでは、スキーマ理論によるトップダウン方式の読解法を説明します。

 「耳から始める英会話入門」を呼んで私がもう1つおもしろいと思った点はこの本が英語を理解する為の背景的知識の重要性を強調していることろです。

リスニングにしてもリーディングにしても、自分にとって馴染みのあるトピックや内容は、馴染みのないものよりもはるかに理解しやすいのは本当の事だと思います。

この本にあるように、日本に関するニュースは外国のニュースより、ずっと理解しやすいです。 それは「英語を理解する」ということは、「聞いたり、読んだりした英語の意味をゼロから理解する」ことではなく、「すでに自分の中にある過去の経験や知識に結びつけて理解する」ことだからだと思います。

だから日本人でもいろいろなことについて知識がある人は、知識のない人よりも、ずっと速く、楽に英語を理解できます。

背景的な知識を持っていれば、英語が多少わからなくても、話し手の言っている内容が大体想像できるからです。 逆に知識のない人は、英語がわかっても内容がさっぱりわからないということになってしまうのです

コミュニケーションには言語を使う方法(Verbal Communication)と言語以外のものを使う方法(Nonvrbal Communication)があります。そして意外に気づかれていないのがこの非言語要素を使った伝達方法の重要性です。

実際やってみるとわかるんですけど、ボディーランゲージだけで結構コミュニケーションできるもんなんですよね。 私がドラマのクラスで使う、ボディーランゲージを使ったおもしろいゲームがありますから、ご紹介します。

Hotel Receptionist(ホテルの受付係)というゲームです。 生徒の一人がHotel Guest(ホテルの客)になります、もう一人がHotel Receptionistになります。このGuestはかぜで声がでないという設定です。

そこで先生がいろいろな問題が書いてある紙をGuestに渡します.紙には例えば I want to go to the museum tomorrow morning. What time does it open?(私は明日の朝、美術館に行きたい、何時にあきますか?) などと書かれていますから、GuestはこれをReceptionistにボディーランゲージで一生懸命伝えようとするわけです。

問題にはいろいろあって、中には There is an alligator in the bathtub. Please come to my room as soon as possible.(浴槽の中にワニがいる。私の部屋にすぐきて!)なんていうのもあります。おもしろいでしょう? Guestが必死になって自分が言いたいことを体で表現しているのを見るのは笑えます。  

 こうしたボディーランゲージを使ったジェスチャーゲームは英語ではcharades(シャレード、単数扱いです)と呼ばれています。 ボディーランゲージは、大体万国共通なので、言葉が通じなくてもコミュニケーションがとれるわけです。

もちろん、国によってボディーランゲージは少しづつ違います。日本では「私」というボディーランゲージは鼻を指でさしますが、英語の場合は胸をさします。

日本で「お金」という場合は人差し指と親ゆびで丸をつくりますが、英語圏ではこれは「OK]のサインです。英語圏では「お金」は親指と他の4本の指をすりあわせます。「おさつ」を数えているしぐさですね。

この例はすでに私の娘が使っている中学校1年の英語の教科書にものっています。すこしづつ非言語要素を使ったコミュニケーションの重要性が認識されてきているのですね。 

ボディランゲージについては私のAll about50代からの英語で紹介しているので是非見てください。

英語のボディーランゲージ(1) 

英語のボディーランゲージ(2)

Q.教えていただいた表現を使ったとしても、相手の返事をちゃんと理解できなければ意味ないのではないでしょうか?  

NHKの番組で「とっさの一言」というのがあります。「とっさの一言でうまく答えたばっかりに、相手が安心して、次々に難しいことを英語で言ってきたらどうなるのかなあ。」と思ったりもします。


A.この場合聞き取りもそんなに難しくはありません。

May I help you?の後にはチーズバーガー2つ、コーク2つなどの注文が続きます。聞こえて来る英語は限られてくるので、そんなに難しくはありません。

ちなみにフライドポテトはFrench friesというのが一般です。 Large or Small?の後はLarge又はSmallがEat here or to go?の後はEat hereかto goしか来ません。

他に言う可能性があるのはmilk shakeのflavorくらいでしょう。これはVanilla, Strawberry or Chocolate?と聞けば相手はどれかを選びます。

Anything else?の後は追加注文が来るか、No, that's it.(これで終わりです)くらいしか来ません。

That will be 520yen.と言えば相手はお金を払いますから、 Here is your change.(おつりです) と言ってつり銭を手渡してから、商品を渡して、Have a good day.と笑顔で言えばそれで終わりです。簡単でしょう?

わからなくなったら、商品の写真を見せてWhat would you like?と聞けば、相手は自分の欲しいものを指さしてくれますから心配ありません。 英語は度胸です、がんばってやってみてください。

◆ このページでは皆さんが知っておいたら便利ないろいろな英語の表現を紹介します。

Q.ファーストフード店でアルバイトしてて、カウンターやってると、やっぱり外国人がきて、英語で話しかけられるんです。まったくそれがわからなくていつもオドオドしてるんです。誰か、基礎だけでいいんで英語教えてください!!!たとえば、「いらっしゃいませ」とか「店内でお召上がりですか?」「お飲み物は何にしますか?」とかとくに、敬語の言い方がサッパリわかんないんです。

.「いらっしゃいませ」May I help you?(後ろを上げるイントネーション)

 「LサイズにしますかそれともSサイズにしますか?」

Large or Small?(Largeで上げてSmallで下げるイントネーション)(ちなみにMサイズはMediumです)

「店内で召し上がりですか、それともお持ちかえりですか?」Eat here or to go?(Eat hereで上げて or to go?で下げる)

「他になにかご注文ございますか?」Anything else?(後ろを上げる) 「520円でございます」

That will be 520yen.(値段をはっきり言うこと)

「まいどありがとうございました」Have a good day.(笑顔で)

敬語は使う必要ありません。こういう場面では必要最低限のことだけをシンプルに言うのが普通です。

Q.一般の人間が英語のディベートを勉強できる団体があったら、どなたか教えてください。できれば東京周辺で。また、ディベート的な考え方を身に付けるのに良い本などをご存知でしたら、それも教えてください。

A.私の教えている学校には必修科目のプロジェクトワークや選択科目の中にもディベートのクラスがあります。

使用している教材は初級用は

Make Your Point : Debate for EFL Students Michael H.Lubetsky著 HARCOURT BRACE社  

中級用、上級用は

BASIC DEBATE Maridell Fryar, David A.Thomas, Lynn Goodnihgt 共著 National Textbook Company社  

ADVANCED DEBATE David A.Thomas, Jack Hart編 National Textbook Company社 の2冊を使っています。

これらは洋書なので日本語で英語の理論を学びたい方におすすめの和書としては

「頭を鍛えるディベート入門」 松本茂著  講談社ブルーバックス

「日本語ディベートの技法」 松本茂 著 七賓出版

などがあります。

松本茂先生はNHKテレビ英会話などでもお馴染みですが、名ディベーターとして有名です。 

 

Q.一般に、日本人は他の国の人と比べ、英語の流暢さが足りないと良く言われます。その代わり、文法は良く知っています。私自身も実際、海外経験からそのことを実感しました。どうやら韓国人にも同じ傾向があるようです。この傾向の原因はどこにあると思いますか?

また、英語でディベートをするとき、流暢さの欠如は説得力をある程度左右するような気がするのですが、実際どうでしょうか?


A.日本人の英語に流暢さが足りない原因は私は2つあると思います。

 1つは「英語を使う機会が少ない」ことです。流暢さは「英語を使う」アウトプットの量に比例すると思います。日本人は英語を話したり,書いたりする機会が少ないので、なかなか流暢に話せるようになりません。

 もう1つは日本人は「間違えることを恐れる」傾向が強いからだと思います。「間違えてはいけない、間違えてはいけない」と思っているといろいろなことが気になって流暢に話せないのです。

クラッシェンという言語学者はこれをモニター機能と言っています。いわゆるチェック機能ですね。これは適度にあれば、正しい英語を話すのに役にたつのですが、強すぎると緊張を生み流暢さを阻害してしまうのです。

ではなぜ日本人は「間違えることを恐れる」のでしょう? 私は理由は2つあると思います。

1つは日本の英語教育は文法の間違いをうるさく言うからです。日本人は受験勉強の中で、文法の間違い探しや、穴埋め問題をいやというほどやらされていますから、文法が気になってしょうがないのです。(そのくせ発音に関してはいいかげんです。)話したり、書いたりする英語が文法的に正しいかどうかいちいち気にしていたら流暢には話せません。

 もう1つは「他人の目を気にする日本人の国民性」です。日本は「恥の文化」だとルース・ベネディクトは「菊と刀」という本の中で言っていますが、日本人は回りの人にどう思われるかが気になってしかたがないのです。

これは他のトピックで話題にしている「耳からはじめる英会話入門」(中教出版)という本にも書かれています。変な英語を使うと回りの人間にバカにされるのではないかと思うから流暢に話せないのです

私は大学ではESSに所属していたので、そこでディベートをやりました。授業そっちのけでエビデンスカード作りの為に図書館に入り浸っていたことを懐かしく思います。

私はディベートは英語スピーキング力向上に役立つし、英語的な論理の思考にも慣れるので勉強のためにはいいと思うのですが、個人的にはどうも好きになれません。すべてを理屈だけで解決するのは、無理だと思うのです。

私は実社会で大切なのは「人を説得する」技術だと思います。たとえ理屈で勝っても相手に「こんなやつとはつきあいたくない」と思われてしまうのでは何の意味もありません。あくまでも最終的な目的は「この人のいう通りやってみようと」思ってもらうことなのですから。

説得には「理屈」と「感情」の両方が必要です。アメリカの敏腕弁護士などは陪審員の感情に訴えるのがとてもうまいと聞きます。いわゆるアカデミックディベートはこうした感情面が無視されているので、理屈と証拠だけで勝ち負けが決まるゲームになってしまっているような気がしてならないのです。

そこで私が感情面を考慮した新形式のディベートスタイルとして開発したのがフィニックス英語学院で実践されているドラマティックディベートです。詳しくは下のブログをご覧ください。

ドラマティックディベートの作り方

Q.先生をしていらっしゃるようですが、生徒さんをご覧になっていて、やはり日本語を論理的に話せる人ほど、英語も論理的に話せるようになる、というような、相関関係のようなものは、あるのでしょうか?お気づきになったことがありましたら教えてください。

A.日本語を使う時と英語を使う時と、その論理性まで使い分けている人はそれほどいないと思います。大部分の人は日本語でも英語でも同じような論理を使っているのではないでしょうか。

日本人はよく、論理的でないといわれていますが、日本人には日本人の論理があると思います。ただその論理が英語圏の人達の使う論理と違っているので、論理的でないと思われているのではないかと思うのです。

私は英語をやって、ディベートやパラグラフライティングなどを習ってから、論理が英語的なものに変わってきたように思います。日本語を使う時もやはり、英語的な論理を使うようになってきたような気がします。

英語の論理は非常に直線的です。結論からズバッと入って、後からその理由を説明するようなものが多いです。

それに対して、日本語の場合はまず理由の方を長々と説明して、最後に結論がくることが多いです。結論をあいまいにしておくことも多々あります。

だから英語の論理に慣れている人にとっては日本人の論理はまわりくどくて、ポイントがはっきりせずイライラすることが多いのではないかと思うのです。

Q.ちゃちゃを入れるようで申しわけありませんが、何故「英語」なんですか?日本語でちゃんとdebateできるんですか?

A.日本語でディベートをすることも、もちろん大切ですが、英語のディベートもとても良いスピーキングの練習になります。

英語の簡単な会話やスピーチで四苦八苦しているレベルでは難しいと思いますが。ある程度、英語が話せるようになったら、日常会話レベル以上のもう少し高度なことについても話す練習をすべきだと思います。その為にはディベートは役に立つと思います。

E.S.S.でやっているような、本格的なディベートは、準備等にもかなり時間がとられ、大変ですが、もっと身近なトピックについて、立場を決めて議論をたたかわせることによって、エキサイティングな会話を楽しむことができます。  

英単語を覚えるおもしろい方法に「動作で覚える」というのがあるので紹介します。

ここでは「体から出る音」に関する英単語を例にします。 まず snore/hiccup/cough/gargle/sneeze/burp という6つの英単語とその動作を絵に描いたものを見せ英単語と絵を一致させます。わかるものだけでかまいません。

次に教師がそれぞれの英単語を言ってからその動作をします。例えばsnoreと言っていびきをかいている動作をしてみせるわけです。ついでにいびきの音も入れます。生徒は教師の後についてsnoreとくりかえしてから、同じようにいびきをかいている動作をします。

このようにそれぞれの英単語と動作をあわせて覚えさせていきます。 生徒がだいたい覚えられたら今度は生徒を二人同士組み合わせます。片方の生徒は黒板に面して立ち、もう一人は黒板を背にして立ちます。黒板が見える生徒が英単語の一つを選んでその動作をし、もう一人がそれをあてます。

例えば黒板が見える生徒がいびきをかいている動作をしながら What am I doing?と聞けば、黒板を背にしている方の生徒が You are snoring. と答えるわけです。このようにしてすべての英単語を練習した後、動作をする生徒とそれをあてる生徒が入れ替わってこれをくりかえします。

私は「体から出る音」の他に「いろいろな歩き方」「料理のやり方」「英語のボディーランゲージ」などを動作で覚えさせています。

※この方法はMLS(モデルランゲージスタジオ)で習いました。

英単語の勉強は半端な時間を使ってやるのがいいと思います。

生徒さんによく「私は英語を勉強する時間がないのですが」と質問を受けますが、そういう方は机に向かってやるのだけが勉強だと思っている傾向があります。

しかし、英語の勉強には中途半端な時間を使ってやったほうが効率がいいものもあるのです。英単語の勉強はその中の1つです。

私の場合、英単語の勉強はもっぱら通勤途中の電車の中や、駅から家まで歩く途中でした。外出するときには必ず、覚える教材を持って出ていました。

トイレの中にも覚える教材を置いてあります。毎回1つや2つは新しい英単語を覚えられます。 部屋の掃除をしている間は覚えた教材のテープを流しっぱなしにしています。これは記憶の定着を助けます。

 こうした細切れの時間を積み重ねていくと結構な勉強量になるものです。わずかな時間の積み重ねが1年後、2年後には大きな差になって現れます。

このように生活の中にうまく英語の勉強を組み込んで、普段無駄にしている時間を英語を覚える時間にあてることが効率良い英単語学習のコツです。

関連英単語はまとめて覚えて一種のネットワークをつくると良いでしょう。

例えば私は通訳ガイドのクラスで日本の政治を教えていますが。まず三権分立の立法(legislative branch)、行政(administrative branch)、司法(judiciary branch)とその機関、国会(Diet)、内閣(Cabinet)、裁判所(court)の英単語をまず教えます。

次に国会は衆議院(The House of Representatives)と参議院(The House of Councilors)に分かれ、内閣は内閣総理大臣(prime minister)と他の閣僚(cabinet members)で構成され、裁判所には最高裁判所(supreme court)、高等裁判所(high court)、地方裁判所(district court)、簡易裁判所(summary court)、家庭裁判所(family court)があることを教えます。

最後に三権がお互いをチェックする為に作られた制度,例えば 国会は内閣不信任決議によって首相と閣僚を解任できる (The Diet can dismiss the Prime Minister and the other Cainet members through a vote of non-confidence) や内閣は衆議院を解散できる (The Cabinet can dissolve the House of Representatives)、 裁判所は法律、政令の違憲立法審査をする (A court rule on the constitutionality of laws and orders) などを英語で説明できるようにしていくわけです。

これらの知識は日本の教育では小学校、中学、高校と三回教えられているので、(忘れている人が多いですから)それを英語でもう一度覚えなおすことで政治に関する関連英単語を一度に覚えることができます。

英単語には1つの単語にいろいろな意味がある多義語が多いです。これはセットで覚えた方がいいでしょう。

私は授業を教える時、多義語の一つの意味が出てくると他の意味も紹介し確認させています。 たとえばbillという単語が「法案」という意味で出てきたとします。billには他にどんな意味がありますか?

a ten-dollar billといえばこれは「紙幣」のことですね。ちなみに貨幣の方はcoinです。

レストランでCould we have the bill, please?と言えばこれは「勘定書」のことですね。これはイギリス英語で,アメリカでは同じ意味にcheckを使うことが多いです。

Post No Billsと書いてあれば「貼り紙禁止」ということで、これはビラのことですね。これが大きくなればbillboard=広告掲示板になります。

それからbillには「かものはし」などのような平たい「くちばし」の意味もあります。とがった「くちばし」にはbeakを使います。

こうやって多義語のひとつの意味がでるたびに他の意味を何度も確認していけば英単語のいろいろな意味を確実に定着させることができます。

Q.私は語呂合せ法には賛成できません。少々大変でも、発音記号を見て繰り返し英単語を読んで覚える方が後々のためになると思います。ただ見ただけで覚えられないのなら、接頭辞、接尾辞の意味を最初に知っておけばずっと覚えやすくなります。

A.紹介してくださった、接頭辞・接尾辞で覚えるやり方は英単語学習法としてはとても良い方法だと思います。

この接頭辞・接尾辞は漢字でいえば、「へん」や「つくり」にあたる部分でそれぞれの接頭辞や接尾辞はある特定の意味を持っています。

これらの接頭辞や接尾辞でグルーピングしていけば英単語はずっと覚えやすくなります。

たとえば cent というのは 100 という意味です。 one cent は one dollar の100分の1ですね。 one centimeter は one meter の100分の1になります。 percent(パーセント)は全体を100に分割した時の割合ですし centigrade(摂氏)は氷点(freezing point)と沸点(boiling point)を100に分割した温度の単位です。 century(世紀)は100年ですし centenary は百年祭のことになります。

では centipede はわかりますか?この英単語は centiと pede に分けられます。pede は pedal(ペダル)や pedestrian(歩行者)からわかるように「足」のことです。つまり centipede は「足が100本ある生き物」=「ムカデ」のことです。 こうやって覚えていけば centenary や centipede などの難しい英単語も忘れないでしょう?

英単語を効率良く覚えるためには「自分の今まで知っていたことにひっかける」ことや「記憶の引き出しに整理する」ことが大切だと以前述べました。

これは人間というのはバラバラの知識というのはすぐ忘れてしまうからです。 新しく覚えた英単語は今までに知っている知識のどこかにリンクさせて全体の一部として組み込んでおかなければならないのです。

では新しく覚えた英単語をどんなものにリンクさせたらいいのでしょうか?いろいろな方法を探ってみたいと思います。

次のページをご覧ください

「語呂あわせ」法は「正しい」発音という点で問題があるといいましたが、逆にカタカナ英語を使って正しい英単語を覚えていくのはいい方法です。

たとえば車のアクセルはacceleratorから来たものですし。アイスコーヒーはiced coffeeとなります。

またアクセサリーは日本語では最初のアにアクセントがきますが、英語のaccessaryはセのところにアクセントがきます。

私達の周りには、カタカナ英語があふれていますから、このようにカタカナ英語を正しい英単語に直して覚えていけば、相当英単語の数を増やすことができます。

前のページからつづく

「語呂あわせ」法で有名な例に犬小屋は犬が寝るから「ケンネル」と覚える方法があります。これでいいのでしょうか?

知人のユダヤ人がイスラエル大使館に行きたいというので、電話で道順を聞いていた時のことです、相手がしてくれた英語の説明の中に「タヌル」という言葉がでてきたのです。

私は意味がわからなくてWhat does a 「タヌ」mean?と聞きました。相手は「そんなこともしらねーのか」といった口調で説明してくれたのですが、tunnelのことだったんです。私は当時tunnelは「タンヌル」だと思っていましたから「タヌ」と聞いても全然わからなかったんですね。

つまり英語はまちがった発音で覚えると、正しい英語を聞いても理解できないということです。話す時にも正しい発音で話さないと通じません.

「トンネル」と言ったって相手は何のことがわからないでしょう。 Kennelはカタカナで近い音で書けば「ケヌ」です、「ケンネル」と覚えるのは問題なのはおわかりいただけたと思います。

Sさんの質問

現在、(去年の7月のスコア)TOEIC550点(L235 R315 )で、3月末に受験して結果待ちです。 1年以内に是非とも700点もしくは、750点をクリアしたいと思っています。

アルク社が発売しております【TOEIC 730点コース】とか、エッセンス予備校のTOEIC600点コース、730コース等、 TOEICに向けての特別コースがございますが、果たしてこれらをきちんとこなしていけば、目標スコアに達するほど効果が出るものなのでしょうか。

それとも、オーソドックスに例えば、英会話入門のデックテーションをしたり、音読したり、英字新聞を読んだりした方がよいのでしょうか。 アドバイスの方、よろしくおねがいたします。


私の回答

私は両方とも必要だと思います。 TOEICもテストですからテクニックはあります。 でもテクニックだけマスターしても英語力はつきません。 オーソドックな勉強を続けつつ、TOEICの練習本などで テクニックを身につけるのがいいと思います。

Sさんの質問

お忙しいなか、アドバイスをいただきましてどうもありがとうございました。 結論として、TOEIC対策の通信講座をとりつつ、英会話入門等の音読やディクテーションをやるとのことですね。

教材が分散してしまい全てが中途半端になってしまう恐れがありますが、いかがでしょうか。

勉強時間や本人の能力によると思いますが、1年程度で550→750と200点もUPすることは、可能なことなのでしょうか。もし、可能なら、どの程度の勉強が必要なのでしょうか。

時間数なり、消化する教材なり、できるかぎりで結構ですので、よろしくおねがいいたします。

私の回答

どのくらい勉強すればTOEICの点を200点あげることができるかということはなかなか いいにくいとことです。 一般的に考えられているよりも英語は上達に時間がかかります。

TOEICの点を100点 あげるために必要な勉強時間はだいたい300時間から400時間といったところでしょうか。 使う教材としてはTOEICの問題集をやったらいいと思います。

でも 400時間TOEICの問題練習ばかりやっているわけにもいかないでしょう。 TOEICの問題集をやって自分で不足していると思うところを他の教材で 補っていったらいいと思います。

要は生の英語を理解しつつなんども脳に通してやることをくりかえしていけばいいのです。 大切なのは英語を英語のまま早く理解する力です。

英語を日本語に訳す勉強は 効率が悪いですからやめてください。使う問題集もできれば日本語のものでなく 英語で書かれたものを選ぶようにしてください。

リーディングよりもリスニングの方が一般的に早く点があがります。したがってリーディング の点がよくて、リスニングの点が悪い人の方がリスニングがよくてリーディングが悪い人 よりも総合点は早く上がるようです。

TOEICは問題形式になれることによってかなり点をあげることはできます。 詳しくはTOEICの点をあげるためのテクニックの章をご覧ください。

英語の資格試験を目標に勉強するのはいいのですが、それだけが目標になってしまい、それ以外の勉強はしないという人がいますがそれはどうかと思います。

私の学校にも「とにかくTOEICの点が上げたい、だからTOEIC対策のクラスだけ取らせてください」という人が時々来ます。私はそういう方にはこう言っています。 TOEICのクラスはビタミン剤みたいなもので、たしかにそれを飲めば点はあがります。

私もTOEICのクラスを教えていますが、点をあげるテクニックというのはあるのです。でもそれだけやっているのでは本当の英語力はつきませんし、点数はすぐ頭打ちになってしまいます。

英語の勉強は体力をつけていくのと似ています。体力をつけるためには毎日栄養のあるものを食べて、運動をくりかえさなければいけません。

英語力も毎日英語のインプットとアウトプットを繰り返すことによって徐々についていくのです。ビタミン剤だけ飲んでいても健康な体は作れません。

英語力がついてくればTOEICの点などというのは自然にあがるものです。

Q.英検、TOEIC、TOEFLと代表的な3つの英語検定試験があります。自分の能力を測る有効な手段でしょう。 

私は中3の時、英検3級を受けて以来、一切上記の英語試験は受けていません。それに受ける気もありませんでした。自分の英語の能力の相対的位置がわかる安心さが、これらの試験の一意義であろうが、別に自分を相対的に考えていなければ、そんなの受けなくてもいい。受けようと受けまいと能力が変わるわけでもないし。だったら受けない。そう私は思っていました。

ただし、これから迎える就職において、それらの結果が1つの重要なバロメータになりうる。大学受験同様、自分の好きな会社に入りたいため万全に就職に備える必要がある。ということで、今は(いやいやながら)これらの試験を受ける方向を向いています。

これらの試験の点数・結果を目標として英語の勉強をしている人が多いようですが、私はちょっと違う道を進んでいるようで、どうなるかは多少不安です。 これらの試験のホントの意義って、何でしょうか?


A.英語検定試験の意義としては

1)一般の人に自分の英語力を知ってもらうためののバロメーターになる 例えば、履歴書に英検1級合格とかTOEIC930点とか書ければ「英語はできる」と判断してもらえます。ビジネスマンであれば海外との取引などさせてもらえるチャンスも増え仕事の幅も広がるでしょう。

私のような英語講師の場合特に資格試験に合格しておく必要性は高いです。それは世の中にはこうした試験を目標に勉強している人がたくさんいるからです。こうした試験に合格していたり、高得点をとれていれば生徒さんに信頼してもらえます。例えば私は通訳ガイドのクラスを教えていますが、私がガイド試験に合格していなければ「この先生のやり方でやってて大丈夫なんだろうか」と不安になる人もいるでしょう。

2)資格試験合格を目標にやる気を高める 人間なにかをやる時には目標があったほうががんばれます。「TOEFLで500点とれれば、アメリカの大学に入学できる」とか「TOEICで800点とれれば、海外の支店に転勤させてもらえる」とか思えばやる気もでるでしょう。

英検の場合はそれぞれの級にここまではマスターしてもらいたいという基準があります。たとえば3級は中学の範囲、2級は高校の範囲からの出題となります。ですから次の級の試験合格を目標に勉強すれば段階をおって勉強できます。

私もガイド試験や英検1級のために試験対策の勉強をしましたが、そのおかげでできた勉強もあります。もしガイド試験がなかったら日本のことを英語で説明する練習はしなかっただろうし、英検1級を目標にしなかったら難解な語彙を覚えようという気持ちはおきなかっただろうと思います。

Q.いつも楽しくホームページを拝見させていただいています。昨日、長年の夢であった英語検定1級の合格通知をいただき、とても喜んでいるのですが、これに甘んじることなくさらに通訳ガイドも取得したいと今考えています

ところで、通訳ガイドの件ですが、よく本を見るとかなりの合格者がハローアカデミーで学んだ方であることがわかりますが、ハローに通わなければ合格はできないのでしょうか。というのは、ハローの授業料は40万円位かかり、貧乏な私にとってはとても払える金額ではありません。なんとか、学校に通わないで、独学でがんばろうとしていますが、それは虫がよすぎるのでしょうか。稲垣先生はハローに通っていたのですか。独学で合格するのは無理なのでしょうか。

A. 英検1級おめでとうございます。独学で合格されたのであればすごいと思います。1級はなかなか手ごわいですからね。 ガイド試験合格のためにハローに通うことは必要かという質問だと思いますので、私の個人的な意見をのべさせていただきます。

まず私はハローに1年通って翌年ガイド試験に受かりました。私は合格はハローのおかげだと思っています。それには理由があります。 私が合格したのはかなり前のことになるのですが、当時のガイド試験はM大学のM先生という方とその助手の方が作っていました。その為ガイド試験はひどく偏りのある試験でした。この先生はなんと自分が書いている一見ガイド試験とは関係のないような本からガイド試験の問題を出していたのです。

私はこの事実をハローに行って知って愕然としました。このことを知ってM先生の著書を勉強している受験生はこれを知らない受験生よりも圧倒的に有利になるからです。 ハローがガイド合格者数を誇っていたのはこうした情報をよく調べていたからだと思います。

その後M先生が試験監督をやめられガイド試験はまともな試験になりました。今のガイド試験はまともな勉強をした人が合格できる試験だと思います。そういう意味では昔ほどハローに通わなければガイド試験合格は難しいということはないと思います。

私はガイド試験は試験のレベルとしては英検1級よりやさしいと思います。Tさんは1級に合格されているのですから、英語力のレベルとしてはガイド試験に十分合格できるレベルに達しておられると思います。来年ガイド試験合格の可能性は相当高いと言えるでしょう。

ただガイド試験は英検と多少違うところもあります。例えばガイド試験には英検には出ない日本事象を英語で説明する問題がでます。こうしたガイド試験特有の勉強はこれからやっていかなければならないでしょう。しかし他の読解問題や文法問題、イディオム問題、時事英語の知識などはもう十分だと思います。

以上からTさんはハローに通わなくてもガイド試験には合格できると私は思います。もちろん合格のために万全を期すのであれがハローに通ったほうがいいのは確かです。餅は餅屋というか、ハローは試験問題をよく分析していると思われるからです。

しかし、過去問をよく研究して自分なりに傾向を読んで勉強の計画を立てても十分合格することは可能だと思います。(模試くらいはペースメーカーとして受けたほうがいいと思います)

私はどうせ合格するなら最短距離で確実に合格する。その為の情報を得るためには多少の出費はいとわないというタイプですが、Tさんのように独学で勉強ができる方はその必要はないと思います。

<追加情報>

その後2006年から英検1級合格者や通訳ガイドの筆記試験が免除になりました。英検1級合格者は面接試験の日本文化についての試験にだけ合格すればいいのでずっと楽になりました。 

 

 

Q.大学受験以来、英語を出来るだけ遠ざけて来た私ですが、厚かましくも大学院進学を目指しています。

現在、私は人文科学系学部の3回生。院試験では英語・仏語の二カ国語を課す大学院が殆どで、私の場合、仏語はともかく、もともと苦手でここ2~3年なおざりにしてきた英語は、他の験生と張り合える実力などあるはずはなく、「やりなおしだ!」と心に決めたものの、どこから手を着けてよいか分からないのです。院試英語に向けての、何か良い勉強法や本などがあれば是非、教えて下さい。

 

 A.どんな試験対策についても鉄則は「敵を知ること」です。したがって入学を希望する大学院の入試にどんな問題が出されるかをよく調べることが大切です。

大学院の入試問題は普通書店等では手に入りませんが、大学院の窓口で頼むと過去問をコピーさせてもらえます。これをよく分析してどんな勉強をするべきかを考えるべきです。

一般的な傾向として、大学院の入試問題に出されるのは専攻分野に関する文献の英文和訳と和文英訳ということが多いようです。

英文和訳に関しては構文の勉強が大切だと思います。わたしのおすすめの英語教材で紹介した「総合英文読解ゼミ」などはおすすめできます。

あとは専攻分野で読むような文献をできるだけ多く読んでおくといいと思います。

和文英訳についてはできるだけ多くの英文を覚えておくことが肝心だと思います。私がやったのは「和文英訳の修業」という本と「話すための英文法」という本です。説明を読んで納得したらきちんと英文を覚えるようにしてください。

英語は一朝一夕にはできるようになりません。コツコツやっていくことが大切です。

大学院入試は大学入試と違って入試の結果だけで合否が決まるものではありません。これから研究者としてやっていけるかどうかを見るための試験ですから、実際に下について研究することになる教授との関係はとても大切です。 入試の準備とともに、自分が教えてもらう教授と関係を作っておいたほうがいいと思います。

英検は準1級まではすべてマークシートの択一式の問題ですが、英検1級だけは記述式の問題が出ます.そのうち1題はパラグラフの内容を日本語で要約する問題です。

受験生の中にはパラグラフの内容をなんとなく全体的に短くして要約を書く方がいますが、これでは点はとれません。

英文要約問題には解き方があるのです。 英文要約問題は英語のパラグラフというものがどのくらい理解できでいるかを問う問題です。(パラグラフについてはパラグラフライティングの項目をご覧下さい)。

パラグラフには主題文(Topic sentece)というものがあってこれがそのパラグラフの主題(パラグラフで言いたいこと)をあらわしています。

すなわち英文要約問題とは「パラグラフの中の主題文を探し、その部分を和訳せよ」という問題に他ならないのです。

主題文以外のところをいくら訳しても点になりません。主題文をきちんと訳して、まだ字数が余れば、パラグラフの中で次に大切だと思われる部分の情報を要約の中に入れればいいのです。

Q.今日、通訳ガイド試験一次合格の通知が届いていました。ハロー通訳アカデミーの3日間のセミナーに参加しただけで、ほぼ自己流学習なので、今後どういいった試験対策をしていいのかわかりません。

スピーキングが特に苦手でスピーチなどしたことがなく、不安です。たぶんいずれかの予備校の2次対策は受けるでしょうが、それ以外に自分で学習できることなどあれば教えていただきたいのですが。また、試験の心構えなどあればうかがいたいのですが。

 

A.ガイド試験1次合格おめでとうございます。 限られた時間で2次合格をめざしてがんばって下さい。 2次対策としてはまず

1.ハローの2次対策を受ける

これはでたほうがいいと思います。ハローの2次対策は受験者中7割くらいの人が受けると思います。面接試験の練習は受験番号順にならんで行いますから、自分が本番の試験でいっしょに受験する仲間と知り合いになれます。これは非常に貴重なことです。

2次試験は5人くらいのグループ面接ですが全然知らない人の中で受験するのと、仲間の中で受けるのでは気分がずいぶん違います。 またこうした仲間のルートを通じて当日試験直前に自分の前の面接ではどんなトピックが試験で聞かれたかの情報が入ってきます。

一つ一つの質問内容はわからなくても旅行について聞かれたのか、演劇について聞かれたのかといった全体のテーマが前もってわかっているだけでもずいぶん違います。

2.2次試験は採用試験である

ハローでも言われると思いますが、2次試験は英語の試験+採用試験であると思ってください。すなわち英語ができることも大切だが、通訳ガイドとしての仕事をする人としてふさわしいかどうかということを見られます。

会社の採用試験と同じです。明るく、はきはきと相手に失礼にならないように答えます。ユーモアがあればもっといいでしょう。

質問は何を問われているかよく聞きます。答えがわからない時に"I don't know."と言うのは非常にマイナスです。さけたほうがいいでしょう。

うその答えをするのも困りますが、そのものズバリの答えが出せなくても質問に関連することを一生懸命答えればいいと思います。

ガイドの仕事は相手に信頼してもらい、楽しんでもらうことが大切ですから相手が納得してくれればそれでいいのです。

当日の注意事項に関してはハローの指示に従ってください。

3.私が2次試験までにやったこと

私は1次試験合格通知を受け取ってから2次試験までは相当勉強しました。ガイド試験は2次に受からなければ最初からやり直しです。また合格率は約50%くらいだと思います。半分の人は合格できないのです。やるべきことは決まっているのですからベストの準備をして試験に臨むべきです。

私がやったのはハローの300選と2次の過去問集です。過去にでた手に入るすべての過去問に目を通し、300選にのっているものには300選にしるしをつけます。何度も出ているものはたくさんしるしがつきますからこれは出題の可能性が高い問題です。これは念入りにやります。勉強にメリハリをつけることは大切です。

300選にのっていない、過去の問題は300選に書きこみます。スペースが足りない場合は別の紙に書いてはさみこんでおきます。 こうして準備した素材を利用して私は妻に試験官の役をやってもらいそれに対して口頭で答える練習をしました。

2次試験は口頭試験ですからとにかく口を使って声を出して練習していかなければいけません。 別に300選や模範解答を丸暗記する必要はないのです。キーワードを使って自分の英語で説明できれば十分です。

全部を丸暗記しようとするのはあまりに負担が重いと思います。 3次試験はやさしいですから、2次が受かれば合格は目前です。今しか勉強する時期はないのですから頭がパンクするくらいやってください。

Q.英検準1級2次試験はどのような対策をしたらよいのでしょう?

A.スピーキングの力はすぐにはつきませんが、1次試験に合格されている方はインプットは十分なので、英語をアウトプットする練習をすることが大切です。 普段の生活ではなかなか英語を使う機会は少ないと思いますが、工夫すれば方法はいろいろあります。

まず江戸川の五郎先生という方のアドバイスを紹介したします。なかなか的確なので引用させていただきます。

1)毎日寝る前に一日の出来事を英語で言う習慣を付けること。

2)町中を歩きながら、アナウンサーがやるように目に見えるもの、聞こえてくるものを実況説明してみること。

3)夕刊などに載っている4コマ漫画などを見て、英語でストーリーを作ってみること。

その他私がおすすめするのは

4)2次試験に良く出る社会問題については意見をまとめておくこと。

5)英語掲示板に書きこみで英語を使うこと。

6)英語のチャットに参加するのも良いと思います。

ナレーションに関してのテクニック的なアドバイスとしては

7)よく模範解答には間接話法が使われていますが、間接話法は主語や時制を間違えやすいので、直接話法を使った方が楽だと思います。

8)マンガの中にある情報はすべて使いきることが大切です。時計の時間、登場人物の表情などにも注意を払ってください。

 

次に質疑応答についてですが、五郎先生の以下のようにアドバイスされています

(1)質問が分からないときは必ず聞き返す。

(2)聞き返しても、分からないときは大体の検討で答える。

(3)沈黙は決してしない。

(4)Personal Questionの際、なるべく詳しく話が出来るようにしておくこと。 趣味などについて聞かれたら、試験官からストップがかかるくらい詳細に話すこと。実際、この段階でストップがかかる受験生は合格の確率が高くなっています。 

私の意見は (1)のわからない質問にすぐ聞き返すことは危険だと思います。Pardon?と聞き返すと、聴き取りの力が弱いと判断され減点の対象になる可能性があるからです。

しかし、わからないままトンチンカンな答えをするのはもっと減点されます。質問は全神経を集中して、懸命に聴き取ろうとしなければいけません。それでも質問の意図がよくわからない時は You mean .....? と相手の質問を自分で解釈して聞き返すのが安全だと思います。

(3)の「沈黙はしない」というアドバイスは大切です。言うことを考えている間はWellとかLet me seeとか言って沈黙をさけます。

「8.『語核』と英語学習」の章の「9.自分が話す番をキープする為の言葉」に間を保つ為に使える言葉がたくさんでていますから、普段から口癖のように練習しておくと良いでしょう。

If you were ...... , what would you have .......? という仮定法には仮定法で答えなければなりません。これは必ず出題されますから練習しておきましょう。

落ち着いてやれば大丈夫です。試験官を楽しませるくらいの気持ちで試験に臨ん下さい。

Q.英検2級を6/20に受けまして、自己採点の結果合格していると確信いたしましたので 10月に準1級を受けようと今から準備し始めている次第であります。

そこで以前から興味がありました茅ヶ崎方式を試してみたいと思っているのですがどんなものか皆目見当も付きません。もしよろしければどれか具体的に本の名前をアドバイスいただけませんか。

まず語彙力を付けるために時事英単語4000語と言うのをやってみようかと思っていたのですが、稲垣さんがHPの中ですすめてらしたものは単語がメインですか。あるいは短い文になっているのでしょうか。

私の英語力ですが大学(理工系)を卒業してはや10年が経ちますし、その間英語はしていませんでした。

今回の2級は9割でした。また準1級の問題にもチャレンジしてみたところ6割でした。TOEICは6,7年前に580点でした。 あつかましいですがアドバイスお願いいたします。 
 

A.まず英検準一級の合格ラインですが、大体6割5分くらいだと思います。7割とれれば合格はまず間違いないでしょう。したがってTさんはかなり合格に近い位置にいると言えるでしょう。

現在の力で受験すると、おそらく不合格Aという結果になると思います。後はどこで残りの5%を確保するかだと思います。

5%と聞くとやさしそうですが、結構この5%がきついのです。英語はどこから出題されるかわからないので、相当広い範囲のことを勉強しないと合格ラインまで達しません。かなりの受験生がこのレベルで合格できずに苦しんでいます。

英検準一級の受験者のかなりの割合の方が、1番の語彙の問題を苦手としている傾向があります。他の部分では7割以上の点がとれるのに、1番の語彙の問題が6割を割ってしまう人が多いのです。 そこで語彙を補強するための教材が必要になるのですが、茅ヶ崎方式はおすすめできます。というのは毎年かなりの割合で茅ヶ崎方式の教材からの語彙が英検の問題に出題されているからです。

私の想像するに、現在英検の試験問題を作っておられる試験委員の方にこの茅ヶ崎方式にかかわっている方がいるのではないかと思われます。

国際英語基本4000語は「基本」という言葉がついているのでやさしいテキストと思われがちですが、これは茅ヶ崎方式であつかう語彙すべてを収録した本で、これは辞書替わりに使う本です。茅ヶ崎方式の他のテキストや英字新聞を読んでわからないことが出てきたときにこの本で確かめると良いと思います。

私がクラスで使っている本は英語教本Book2と時事英語教本[応用編2000語]です。テキストにの他に別売ですが内容をネイティブのアナウンサーが英語で吹き込んだテープまたはCDを買うことができます。

 英語教本Book2は改訂されてから量がかなり増え以前のものより、難易度が増しました。内容はup to dateのものになってずっとよくなりました。このテキストは政治,経済、外交などカテゴリーごとに勉強できるのが良いところです。

時事英語教本[応用編2000語]は時事英語教本[応用編]の単語の用法をフレーズでコンパクトにまとめたもので、[応用編]よりこちらの方が使いやすいと思います。この本は単語がアルファベット順に並んでいるので、少し覚えにくいです。

英検準1級レベルの語彙はこの2冊をやっておけば、ほぼカバーできるでしょう。単語はすべてニュースで使われた文またはフレーズの中で使われています。

このほかにバイマンスリーという英語のラジオニュースを集めた教材があって、こちらの方は教本に出てくる語彙が実際にニュースの中でどのように使われているのがを知るのに役にたちます。時間があれば別売のCDを聞いてディクテーションしてみると良いでしょう。

とりあえずは英語教本Book2で政治、経済、外交、防衛などで絶対に必要な語彙を確保し、その上で応用編2000語を毎日少しずつでも覚えていくのがいいのではないかと思います。

両方の教材ともテープまたはCDがついていますので、これもうまく使って目と耳と両方からインプットしていくといいでしょう。

できれば、英字新聞を購読し、1面だけでも必ず読むようにすると、茅ヶ崎方式の語彙がいかに頻繁に登場するかということが実感として良くわかると思います。

私は茅ヶ崎のテキストを覚えながら、毎日ジャパンタイムズを読んでいました。 秋の英検まで、どのくらいの量がこなせるかはわかりませんが、やればやっただけのことはあります。

硬派の教材ですので、結構骨がありますが、私は自分では勉強してよかったと思います。 英検も最近は2次の面接試験で落とされる場合が増えていますから、油断せずに本番と同じような形で、予行演習をしておくと良いでしょう。

特に準1級の面接試験は練習が必要です。是非がんばって合格を勝ち取って下さい。 参考までに茅ヶ崎方式のホームページをアドレスを入れておきます。 http://www.catnet.ne.jp/chigasak

Q.稲垣さんにお聞きしたいのですが「自信をもって書ける英語」はどうすれば獲得できるのでしょうか。

.「自信を持って書ける英語」がどのくらいあるかはその人の頭の中にどのくらい英語がたまっているかに比例します。

頭の中に英語がない場合は単語を文法で組み合わせて、英文を作ることになりますが、これは非常に危険です。文法的にはあっていても誰も使わない変な英文になる可能性が強いからです。

私は英作文は「英借文」だと言っています。自分で英文を作るのではなく覚えている正しい英文を少しアレンジして書くということが一番確実で安全だということです。

したがってその人が自分がどこかで覚えてこれは「間違いない」と確信できる英文が多ければ多いほど、「自信をもって書ける英語」は増えるということになります。

試験というのは、「それを目標に勉強しよう」とする強いモーチベーションを持てる良い刺激になりますから、ガイド試験がせまっている今は集中して勉強できるチャンスです.

あとわずかな時間、ベストをつくして、今年合格できるようにがんばってみたらいかがですか? 一次試験合格された場合は、二次対策のアドバイスさせていただきます。がんばって下さい。

Q.暗記すれば楽勝なんでしょうが、覚えなくてはと意気込む反面 「暗記はきらいだ」という気持ちがでてくるので自分でも嫌になります。

A.インプットの「学習」のところでも、書きましたが英語を意識して覚えることは、確実に英語力の向上につながります、これをどのくらいコンスタントに長く続けることができるかがその人の英語力を決定するといってもいいくらいです。

 「暗記はきらいだ」という気持ちもわかります。人間自分の知らなかったことを無理に覚えうとすることは苦痛なものです。でもこれは避けて通れません。

私は強制的にいろいろなものを覚えさせられてきましたから、いつしか英語を覚えるのが習慣化してしまいました。電車にのっている時や、道を歩いている時も英語を覚えていないと、時間を無駄にしているような気がしてしまうのです。

やってみるとわかりますが、英語を覚えるのは最初は時間がかかりますが、そのうちあまり努力しなくても楽に覚えられるようになってきます。体が英語を受け付けようという体質になってくるんですね。

効果的に覚えるコツとして私がアドバイスできることは、「同じものを繰り返す」ことでしょうか。新しい単語は始めて接したときはなかなか定着しなくて、すぐ忘れてしまうものですが、二度目に出会ったときは「ああ、どこかで見た事あるな」と感じるはずです。そして三度目にはかなり単語と「親しく」なっているはずですから、覚えやすいし忘れないものだと思います。

ガイドの勉強もつい新しい教材に目が行ってしまうかもしれませんが、ハローの教材で十分だと思います。何度も、何度もやっているうちに英語はいつのまにか定着します。反対に勉強をやめてしまうと、せっかく覚えた英語も忘れてしまうので、効率が悪いのです。

Q.通訳ガイド試験の「和文英訳」で確実に点をとりたいのですが何か秘訣はあるのでしょうか?

A.和文英訳に関してはポイントは2つです。

  1つは「自分が自信を持って正しいと思う表現」しか使わないことです。和文英訳は減点法で採点されるからです。日本語をそのまま英語に訳そうとすると、変な英語になりがちです。また語法なども間違えてしまって結局減点されます。

要は意味が伝わればいいのですから、自分の書きやすい正しいと確信が持てる英語表現で書けばいいのです。

  模範解答などには難しい表現が使ってあることが多いのでが、やさしく分かりやすい表現で書けば十分です。ガイドというのは、誰にでもわかるように、やさしく説明するのが仕事なのですから。

  もう1つはキーワードを落とさないことです。和文英訳には採点者がこれだけはちゃんと説明してほしいと思っているキーワードがあるはずです。これが書かれていないと減点の対象になります。こうしたキーワードをどのくらい知っているかが勝負です。

 またどうしてもキーワードにあたる英語が思いつけなかったら、他の英語で説明します。多少減点されると思いますが、大幅減点よりはましです。臨機応変に対応してください。

通訳ガイド試験に合格するためには日本のことを英語で説明できなくてはなりません。

ハロー通訳アカデミーが出している300選という教材があるのですが、これを全部、丸暗記しようとする人がいます。説明がコンパクトでとても良い教材ですが全部丸暗記するのはちょっと大変だと思います。

私も300選は使いましたが、すべて丸暗記しても莫大な時間を食うので、キーワードだけを覚えておき、あとはこのキーワードを組み合わせて自分の英語で説明するようにしていました。

たとえば、料理を説明するためにはingredientという単語を知らなければどんな材料を使うのか言えません。歴史ではfeudal systemやwarriorなどは知らないと困ります。スポーツではmartial artという言葉を知らなければいろいろな武道のことは説明できません。この分野に関してはこの単語というのを分野ごとに20から30個ほどピックアップしてそれを確実に覚えておくことが大切です。

 「日本:その姿と心」という本を推薦している学校が多いのですが、この本は書き言葉で覚えにくいので、私はこの本の会話版とも言える「日本を語る」(アルク出版)の方を授業では使っています。この本で足りない分を300選で補っていけばよいでしょう。

最近はガイド試験に時事英語的なものも出題されるので、これをおぎなう為に茅ヶ崎方式からでているバイマンスリーというラジオニュースを集めた雑誌に目を通しておくとよいと思います。

私の通訳ガイドクラスで勉強している内容を以下のページで公開しています。

通訳ガイド試験に合格しよう

英検準1級がなかな合格できない、TOEICで800点がとれない方に茅ヶ崎方式の教材をおすすめします。

  茅ヶ崎方式はNHKのradio Japanという英語のニュースを書いていた記者によって開発された教材で、ニュースに頻繁に使われる4000語の単語と熟語を系統だててマスターできるようにつくられています。

このうち応用編で学ぶ2000語が英検準1級やTOEIC800点レベルにあたります。  「時事英語教本」の応用編でもよいのですが、学習のしやすさで私は2000語をABC順に短い例文と共に並べた「時事英語教本、応用編2000語」の方を使っています。

茅ヶ崎方式のおもしろさはこれら4000語を使って書かれたニュースが隔月の雑誌バイマンスリーにテープと共に掲載され単語が実際にニュースの中でどのように使われるのかがよくわかる点にあります。

私がフィニックスで教えているクラスではテキストの単語を毎回60語英語で説明してこれらを次回までに覚えてきてもらい、バイマンスリーのテープを使ってニュースのディクテーションをしてもらっています。これにより英検,TOEICに必要な語彙力、読解力、聴解力を総合的に高めることができます。

  英検準1級に合格できない理由はいろいろありますが、語彙力が不足している場合がほとんどだと思います。日々の身近なニュースを使って語彙力をつけることができる点で私は茅ヶ崎方式をおすすめいたします。

  時事英語教本応用編の下には基礎編がありここでは応用編の2000語の前に学ぶべき1000語があつかわれています。こちらの方は教本2の名前で最近改訂版がだされました。TOEICで700点をとれない場合はまずこちらの方を勉強された方がいいでしょう。

  茅ヶ崎方式のテキスト群は大手の本屋さんならほとんど並んでいると思いますので一度手にとって御覧になってみて下さい。

◆ このページでは、英検、TOEIC、TOEFL、通訳案内業国家試験などの試験対策についてののアドバイスを集めてみました。

Q.一年ほど前に英検準1級を取得しています。しかし、TOEICは苦手の様で、前回で3度目の受験なのですが、得点は500点台です。英検と比べ、TOEICではどういった点に気をつけて勉強すべきなのでしょうか。

A.TOEICで要求されていることは簡単に言えば大量の英語を迅速に処理することです。

TOEICに出される英語はビジネスマンが日常普通に接するものばかりで語彙の難易度という点では英検準1級よりやさしいと思います。

ただ英検の場合は大学入試の問題のように考える余裕があるのに対しTOEICの場合はこれがありません。

リスニングに関してはとにかく集中してすばやく問題に答えることが大切です。少しでも考えたり悩んだりすると次の問題に対する集中力が薄れ混乱しその結果大量の得点を落とすことになります。

テスト中のわずかな時間を使って設問を読んでおいてから聞くと理解力がずっとよくなります。どこに集中して聞けばよいかがわかるからです。

リスニングの問題では選択肢をすばやく読まなければならないので実際には速読力も試されてるのです。このテクニックはTOEICの高得点者は皆使っていると思います。

リーディングセクションの文法問題に関しては英検準1級に合格できる方であれば基礎は十分にできているはずです。もしも点がとれないようであればどれか1冊TOEICの文法の問題集をやるといいと思います。特に誤文訂正問題はある程度の練習が必要だと思います。文法問題で悩んでしまうと次のリーディングに回す時間がなくなります。

TOEICのリーディングの問題は英検や大学入試のような読解問題ではなく情報を探す問題です。英検準1級の読解問題より語彙の難易度はずっと易しいはずです。しかし量は多いと思います。のんびりやっていると最後まで問題をやりきれません。

また出題される問題も手紙、メモ、広告、注文票、時刻表などビジネスマンが日常接するいろいろな形式の文章が出されますので何がどこに書かれる情報なのかを知っておく必要があります。そしてまず設問を呼んでおいてから本文を見て要求されている情報を探すのです。

ここでためされているのはいわゆるスキャンニングとかスキミングと呼ばれる速読力です。 迅速な英語の処理ができるようになる為には英語を聞いたり、見たりしたらその瞬間にその意味が理解できるようになっていなければなりません。

絶対にやってはいけないことは英語を日本語に訳して理解しようとすることです。英語を日本語に訳すると時間がかかります。その結果情報処理速度が極端に遅くなってしまうからです。

あとは本番と同じように時間を区切って2時間で問題を解く練習を何度もして下さい。2時間集中力をキープするのも結構大変なものです。 英検準1級に合格できる方であれば、練習をつめばTOEICで800点はとれると思います。がんばって下さい。

★TOEICの勉強方法に関しては34.TOEICスコアアップ法をご覧ください。

さらに、日本語の場合は内容語を表記する、漢字が表意文字だということが、理解を助けます。漢字は世界でもまれな、文字自体が意味をもつ表意文字(ideogram)なのです。

世界の言語のほとんどは、表音文字を使っています。アルファベットにしても「ひらがな」にしてもハングル文字にしても、それは単なる発音を意味する文字にすぎません。

これに対し、漢字はそれぞれが意味を持っていますから、その文字を見ただけでその意味することが大体わかるのです。魚へんがついた文字は、魚の名前なんだろうということは想像できますし、日本語で多用される、漢字2字の言葉は組み合わされた2つの漢字から大体その意味することはわかるのです。

こうした理由で、読むということに関しては、内容語が漢字で強調され、かつその漢字が表意文字である日本語は、音声だけにたよって内容語やその意味を把握していかなければならない英語よりもずっと理解がしやすいのではないかと思うのです。

英語は内容語が機能語よりも強調されて話される言語だということはお話しましたが、逆に表記に関しては日本語の方が英語よりもはるかに内容語を強調する言語だということにお気づきでしょうか?

その原因となっているのが漢字の存在です。日本語の場合、内容語の部分はだいたい漢字で表記されていますから、日本語を読む時は漢字だけ読んでいけば、文の意味はだいたいわかります。

日本語の文を見ると、漢字の部分がパッと浮き出て目に飛び込んできます。私達は日本語を速読する時は無意識のうちに漢字だけを目にとめて読んでいるのです。

これに対し、英語は内容語も機能語も同じように表記されますから、一見しただけではどこが内容語で、どこが機能語か区別つきません。全体として、ベタッと書かれているという印象です。

どこが強調される内容語の部分かということは、実際に自分の中で音声にしてみて初めてわかるのです。

会話をスムーズに運ぶためには「幕間つなぎみたいな役割をするフレーズ」はとても大切です。

次に言うことを考える為に黙ってしまうと、相手は沈黙に耐えられなくなって話し始めてしまいます。これを防ぐには「まだ私の番ですよ、すぐ話しますから、ちょっと待っていて下さい」ということを相手に示さなくてはなりません。

その為に使われるのが次のような「自分が話す番をキープする為の言葉」です。日本語の「えーと」にあたるものですね。

"Uh..." 
"Well..." 
"I think..." 
"I'm not sure..." 
"Let me see..." 
"Let me think..."  
"Just a second"
"Um, how can I say this..."  
"Ah, yes, now..."
"Well, actually..."  
"That's a very interesting question..."
"You see..." 
"How shall I put it?..." 
"Well, as far as I can see,,,"  
"It's like this..." 

これらの言葉は会話をスムーズに運ぶ為の潤滑油のような役割を果たします。 他に、相手が質問してきた場合は相手の質問をそのまま上がり調子で繰り返す手もあります。

相手の言っていることがわからない時に使うものとして「わからない単語を上がり調子で言う方法」の他にfocused repetitionという方法があります。これは相手の言っていることがその部分だけわからない時に、わからない部分のみを聞く手法です。

これはThe Culture Puzzle(Prentice Hall Regents社)というテキスト中に出てくる例です

Head Waiter: That table needs another butter knife.
Bus Boy: Another...?
Head Waiter: Another butter knife.

これは、わからい部分を空白にして、その前の単語を上がり調子にして、わからない部分を言わせようという手法です。

Head Waiter: Take anoher butter knife to that table.
Bus Boy: Another what?
Head Waiter: Another butter knife.

これは、わからい部分にwhat, where, when, whoなどの疑問詞を直接挿入して、その部分を聞く手法です。

私はアメリカ人との会話においては、自分が相手に言っていることをどのように理解しているかを伝えるフィードバックがとても大切だと思うんです。

これは社会言語学の授業で習ったことなのですが、アメリカ人というのは会話の中の沈黙に耐えられないらしいんですね。会話の中で自分が話し終わって、誰も話し始めないで沈黙が続くと、とてもuncomfortableに感じて、沈黙を埋めるためにまた自分が話し始めることが多いんです。

日本人の場合、英語がわからない上に、会話というのは相手が話し終わるのを待ってから話すのがマナーだと思っていますから、相手が話し終わるのをジッと待っていることが多いのです。

フィードバックがないですから、アメリカ人は「理解してもらっているか」不安に思いながらも一方的にワーと話すことになります。

日本人の方はそのうちアメリカ人の言っていることがわけわからなくなってきて、相手が話し終わっても何も言えず、沈黙が始まります。するとアメリカ人は沈黙に耐えられずにまた早口で話し始めるというパターンになってしまうのです。

こうしたことを防ぐ為に、とにかく相手が話している間に何らかのフィードバックを返して、会話をコントロールしなければなりません。

相手の言っていることがわかっている時に、uh-huhとかI see.とかYou did!とかあいづちを入れていくことも大切ですが、もっと大切なのは、相手が言っていることがわからない時に、相手に返すフィードバックです。

私の紹介した「相手の言っていることを上がり調子で言うフィードバック」は簡単で効果的なものですから、英語力があまりない方でも十分に使えます。

日本人は相手が話しているのを妨げて、こちらが割り込んで質問するのは失礼だと、どうしても感じてしまうのですが、そんなことはありません。フィードバックがあったほうがアメリカ人も安心するし、自分の話している内容に興味を持っていると感じるものです。

聞き取りに関しては内容語、特に語核の部分に注目して聞けば、相手の言いたい内容はかなりの部分は想像できます。相手の言ったことをすべて聞き取れなくてもコミュニケーションはそれなりに成立するのです。

語核を使って会話をコントロールして、相手の言っていることを理解する良い方法をご紹介しましょう。これは相手の言っていることが20%くらいしかわからない時に特に有効です。

まず相手の話している英語に100%集中して、相手が話している言葉の中で強く発音されている言葉(つまり語核の部分)を聞き取ろうとします。

そして強く発音されている言葉の中でわからない単語があった場合はこれを相手のすぐあとに繰り返して言ってみます。相手の言った通り言えなくても聞き取れた最初の部分だけでもかまいません。 この時に上がり調子のイントネーションで言うのがコツです。「あなたの言ったこの単語はどういう意味ですか?」くらいの気持ちです。

すると相手は「ああ、この人はこの単語がわからなのだな」と察知して、その単語をゆっくり言いなおしてくれたり、他のやさしい言葉で言い換えてくれます。

この方法によって、会話の大切な部分(語核の部分)を相手に説明させて、確認しながら会話をすすめていけば、相手を自分のペースに引き込むことができます。

会話の聞き取りで最大の問題は、「相手の言っている内容がわからない時どうするか」だと思います。わからないまま黙って聞いていると、話題はどんどん進み、ますますわからなくなります。全くわからなくなる前にある程度会話をコントロールして相手に自分がわかるように話させるようにしむけなくてはなりません。

I beg your pardon?と聞き返すのも1つの手ですが、これでは相手はどの部分がわからなかったがを知ることができないのが難点です。

その点、この「わからなかった言葉をくりかえす」方法は、相手にどの部分を説明してもらいたいのかがすぐわかるのでとても便利です。

そして、相手にも「この人は自分の話していることを、一生懸命に聞き取ろうとしてくれている」という良い印象も与えることができます。

ニュースや映画の英語を聞き取るのは、相手が機械ですから、「ちょっと待って」とか「そこのところを説明して」とか言えないのですが、会話の場合は自分で会話をコントロールして相手に自分に合わせて話してもらうことも十分可能です。

聞き取れない自分が悪いと卑下するのではなく、会話は相手と自分の協力で成り立っていくものだと考えてください。

英語は「強く、はっきり話される部分」と「弱く、速く話される部分」があることは述べました。

そしてこの「弱く、速く話させる部分」には音が連結したり、脱落したりして、個々の単語を発音する時とは違った音で発音されることが多いのです。

この音の連結、脱落(Reduction)の典型的なパターンに慣れておくと、聴き取りが楽になるし、話す時もより自然な調子で話せるようになります。

次の例は LISTENING IN THE REAL WORLD(Rost & Stratton著.LINGUAL HOUSE社)という本に出てくる英語の Reduction の例です。上の文は下の文のように発音されます。

I'll call her again tonight.
I'll call 'er again tonight.

I'm going to leave now. I
'm ghh-nah leave now.

Was he with you last night?
Wah-ze with you last night?

It doesn't cost much.
It duhz-n cost much.

Did she call you last night?
Che call you last night?

Have you ever been to Arizona?
V-yuh ever been to Arizona?

Could he go with you?
Cu-de go with you?

ネイティブスピーカーの英語がノンネイティブの英語より聞き取りにくいことがありますが、その理由の1つはネイティブの英語は音が連結したり、弱化したりして単語の時とは違った音で発音されがちなのに対し、ノンネイティブの英語はこの傾向が少なく、それぞれの単語の発音通り、はっきり発音されるからです。

 この点を漢字にたとえるなら、ノンネイティブの英語は漢字でいえば、楷書にあたり、ネイティブの英語は行書や草書にあたると考えていただければ良いと思います。

英会話教材の英語は楷書や行書のことが多く、ニュースの英語は行書程度、映画の英語は草書くらいにあたります。ここで紹介した英語は行書程度の英語です。  

「語核」のところで、英語には「強く、ゆっくり発音される部分」と「弱く、速く発音される部分とがある」と説明しましたが、この2つ部分のメリハリをつけて話すと英語らしい調子で話すことができます。

そして英語は、「強く発音されている部分(stressed syllable)が同じペースで来て、弱く発音される部分はその間にまるで付けたしのようにして発音される」という傾向があるので、次のような練習をすると英語らしい調子で話せるようになります。

次にあげる例はPinch & Ouch(野村陽子著)の中にある練習です。

 [Tell] her to [call] me. Could you [tell] her to [call] me. I'd [like] you to [tell] her to [call] me.

 [ ]の中の単語が強く発音される音節です。

まず最初に[ ]の中の単語だけを手でリズムをとりながら、手を叩いたときにそれぞれの単語を発音するように練習します。

次に弱く発音される部分を、手を叩く間の時間に速く付けたしのように入れて全文を読んでいくのです。この方法で練習すると、日本人特有の、すべての単語が同じ調子で読まれる平板な調子がだんだん取れていきます。

この原理を応用した教材としてグラハムのJazz Chantsがあります。

英語を話す時も語核(自分が最も言いたい単語)を強調すると、自分が言いたいことが相手にずっと伝わりやすくなります。

全体として日本人の話す英語はどの単語も同じような強さで話す日本語のクセが抜けず、強弱のない平板な英語になりがちです。日本人が何を考えているのかわからないと評判が悪い原因の1つはこの抑揚のない平板な話し方にあると思います。

以前、ドラマのところでお話したように、言語には情報を伝えようとする機能の他に、感情を伝えるという機能があります。そして感情は話す英語の語核を強調することによって、自然に入れることができるのです。

ドラマを英語教育に使うと良いところは、同じ英語の文であっても使われる状況によっていろいろな言い方ができることを教えられるところです。

次にあげる例は「英語を実用的に使う本」(森 喬伸 著)に書かれているものですが、どの語を語核にし、強調するかによって同じ文がいろいろなニュアンスの違いを持ってくることがよくわかります。

 「英語を実用的に使う本」ワニ文庫 森 喬伸著 P41~P42より

I am going. についていえば、次の4つの意味の違いが,声の上げ下げと強弱でいいあらわすことができる。(〔 〕の中の単語が強調される単語です。)

(1)I am going.とふつうの読み方をすると「私はいきます」という気持ちを一般的にあらわす。ところが

(2)I am 〔GOING〕.とGOINGの部分で声を上げると同時に強く発音すると、「いくぞ!」という感じになる。どこかに一緒にでかけようと、亭主が待っているのに奥さんが長化粧。「なにをぐずぐずしてんだ」ということばが、のどまででかかっているときのセリフである。

(3)I 〔AM〕 going. と大文字のところを強く発音してみるとわかるが、どぎつく、ヒステリックに聞こえるはずだ。亭主にせかされた奥さんが「いくったら、いきますよ」と返事している状況である。さらに

(4)〔I〕am going. と「I」の部分を強めていえば、これは「誰か行ってくれますか」という質問に対して、「私がいきます」とみずから名乗りでるときの気持ちをあらわしている。

「語核」を分析する上で有効でと思われる言語学的概念として、内容語と機能語があります。

内容語とはfather, good, run, oftenなどのように事物の名称,性質、動作、状況などを表現する語のことをさし、名詞、形容詞、動詞、副詞などにあたります。

これに対し、機能語とはon, to, and, the, canなど主として文中における文法構造上の関係を表すために働く語であり、前置詞、接続詞、冠詞、助動詞などに当たります。

「語核」にあたる語というのは、たまに機能語のこともありますが、内容語のことがほとんどです。そして日本語と英語では内容語と機能語の話され方に差があるのです。

日本語の場合は内容語も機能語もそれほど区別せずに、同じような強さ、速度で話されます。しかし、英語の場合は内容語の方は強く、はっきり発音するのに、機能語は弱く、速く発音される習性があるのです。

内容語のうち、その状況で特に話者が強調したい内容を持つ単語(すなわち「語核」)は他の単語よりもさらに誇張されて強く、長く発音されます。

この英語の習性がわかると、英語はずっと楽に聞き取れるようになりますし、同時に英語らしい強弱の入った調子で英語を話せるようになります。

「耳からはじめる英会話」によると「語核」とは「ある状況でもっとも大切な言葉」を意味します。

聞き取りにおいてはこの「語核」を察知すれば、相手の言いたいことがわかり、話す時にはこの「語核」と簡潔に使えば、自分の言いたいことを適切に伝えることができるわけです。

私はこの「語核」というのはあると思いますし、これを会話の中で自由に使えることができるようになることが、うまくコミュニケーションをするコツだということはその通りだと思います。

ではこの「語核」というのはいったいどんなものなのでしょうか?

日本語と英語には「語核」の使い方に違いがあるのでしょうか?

もう少し分析的に考えてみたいと思います。

最近の英語教材の傾向として、「国際語としての英語を教えよう」というのがあります。

昔は確かに以前は英語は英語を母国語としない人々が英語を母国語をする人達とコミュニケーションをする為のものと考えられていました。英語はイギリス文化や、アメリカ文化と結びついており、英語を話す時はネイティブスピーカーのやり方に合わせるべきだというのが一般でした。

しかし現在では英語は世界中の人々が互いにコミュニケーションするための国際語として考えられるようになってきました。すなわち英語を母国語としない人々同士がコミュニケーションするために英語を使うようになってきているのです。こうしたことを背景にしてテキストの内容にもいくつかの変化が出てきています。

まずテキストに登場する人物が変わりました。昔はアメリカ人やイギリス人の名前がほとんどでしたが、今では世界中の人が登場します。中国人、日本人、マレーシア人、タイ人などの他、イラン人、ケニア人、インド人、ロシア人など過去には見られなかった名前が多数出てきます。

内容も昔はアメリカ文化やイギリス文化をあつかったものがほとんどでしたが今では世界各地の風俗習慣がとりあげられています。

私は英語を母国語としない人々同士がコミュニケーションするのに必ずしもネイティブスピーカーのやり方を使う必要はないのではないかと考えます。それよりもいろいろな文化を背景にいろいろな種類の英語が使われるようになってきているのですから、そうした文化の差に敏感になると同時に、その違いに寛容であることが必要になってきているのではないでしょうか?

私は鈴木孝夫氏の国際英語の概念に基本的には賛成です。

もちろん、私も日本人が英語を学ぶモデルとしては、アメリカかイギリスの標準英語を選ぶべきだと思います。発音もなるべくモデルの英語に近づけるように最大限の努力をすべきです。

しかし、アメリカ英語やイギリス英語だけが正しい英語で、他の英語は間違った英語と考え、これを軽蔑することは誤りだと思います。インド英語も、フィリピン英語もアメリカ英語と同じ英語の1つです。私たちは国際社会ではこのような英語も聞きとっていかなければならないのです。最近のリスニング教材にあえて標準的な英語だけでなく、いろいろななまりの入った英語が取り入れられているのもそうした理由からだと思います。

 また、あまりネイティブスピーカーのように話すことにばかりこだわっていると自分の英語にいつまでも自信が持てず、その結果、英語で自己主張することが恐くなってしまいます。「英語は度胸」だと思います。多少ブロークンでも相手にわからせてやろうという意気込みでどんどん自己主張していくことが話す力をつける秘訣だと思います。

鈴木孝夫氏が国際英語として英語を学ぶ方法として薦めている方法に、「日本もの」を使った学習があります。

民族英語として学ぶのであれば、英語を学ぶ教材は英米の文化を背景にしたものでなければならないが、国際英語として英語を学ぶのであれば、何も「英米物」を使う必要はない。日本のことが英語で書いてあるものを使って英語を学んだほうが、効率良い英語学習が可能なのではないか?ということです。

たとえば背景がわからないアメリカのニュースをThe New York Timesで読むことは学習者に英語がわからないことと、背景知識のわからない二重の負担をかけます。しかし、教材にThe Japan Timesを選べば、背景知識がある分だけ学習者は楽に勉強できます。その結果、英語の習得の部分にだけに集中できるので、早く、沢山の英語を吸収できるというのです。

私は国際英語を意識して「日本もの」を使って英語を教えることを実践しています。例えば私は「通訳ガイド」のクラスを教えていますが、ここでは生徒は日本の文化を英語を使って説明することを学びます。

時事英語のクラスで教えるのは日本のニュースが中心です。生徒は身近で起こったニュースを英語ではどう言うのかを学びます。

英語落語のクラスでは桂枝雀が英語にした古典落語や日本を舞台にしたオリジナルの英語落語を生徒は覚え、発表します。

こうした「日本もの」を使った英語学習は、私は英語を身近に感じ、発信型の英語を身につけるのに効果があると思っています。

この点については鈴木孝夫氏が「武器としてのことば」のP188~190で説明しているので、その部分を引用させていただきます。

外国語の上達法の第一は、出来るだけ短い期間に集中して沢山の本を読み、話し、聞き、書くことである。殊に運用能力といった実践的な目標に向かう場合は、外国語に接する密度の高いことが決定的である。

自分にとって内容のよく分からない、難しい外国の思想や、見たこともない事物や現象が頻繁に出てくるような原点を、多大の時間をかけ、まるで暗号文を解読するように読むことは、一般の語学学習としては、最も能率が悪い。

新聞にしてもイギリスのタイムズ紙を苦労して少し読むより、ジャパンタイムズを毎日欠かさず読む方が遥かに英語力がつく。外国の新聞雑誌は、事柄の前後関係や、社会的文脈、彼ら独特の比喩や言及が分かっていないと、初心者には意外に読めないものである。  日本の英字新聞の良い所は、前の日に日本で起こったことが、すぐ英語になって出てくることだ。津波や火山の噴火があれば、次の日にそれが記事になる。あのことを言っているのだなという主題の見当がつく外国語は、内容が分かっている強みで、たとえ二,三の判らない単語があっても、どんどん読んでいける。辞書を引かなくても、知らない言葉のおよその意味を前後関係で察することさえ可能である。

その反対に単語が分からない、文法も自信がない、その上考えたこともない内容、見たこともない外国の事物が語られ扱われているような、本格的や外国語の文章は、言語と内容の両方の難しさが絡み合って、何が何だかわけが分からなくなるのである。

日本ものを教材に使えば、日本人にとって内容は先刻承知であるため、学習努力の殆どは言語に集中できる。どんどん読めるから沢山読む。沢山読むから出来るようになる。出来るようになれば、その段階で外国物を読んでも、今度が語学力がついているから、未知の事項や馴染みのない思想でも、それなりに理解できるようになるのである。

私達の学校では年に2回海外研修をやっています。内容は1週間から10日ほどのクルーズ船のツアーに参加するというのもです。クルーズ船の中はまるで巨大な社交場のようで、劇場、レストラン、カジノ、スポーツジムなどありとあらゆるエンタテーメントがそろっています。

私達の生徒はこうしたエンタテーメントに参加して他の英語を話す乗客と友達になります。ディナーテーブルは生徒を必ず他の乗船客と座るように手配してありますから、彼らは食事の間中テーブルメイトと話しをしなければなりません。

こうした場面で必ず話題にあがるのが、文化の違いです。「私の国ではこうやっている、日本ではどうしているのか」というのを頻繁に聞かれます。そのときに役に立つのが「通訳ガイド」のクラスで勉強した、日本を英語で説明する技術です。勉強しておいてよかったと私は生徒さんに感謝されています。

また英語圏の人が落語がわからないということはありません。世界各地で英語落語の講演が開かれており、とても盛況です。英語版のyahooのentertaimentのカテゴリーにはすでにRAKUGOというセクションがあるほどです。

鈴木孝夫氏は日本伝統の武道である「柔道」を民族英語、オリンピックの種目にもなっている国際スポーツの「ジュードー」を国際英語にたとえています。

柔道がジュードーになってから、体重別のランクに分かれて、別々に勝敗が争われるようになったり、マットの上を逃げ回り動き回る作戦が得点や失点につながるようなった点などをあげて柔道は国際化することでより一般化されたスポーツになったと説明しています。鈴木氏はこれが民族英語が国際英語として使われるようにになってきたことと似ているというのです。

しかし鈴木氏が同時に柔道は国際化して、何もかも日本的でなくなったわけではない、日本固有の格闘技の要素も多くの残っており、この両者を同じものにすぎぬと見るか、もやは別のものと考えるかは人それぞれの立場、考え方に大きくかかわってくることだとも言っています。

日本人はジュードーを日本のお家芸である柔道と同じと考えるのに対し、ロシアやオランダの柔道選手達は日本人ほどジュードーを日本のものとは意識しないというのです。

皆さんは慶応大学の鈴木孝夫氏が「民族英語」と「国際英語」というのを「武器としての言葉」(新潮選書)という中で説明しているのをご存知ですか?

 「民族英語」とは英米二国の文化と伝統に裏うちされた、英米人の所有物としての英語を意味し、 「国際英語」とは異民族がコミュニケーションの為に使う共通語(lingua franca)としての英語を意味します。

彼は「これからの英語教育は「民族英語」よりも「国際英語」という視点をもって行われるべきではないか?」と主張しているのですが、この考え方について皆さんはどうお考えですか?

鈴木氏が提案しているのは、「英米の文化を背景にしない英語を学ぶことは可能なのではないか?」ということなのです。

「英米の文化を背景にしない英語は標準英語ではない、したがって英語学習はイギリスやアメリカを背景にした正統なものを使うべきだ」と考えることもできます。

また「発音や、表現方法はアメリカ英語やイギリス英語をモデルにするのはいいとしても、文化的背景までそっくり真似る必要はないのではないか?私達はアメリカ人やイギリス人のコピーになる為に英語を学んでいるのではない。」と考えることもできます。  

Q.言語が政治的だというほはどういう意味ですか? 

A.私が言語が政治的ではないかといった意味は2つあって

①強者、弱者の関係がどんな言語が使われるかに影響を与える ということと同時に

②自己の言語を普及させ、相手に使わせることにより、自己の影響力を高めようとする

ということをも意味します。

例えば「どの言語が国連公用語に指定されるか」などというのが、2番目の意味での場面にあたります。

どの英語が標準語になるか?」「どの言語が国際語として広く使われるようになるか?」「どの言語が多く学習されるか?」ということは結局、その国の政治力や経済力が大きく反映されます。

現在、世界で最も国力のある国はアメリカです。したがって多くの人はアメリカ英語に合わせようとします。老舗のイギリスとしてはさぞおもしろくないことでしょう。

英語が国際語として定着しているのも、英語圏の国が力を持っているからだと思います。

かつて日本の経済力が強大だったころは、日本語学習のブームが起こりました。現在では日本語より中国語の方が注目されています。

もしも、日本人が会社の社長であれば、アメリカ人の社員は社長の日本人英語を一生懸命理解しようとすると思います。

こうした意味では言語とはきわめて政治的なものと言えるのではないでしょうか?

前回、私が「国際人としてあるべき態度は、いろいろな英語を幅広く認め、尊重していくことではないでしょうか。大切なのは発音や表現方法ではなくその人の話している内容だと思います」と書いたことについて少し説明を加えさせていただきます。

私は「発音や表現方法は適当でいい」と言いたいのではありません。日本人がモデルとして勉強する英語としてはやはり最も広く受け入れられるイギリス英語かアメリカ英語を選ぶべきだと思います。ネイティブスピーカーの発音を聞きそれになるべく近い発音で話せるように努力すべきですし、また正しい表現を正確に覚えて使えるようにしていかなければなりません。それは、こうすることがより多くの人に自分の英語を理解してもらうのに役立つからです。

しかし相手の英語を理解するということに関してはできるだけ寛容であるべきだと思うのです。 現実には世界ではいろいろな英語が使われていて、そのことによって様々なコミュニケーションギャップが生ずる可能性が増えています。その責任を誰が負うのかということが問題です。

たとえばシンガポール人がアメリカ人に英語で話している時に発音や表現方法の違いにより、わからないことが生じたとします。アメリカ英語が標準でシンガポール英語は偽者と考えれば、責任は正しい英語を話さなかったシンガポール人のみにあることになります。

しかし、シンガポール英語も英語の1つだと考えれば、責任は両者にあり、シンガポール人はアメリカ人に理解できるよう説明し、アメリカ人もシンガポール英語を理解しようと努力すべきだということになります。 私は後者の方が健全な考え方ではないかと思うのです。

Q.はじめまして、最近英語の楽しさがわかってきた私ですが,今度、英英辞典を買う事に決めました。でも一体どこの会社のどの辞書を買えばいいのかまったくわかりません。詳しい皆さん,どうか手助けください。

A.フィニックスですすめている英英辞典はロングマン現代英英辞典(Longman Dictionary of Contemporary English)です。学習者用の英英辞典としてやさしくわかりやすい定義で説明されており、初級者から上級者まで広く使えます。

もう一つおすすめするのはコウビルドです。この辞書は単語を定義の形ではなく、その単語を文の中で使うという形で説明しています。 ロングマンでピンと来ない時はコウビルドで調べてみると納得できることもあります。 ちなみにabandonを両方の辞書でひいてみると次のようになります。

Longman

abandon1.to leave someone, especially someone you are responsible for
2.to go away from a place, vehicle etc. permanently, especially because the situation makes it impossible for you to stay.

COBUILD

 If youabandona place, thing, or person, you leave it permanently or for a long time.

他におすすめできるのはOxford Advanced Learners Eictionary です。Concise Oxfored Dictionaryなどはネイティブスピーカー用ですから学習者には適しません。

さらに 英英辞典で表現力アップ の項目もご覧ください。

私は松本亨先生の信奉者です。したがって松本先生が本に書かれていることや、松本先生の方法で勉強してきた先生方に「こうやりなさい」と言われたことは素直に実行してきました。そして英英辞典を使うということは、やってきて良かったと思うことの一つです。

結局これはやった人しか、わからないと思います。私達の学校の生徒さんは、みんな英英辞典を使っています。最初は苦労する人も多いですが、最終的には英英辞典を国語辞典のように使いこなせるようになっています。

前回も書きましたが英英辞典を使えるかどうかは慣れの問題です。決心して始めればそんなに難しいことではありません。

松本先生は「英和辞典は捨てなさい」とまで言っています。手元に英和辞典が無くなれば英英辞典を使うしかなくなるからです。

参考までに松本亨先生の書いた「私がすすめる英書の読み方」の中で先生が「英和辞典を捨てなさい」と書いている部分をご紹介したいと思います。信じられると思われる方は実行してみたら良いと思います

松本亨「私のすすめる英書の読み方」10ページより抜粋 I’m sorry if they’re new and expensive. But for your own sake, pick them up and throw them away. I did this when I was 23. And I should have done it much sooner. If I had realized when I was younger how harmful they were for my study of English, I would have done it.

 I own one big English-Japanese dictionary today, but I do not use it to look up the Japanese meaning of English words. I use it to look up Japanese words.  

Throwing away your English-Japanese dictionaries is only the beginning. But it is a good beginning and an important step toward a new way of reading. It means that when you come across a new word you will look it up in an English dictionary.

When you do this for a period of time, you will begin to think of the meaning of English words in English. The significance of this fact is that your brain has begun to work in English.

Remember, your brain is made up of billions of minute cells. And some of your brain cells can now operate in English instead of Japanese.

英語をモノにする為には大量の英語を吸収し、大量の英語を使わなければなりません。「使う」ということに関しては「教師主導型」だけでは十分な量が確保できないと思うのです。

例えば日本の英会話スクールでは、教師1人に対して1~6人くらいの生徒で会話をする、プライベートレッスンやセミプライベートレッスンが主流です。これは「教師主導型」の発想だと思います。生徒は先生(多くの場合ネイティブスピーカー)と英語を話しに行くわけです。

しかし、この方法では十分な英語を使う機会は確保できません。なぜなら教師をその時間拘束するわけですからそこにはかなりのコストがかかってくるからです。

結局、このレッスンを受けられるのは週に1、2時間程度が限度ということになってしまいます。しかし、このくらいの量では英語はなかなか使えるようになりません。アウトプットの量が少なすぎるからです。

ではどうしたら良いのでしょうか?コストをかけずに英語をたくさん話す方法はないのでしょうか?

英語をたくさん話させる為の良い方法があります。教師(ネイティブスピーカー)と話すことにこだわらずに他の日本人の生徒と英語を話せばよいのです。話す相手を教師に限らなければ、英語を話す機会は何倍にも増えます。これは「生徒主導型」の発想です。

私達の学校が校内を日本語禁止にして英語のみを使わせているのはその為です。授業中はもちろん、休み時間の会話や、遅刻や欠席の電話連絡もすべて英語です。その上、カリキュラムにプロジェクトワークという英語のグループ活動が組み込まれていますから、生徒はいろいろな形で英語を使わなければならないようにできています。

プロジェクトワークの準備の為に、授業以外にも生徒同士が集まって英語のミーティングを開くことも多いのですが、これは生徒同士で話すわけですから教師に対しかかるコストはゼロです。

おそらく、かけたコストに対して得られた「英語を使う機会」の量は、私達の学校の生徒は他の英会話スクールの生徒の10倍以上になると思います。

英語学習は量が大切です。私は日本で英語を使う機会を十分確保する為にはこの「生徒主導型」を使う以外にないと思うのです。

「英英辞典を使うか、英和辞典を使うか」ということは、「英語の文章をどう読むか」にかかわってくると思います。

多くの日本人にとって「英語の文章を読む」とは「日本語に訳して理解する」ということなのですが、本当は「英語で英語のまま読む」ことだと思うのです。 いつまでも英和辞典に頼っていると、「英語を日本語に訳す」クセが抜けず、「英語を英語のまま」読めなるようにならないと思います。

英英辞典を使えるようになるかどうかは、慣れの問題だと思います。初めから自分の知らない単語ばかりを英英辞典で調べようとするから、わけがわからなくていやになってしまうのです。

私達がやっている方法で、毎日英英辞典に親しんでいれば、英英辞典になじんできます。そのうち英英辞典の英語の定義を見ると、その意味することが日本語に訳さずともイメージとしてすんなり頭の中に浮かんでくるようになるのです。

せっかく英英辞典を使っても英語の定義を日本語に訳して理解しているのでは意味がありません。そうであれば初めから日本語で定義が書かれている英和辞典を使った方が手間がはぶける分だけ速いことになります。

前回、私達の学校で英英辞典をどのように使っているかを説明させていただきました。この使い方は一般の辞書の使い方とは少し違うと思います。

皆さんの使い方は、「単語の意味がわからない時に辞書を調べる」というやり方です。あたりまえではないか。その他に使い方があるのかと思われるかもしれません。しかしあるのです。

私達のやり方は「日本語で意味を知っている単語を英英辞典でひいて、その定義を覚える」という方法です。そんなことをやって意味があるのかと思われる方も多いと思います。私も最初はそう思っていました。「けったるいな、なんでそんなことをやらなければいけないのか」とも思いました。しかし先生がやってごらんというので、とにかくやってみたのです。

そしてわかったことはこの方法でやっていくと、「英語の単語の意味をやさしい英語で説明するのがとてもうまくなる」ということです。特に、関係詞や分詞などを使うのが抜群にうまくなります。そしてそのものズバリの英語の単語を思いつけないときも、それを他の英語で説明できるようになるのです。

Q.社会人になって英語を習い始めたのですが、中学の時の英語教師が「本当に英語をマスターしたかったら英英辞典を使いなさい」と言われ当時買わされたのです。やっと出番が来たと思い、使って見ると、使えなーい!!わからない単語を引くと、それを説明している単語がわからないし…。でも知ってる単語を引くとすごい感心させられてしまうのですが、どう使いこなすべきなのでしょうか?またみなさんはどのように使っているんですか?

A.「英語で考え」られるようになる為には英英辞典はとても役にたちますが、使用方法を誤るとその効果が半減してしまいます。ここではフィニックス英語学院でどう英英辞典を使うように指導しているかをご紹介します。

まず初心者の方から英英辞典の使い方についてよく質問されるのは 「英英辞典を使おうとするがその中定義の中にわからない単語がある、これをさらに英英辞典で調べるとその単語の定義にまたわからない単語がある。これではいつまでたっても意味がわからないではないか?」 ということです。

これは英英辞典の使い方を誤っている典型的な例です。初心者のうちはまず英英辞典を使うことに慣れなければなりません。その為にはまず自分で知っている単語を英英辞典で調べてみるのです。

知っている単語を辞書で調べても意味はないのではないかと思われるかもしれませんがそんなことはありません。

たとえば英英辞典でcookという単語を調べています。
英英辞典には cook=prepare food for the table by heating it in some way(e.g.boiling, baking, roasting, frying) とのっています。

おそらくここに書いてあることはほとんどの方は想像がつくでしょう。cookは料理すると知っているわけですから。

e.g.がわからない人もいるかもしれませんが、これは英和辞典で調べます。for exampleの意味だということがわかります。

次に大切なことはこの定義を覚えることです。英英辞典を使っている人で英語の定義を日本語に訳して覚える人がいますがこれでは意味がありません。英英辞典は英語を英語で理解したり説明できるようになる為に使うのですから。英英辞典の定義を辞書を見ないでそのまま言えるようになるまで何度も口に出して練習します。

言えるようになったら今度はこれを書いてみます。書き終わったら自分の書いたものと辞書の定義を比べてみて間違っているところを赤で修正して、もう一度覚えなおします。

この方法で毎日1つの単語の定義を覚えてください。英英辞典の定義に出てくる単語のレベルはせいぜい3000語くらいで、説明の文法のバターンもきまっていますから、3ヶ月もやっていくと自分の知らない単語をひいても意味がわかるようになります。

 私たちの学校ではこの方法で生徒が覚えてきた英英辞典の定義の暗記のチェックをしています。これは1年目の生徒さんには全員にやってもらっていることです。

この方法でやっていくと以下のようなメリットがあります。

1.英語の単語やイディオムの意味をやさしい英語で説明するのがとてもうまくなります。

2.今まで英語を理解するのに日本語にたよっていた習慣がとれ、英語で考えられるようになります。

3.英語と日本語の微妙な意味の違いがわかってきます。
例えばcookを「料理する」と覚えているとcook saladと言ってしまいそうですが英英辞典で知らべていればcookする為には熱を加えなければいけないのでこれは誤りだということが認識できるはずです。

使う英英辞典は英語学習者用のものを使用してください。フィニックスでは ロングマン現代英英辞典(Longman Dictionary of Contemporary English)をすすめています。 是非ためしてみて下さい。

◆ 本番前にやるべきこと
 1.十分にウオームアップをすること

 ドラマの発表会当日は本番前に十分体を動かして緊張感をときます。コミュニケーションというのは緊張しているとうまくいかないものです。屈伸運動を繰り返し体全体の緊張感をとっておくようにしてください。

また、発声練習をして自然に大きな声が出せるようにしておいてください。自分のせりふを怒鳴るように叫んでいる人がいますが、怒鳴るのではありません。自然に話す調子でかつ十分な音量で、聞き取りやすくはっきり話す練習をしなければなりません。

ウオームアップには最低15分くらいかけてください。

2.一度シュミレーションをしておく

理想的には本番前に通し練習をすることですが、難しい場合は自分のやるべきことを順番にイメージの中でシュミレーションしておきましょう。

せりふはもちろんですが、舞台の動き、スタッフのメンバーは音響や照明のタイミング、大道具の出し入れ、カーテンの開け閉めなどもイメージトレーニングしておきましょう。

3.準備、後片付けは迅速に

前のブループの発表が終わってから、準備の時間は10分しかありません。前のグループが終わったらすぐ舞台設置の準備にとりかかれるようにしてください。

準備の時間は自分たちのドラマの雰囲気をつくる音楽を流しておくと効果的です。自分たちの芝居が終わったら次のグループのために舞台をできるだけ速く片付けるのがマナーです。

◆ 本番中に気をつけること
 1.絶対に役から自分を抜かないこと

 本番中にせりふを忘れたり、間違えると役からぬけて素の自分にもどってしまう人がいますがこれは絶対にいけません。

ドラマは一種のイルージョンをつくりあげる作業ですから、役者の1人でも役から抜けてしまうとドラマ全体の台無しにしてしまいます。

間違えることはかまわないのです。間違える時も役に入ったままで間違えなければなりません。

2.他の役者の言っていることをよく聞くこと

本番は練習の時とは違って聴衆がいますから緊張します。緊張しないコツは他の役者のセリフをよく聞くことです。

人間は何かに集中しているときは他のことが気にならなくなります。聴衆が気にならなくなるには舞台上でおきていることに集中すればよいのです。

3.プロンプターをつける

どんなにすぐれた役者でもちょっとしたことでセリフを忘れてしまうことがあるものです。そのときのためにプロンプターを用意しておきましょう。

プロンプターは舞台上で役者がセリフを忘れてしまった時に舞台脇から次のせリフを教えてあげる人のことです。

セリフを忘れた時は本人はパニックになっていますから、小声でボソボソ言っても聞こえません。ある程度大きな声ではっきり本人にわかるように教えてあげましょう。

ドラマにおいて「行為の目的」をはっきりさせることが大切だということは9.ドラマメソッド(6):行為の目的 で説明しました。

The boy our daughter loves ではそれぞれの役の行為の目的は何でしょう。

Father と Mother に関しては Daughter にお見合いを承知させ、できれば自分の気に入った人と結婚してもらうことでしょう。

Daughter の目的は Father と Mother にお見合いをさせることをあきらめさせ、自分のボーイフレンドを紹介し、気に入ってもらうことだと思います。

この二つの「行為の目的」は相反するから、そこに葛藤(conflict)が生まれ、ドラマがエクサイティングになるわけです。 したがってそれぞれの「行為の目的」が強まれば強まるほど、ドラマはおもしろくなります。

 たとえば Father の紹介する男性が日ごろいろいろお世話になっている上司の息子で、Daughter のことを気に入っていたとすれば Father の説得にも力が入ります。

また Daughter の方も、ボーイフレンドとの間に子供ができてしまっていて、妊娠3ヶ月という状態であれば、両親を怒らせずに何とかボーイフレンドとの結婚を認めてもらうように真剣に考えるでしょう。

「行為の目的を達成することに必死になるような事情」を考えることによって、ドラマはよりおもしろく、エクサイティングなものになるのです。

ある程度 Talk & Listen で練習させたら、脚本を見ないで自分の英語で同じシーンを即興でやらせてみるのもおもしろいと思います。

ストーリーの流れは頭に入っているのですから、覚えている部分は脚本のセリフを使って、覚えていない部分は自分の言葉を使って即興でやらせてみます。

即興というとうと難しそうに思えますが、よく考えてみれば実際の会話はすべて即興です。相手が言ってきたことに対しその場で考えて即座に返すことができなければ会話はできないのです。

即興に慣れていくと、自分の英語でもなんとかコミュニケーションできるのだという自信がだんだんついてきます。

別に英語を間違ったってかまわないのです。脚本どおりの英語が使えなくたって、他の言い方ができれば十分です。

例えば Daughter: I don't like him. Father: Why? Daughter: Because he is not interesting. などのような会話の展開でも意味は十分通じます。大切なことは自分の英語で伝えたいメッセージを使えることができるようになることです。

前回Talk and Listenの基本形について説明しましたので、今回はその応用形について説明します。

1.hard of hearing

これは相手が話しかけてきたことを必ず聞き返して、2度言ってもらう練習です。hard of hearingというのは「英語で耳が遠い」ということを意味します。

例えば前回の例でFatherがDaughterにHow about this boy?と話しかけてきた時に、Daughterは必ずpardon?とかWhat did you say?とか言ってFatherに同じことを2度言ってもらうようにします。

 逆にDaughterが I don't like a man who works hard とFatherに話しかける時はFatherが聞き返し、Daughterが同じことを2度言います。

2度目に話すときは相手にはっきりわかるように自然に声も大きくなると思います。相手に伝えたいという気持ちが強まるからです。

この練習はキャッチボールにたとえれば、確実に相手にボールをなげる練習をするのに似ています。 また自分のセリフを脚本を見ないで何度も話しますからこの練習をしているうちに自然にセリフを覚えられるのも良いところです。

2.Repetition

これは相手が話しかけてきたことを主語を変えてくりかえす(repeat)する練習です。

例えばMotherがDaughterにI don't understand what you say. と話しかけると、DaughterはYou don't understnand what I say.と主語を変えてくりかえします。

くりかえす時はもちろん脚本を見てはいけません。相手の話している英語をよく聞いてくりかえします。

相手の言っていることがわからなけらば、くりかえして言えるまで何度でもゆっくり、短く区切って言ってもらいます。

この練習の良いところはくりかえすために相手のセリフを集中して聞きますから聞き取りの練習になるところです。また相手のセリフを完全に理解してから次の自分のセリフを話すのでコミュニケーションを確実にすることができます。

こればいわばキャッチボールにたとえれば確実にボールをキャッチするための練習です。

 Talk & Listenの基本形とこの2つの応用形を練習しているうちに生徒は脚本を見ないで何度も自分のセリフを話し、相手のセリフを聞きますから自然に脚本の英語を覚えてしまいます。そしてそれぞれの生徒に自分のセリフをバラバラに覚えさせるよりも、はるかに楽しく、自然に英語を覚えることができます。

Q. 突然で申し訳ありませんが,一つお願いがあるのです。 この4月から高校3年生の選択授業で「OCC」(Oral Communication C)という授業を担当することになりスピーチやドラマなどを手探りでやっているのですが失敗の連続です。そこで,色々参考になる書籍を探してみるのですが見つかりません。もし,何か良い本がありましたら教えていただけませんでしょうか。

A. 教え方については次の回に説明するとしてとりあえず使える教材を紹介します。 4,5人のグループで10分前後でできるドラマが載っている「台本集」をお探しのようなので私が使ったことのあるものをあげておきます。

横浜国立大学の「英語授業にドラマ的手法を」(大修館書店)という本をご存知でしょうか? この本には佐野先生が書かれた、文法事項を練習するための3、4人のスキットがたくさんのっています。

どの話もユーモアあふれた楽しいものですし、それぞれのスキットである特定の文法事項を練習できるようになっていてとてもよくできています。 このスキットを毎回練習していけば生徒は文法事項を知識としてでなく実際の状況の中で使えるようになります。

次の例は関係代名詞 who, which, what を練習するための The boy our daughter loves というスキットの出だしの部分です。

Characters : Father, Daughter, Mother , Man (居間で父親と母親が娘に見合い写真を見せながら説得している)

Father:How about this boy? He is a young man who works in my office. He is a hard worker.

Daughter:I don't like a man who works hard

Mother:I don't understand what you say. A man who works hard is a good worker. A man who doesn't earn money can't make you happy.

Daughter:Well, anyway, I don't like men who are not interesting. My husband must have a hobby which I can enjoy with him. I want marry a man who is handsome and can dance well.

Father:Then, how about this man? He is the man who got the first prize in a dancing competition last year. I saw the trophy which he got then.

Daughter:Can he speak English well?

Father:No, he can't. English isn't what he is good at. But he is handsome and can dance very well.

Daughter:Father, he isn't for me. I don't want to marry a dancer. I want to marry a man who is intelligent and can speak good English. What a man thinks is more important than what he does for living.

Mother:What you said is very true. I know a man who is very intelligent and can speak good English. What a man thinks is more important than what he does.

この後母親が別のintelligentな男を紹介し、娘が拒否した後、娘がハンサムでもなく背も低く、脚も短い自分の恋人を紹介して終わります。 関係代名詞が何度も自然に使われているのがおわかりいただけると思います。

次回はこのスキットをどう練習していくかについて説明します。

以前「脚本のセリフでは感情がおこりにくい」のところで「脚本のセリフを使って即興劇のような本当のコミュニケーションをする」技術があると紹介しましたが、その方法を紹介します。

この方法はアメリカのプロの俳優たちが脚本の読み合わせをするときに使う方法で、ドラマメソッド(R)を開発されたリチャード・バイア先生はこの方法を Talk and Listen と呼んでいます。

日本の演劇では役者はまず自分のセリフを暗記してから、演技の練習をするのが普通です。しかしこの方法でやると、自分のセリフを特定の言い方で覚えることになり、即興劇のような本当のコミュニケーションがおこらなくなり、リアリティがでません。セリフの言い方というのは相手の話し方によって自然に変わらなければならないのです。

そこでアメリカのアクティングメソッドでは、セリフをコミュニケーションの中で覚えていくようにします。これが Talk and Listen です。

ここでは前回紹介した佐野先生のスキットを使って説明します。

まずFather役の生徒は脚本を見て、自分のセリフを区切りのいいところまで覚えます。(長い文の場合は短く区切って覚えられるところまで覚えます。)そして話す相手の目を見て、話かけます。 この場合話相手はDaughterですから娘の目をみながら、"How about this man?"と話しかけます。

Daughterは脚本を見ないでFatherの言うことを聞いて、理解します。Fatherが何を言うかということも大切ですが、どのように言うかとも言うことも大切なので、聞くときは相手の感情までよく聞くようにします。

Motherは脚本を見ないでFatherとDaughterの二人の会話を聞いて理解しようとします。

続けてFatherはHe is a young manまで覚えて、Daughterの目を見て話しかけDaughterは聞いて理解します。DaughterはFatherの言っていることが聴き取れなければ、Pardon?と聞き返します。相手の言っているセリフがわからない時は脚本を見てはいけません。あくまでも相手の話している英語を聞いて理解しなけらばならないのです。

FatherはDaughterが理解していると感じたらwho works in my office.と続けて話しかけます。

次はDaughterがFatherの目を見ながら、I don't like a manと話しかけ、相手が理解したらwho works hard.と続けます。

こうして脚本を少しづつ覚えながら、相手の目を見て話かけ、聞き手は相手の言っていることを理解してから、次の自分のセリフを言うようにします。

次のセリフの言い方は自分の前の相手のセリフを相手がどのような感情を持って言ったかに影響されます。 Talk and Listenはいわばキャッチボールのようなものです。セリフはボールです。セリフというボールに自分の感情をのせて相手に投げます。ボールにのせられた感情は相手に影響を与えます。相手はボールによってひきおこされた感情を自分のセリフというボールにのせて相手に投げ返すのです。

 ボールは必ず相手に投げなければなりません。相手の目を見て話すのはそのためです。そして相手の投げてきたボールは確実に受けとらなければなりません。うまく受けとれなければ(聞き取れなければ)Pardon?と聞き返してもう一度相手にボールを投げてもらいます。

アクティングの本質はコミュニケーションです。それぞれの役者が覚えたセリフを自分のイメージした言い方で話しているだけではそこにコミュニケーションが発生しません。

自分のセリフを言った後、他の役者のセリフを聞かず自分の次のセリフを思い出そうとする人がいますが、とんでもありません。

自分のセリフを言うことと同じくらいまたはもっと大切なことは、相手のセリフを聞くことです。相手のセリフを聞かなければ、次の自分のセリフをどう言っていいかわかりません。「全身を耳にして相手のセリフを聞き取ろうとすること」これなしには良い演技はできません。

前回、感情はコミュニケーションによって起きるというお話しをしました。簡単そうですがこれが意外に難しいのです。なぜなら脚本の役を演じる場合はセリフが決まってしまっているのでコミュニケーションが新鮮なものになりにくいからです。

脚本のセリフを言う時と比べると即興劇の場合ははるかに感情は起きやすくなります。相手が何を言うかわからないのですから、相手の言った内容や話し方によって私達はいろいろな感情を持ちます。自分でも好きなことが言えますから言葉に自然に感情が入ります。それが相手に次の感情を引き起こします。

しかし脚本を使う場合は相手の言うことは初めからわかっています。知っているものを聞いても、意外性がとぼしいですから感情がおきにくいのです。

また自分のセリフも決まってしまっているので感情が入りません。そこには本当のコミュニケーションが成立しずらいのです。

私のやった演技法は最初はずっと即興ばかりでした。即興の中で自由自在に感情が感じられるようになって初めて脚本を使って練習します。そして脚本を使う時は特別なやり方を使います。そしてこのやり方こそが「脚本のセリフを使って即興劇のような本当のコミュニケーションをする」技術なわけです。

「感情はこめてはいけない」と言いました。そうした感情は本物の感情ではないからです。では本当の感情はいったいどこから来るのでしょうか。

俳優というのはドラマの中で喜怒哀楽の感情を自由自在に感じ、これを観客に見てもらうことが商売ですから、「感情はどこから来るのか」というメカニズムを知ることはとても大切なことです。メカニズムがわかれば、そこに技術が生まれます。こうした「感情をひきおこす技術」が演技法(アクティング)です。

演技法にはいろいろなものがありますが、ここではその中で最も基本となるものについてだけ説明したいと思います。

まず感情が起きるメカニズムですが「感情はコミュニケーションによってひきおこされる」ということを利用します。普段私達はいろいろな会話をしますが、その中でいろいろな感情を自然に感じます。気のあった友達と話がもりあがれば楽しくなります。自分より立場が低い人にバカにされれば腹が立ちます。自分の大好きな人に嫌われれば悲しくなります。これと同じことをドラマという想像上の世界におこせばよいわけです。

よく演技の練習や、英会話の練習で「もっと感情をこめて話しなさい」という指導をする方がいますが、リアリティを持った演技や会話ができるようになる為にはこれは間違っています。

本当の感情は「こめる」ものではありません。「感情は自然に入る」または「自然にやってくるもの」です。 「ここは悲しい場面なんだから、もっと悲しそうに話して」とか「もっと怒って大きな声を出して」という指導をしてできることは、所詮「悲しそうに話す」とか「怒ったふりをする」ということにすぎず「本当に悲しくなる」こととか、「本当に怒りを感じること」とは全く違います。

 本当の悲しさや怒りなどというのは、たとえセリフなどなくてもその人が舞台にいるだけでひしひしと伝わってくるものです。

ドラマメソッド(R)が目指しているのは「いろいろな感情を感じているふりをすること」ではなく「本当の感情を感じること」です。ドラマは誰かの真似をしたり、ふりをしたりすることでなく、役の立場で想像上の状況で生き、本当にいろいろな感情を感じることなのです。

リアリティのあるアクティングをする為に「役作り」と同じくらい大切なのが、自分が演ずる役がやろうとしている「行為の目的」を明確にすることです。この「行為の目的」は英語ではpurpose, objective, intention, goalなどといろいろな名称で呼ばれますが、要するにドラマの状況の中で「自分は何をしようとしているのか?」ということです。

私達は脚本を読む時に、自分の演ずる役の個々のセリフや、動きにとらわれがちです。しかしセリフや動きをバラバラに考えるのではなく「そうした行為を全体として見ると、いったい自分は何をしようとしているのか」ということを考えることこそ重要なのです。そしてアクトする時はとにかく「自分の目的を実現しよう」とすることを考えて演じれば、個々のセリフや動きは自然に明確な意味を持ってきます。

英会話の学習についても、英語の個々の表現を覚えることも大切ですが、同時に「そうした表現を組み合わせて何を実現しようとしているか」という言葉の裏側にある機能(Function)を考えることも大切です。 「相手をおだてて何かをやってもらう」「相手の注意をそらして自分の間違いをごまかす」などの「行為の目的」によって自然にどんな言葉をどんな調子でどんな身振りや目つきで話すのかが決まってくるのです。

Q. 大変興味ぶかく読ませていただきました。ドラマメソッドは、たしかに説得力がありますね。たとえば、英語と日本語の違いはありますが、幼いころの学芸会を思い起こしまして、よく理解できました。ああいうことを通して、どんどん日本語の表現力を身につけてきたのですね、意識しなかったですが・・・。

ところで、素人考えなんですが、ロール・プレイや状況設定をして、表現力を学ぶのはいいとしても、それはある意味で「皮相的」なものを身につけることになるのではないでしょうか。

僕がやったやり方は、現在・過去・未来の自分を確実に表現できるようにするというものです。あらゆる自分自身のこと、家族、教育環境、社会観、将来の目標などを英語で表現できるようになり、自分をまず「確立」するというやり方です。

どうも日本人は客観的に自身を語ることが苦手で、英語圏の人はそれを自然にやれる人たちだと思います(たとえば、最近のMy name is Joeという映画の主人公のように。(笑))。ですから、ドラマメソッドと並行して、表現者自身の中味を固めることが肝要ではないか、とそんな風に思うのですが。

 

A. 御質問にある「現在・過去・未来の自分を確実に表現できるようにする。あらゆる自分自身のこと、家族、教育環境、社会観、将来の目標などを英語で表現できるようになる」ということこそドラマメソッド(R)で使う「役作り」の方法です。ドラマではこれらのことを自分が演ずる役について細かく考えていきます。

私達は「自己」とは自分の今までの育ってきた環境が決定し、変えられないものだと考えがちです。しかし、本当は私達は1つの役を演じているだけなのではないかと思うのです。 例えば、私は中流の日本の家庭に育ち、日本の学校教育を受け、アメリカの大学院で勉強し、現在英語の講師をしている二児の父親という背景を持ちます。しかしこれは実は1つの役であり、私の一面でしかないのではないかとい思うのです。 もしも私が全然違った環境で育ってきたら、そこには違う人生があり、私のまた違った一面が出ていたのではないか考えられるのです。

例えばドラマの中では私達は中世の貴族や、戦争の捕虜や、法廷で闘う弁護士を演ずることもできます。現実の世界の自分とは全く違った人生を生きることができるのです。違った役を演じることによって、世界を違った見方で見れるようになります。そして設定された状況の中で自分がいろいろな反応をすることから自分の新しい面に気づくことができるのです。

ドラマのおもしろさは、こうした「時間や場所を超えた、想像の世界の中に生きる」ことで、今まで表面に出てこなかった「新しい自己」を発見することができるところです。 もちろん、これができるためには自分の役についての相当深い理解が要求されます。ロールプレイや演技を皮相的なものにしないためにも、状況の細かな設定や役の背景を深く掘り下げていくことが必要なわけです。

英会話の授業の中では、自分の役がどんな役なのかを大体理解しておけばいいのですが、英語劇をやるとなると、自分の役に対する深い理解が必要になってきます。

この役を理解し、その役に入っていくことを「役作り」といいます。 私はドラマのクラスでは、生徒に演じる役について、いろいろな質問をします。どんな家庭に育ったのか?好きなもの、嫌いなもの、将来の夢、どんなクセがあるかなど、質問の項目は30を超えます。

質問は2人称でし、生徒は一人称で答えます。役の性格を「私」という言葉を主語にして答えることによって、生徒はだんだん役の中に入っていくわけです。 役についての情報は脚本の中に書かれていることもありますが、ないこともあります。その場合は生徒は足りない部分を自分で考えて答えることになります。 こうした活動はもちろんすべて英語です。

ドラマを「セリフを覚えて言う」ことだけだと思っている方がいますが、ドラマメソッド(R)の本来の特徴はドラマを作っていく過程のさまざまな活動を英語でさせることによってコミュニケーション能力を高めることにあるのです。

ドラマのもう1つの特徴はもしも「自分がドラマの中の登場人物だったら」と自分以外の人物の立場に立ってみることによって、普段できない経験、ものの見方ができることです。

私がニューヨーク大学で学んだDrama in Education や Theater in Education はこの「想像上の世界で,自分以外の人の立場でいろいろなことを経験することにより、世界を体験的に理解すること」を利用したものです。

私が見せてもらった、イギリスの演劇教育のクラスでは歴史をドラマを通して教えていました。イギリスでペストが大流行した時のことを手紙や文献で再現し、自分の家族や友人が理由もわからずに死んでいく様子を生徒にドラマを使って経験させていくというユニークな授業でした。 これは歴史の事実をただ教科書で知識として覚えるのとは違った、体験的、感情的に歴史を理解させようという試みであり、詰め込み教育の日本ではまだ教えられていない方法だと思います。

ドラマとは「人の真似をすることだ」と勘違いしている人がいますが、それは違います。ドラマは「もしも自分が~だったら」という想像上の状況で生きることなのです。ロシアの有名な演技の指導者スタニスラフスキーはこの「もしも」のことを"Magic If"と呼んでいます。

状況を決める要素である、場所、時、登場人物、目的のそれぞれについてもう少し考えてみたいと思います。

まず場所です。私達は普段、場所によって話し方をいろいろ変えています。たとえば回りの人が静かに勉強している自習室で、隣の友達に話しかけるとしたらどんな話し方になりますか?小声で話しますよね。 校庭のグラウンドの向こう側でチャッチボールをしている友達に話しかけるとしたら今度は自然に声が大きくなりますね.

時に関しては、朝なのか、昼間なのか、夜なのかということ、また春、夏、秋、冬のどの季節なのかということも影響します。真夏の冷房がきかない蒸し風呂のような部屋で話しているのと、真冬にバス停で話しているのではやはり違います。

さらにDramaがTheaterになって、人に見せるものになると、状況を観客にもわかってもらわなければなりません。 私達は普段何気なく見ている、映画やTVドラマ、演劇などでも状況がきちんと観客にわかるようないろいろな工夫がしてあるのです。「どうしたら状況をわかってもらえるか」を考えるのもドラマ作りのおもしろいところです。

まず会話における状況の大切さについてお話します。会話には必ずSituation(またはGiven circumstances) があります。具体的にはWho?(誰が)、Where?(どこで),When?(いつ)What?(何をしようといているのか)ということですが、この設定によって話し方が全く変わってくるのです。

アクティングの基礎はまず状況を把握することから始まります。アクターがまずやらなければならないことは、脚本を読み込んで状況を正確に把握することです。状況がわからなければどう演技していいかわからないからです。

次にあげるのは奈良橋陽子先生の書かれた Pinch&Ouch というテキストに出てくるスキットです。同じ会話が状況によっていかに違った意味をもつようになるかがよくわかるので例にあげてみました。

A: Hi, How are you doing?
B: I'm doing all right.
A: What've you been up to lately?
B: Nothing much, I've been going to a lot of films.
A: Good?
B: Some good, some bad.
A: Hm  

これだけではなんのおもしろみのないスキットですが、これに状況をつけます。

<状況1>
Who? Aは男子大学生、Bは女子大学生。彼らは高校時代同じサークルに属していた。
Where? 新宿の繁華街
When? 日曜の午後3時
What? AはBに好意を持っていてできればお茶にさそいたい。BもAに自分が何をしてきたか話したい。  

<状況2>
Who? Aは30代の独身男性社員、Bは20代前半の女子社員 AはBが好きでいつもストーカのように追い回している。BはAが嫌いだが、上司なので困っている。
Where? 会社の社員食堂
When? 昼休み 
What? Aは仕事が終わったらBと飲みにいこうとさそいたい。BはAとの会話をやめて食堂を出て生きたい。

<状況3>
Who? Aは娘に厳しい父親。BはAの娘(18歳)で父親のことを恐れている。
Where? Bの部屋
When? 夜10時
What? Aは妻からBが最近10歳以上も年上の男性とつきあっていて帰宅が遅いことを聞き、男と別れるように言いたい。BはAとの会話を避けたい。

おわかりのように,会話は同じなのにもかかわらず状況を変えただけで声の調子からbody Languageまですべてが変わってしまうのです。これがドラマメソッド(R)の醍醐味です。さらに生徒自身に状況を考えさせるともっといろいろなものがでてきます。

英語の会話ができるようになる為には英語劇(ドラマ)がとても役にたちます。ドラマは会話からなりたっているからです。

そしてアクター達が演技の上達のために練習している方法や、イギリスを中心に行われているドラマ教育の手法を英語教育にとりいれたものがドラマメソッド(R)です。 そこでみなさんにドラマのおもしろさ、有効性をわかっていただくためにドラマメソッド(R)について説明させていただこうと思います。 (ドラマメソッドはモデルランゲージスタジオの登録商標です)

ここで説明することは元ハワイ大学イーストウエストセンター教授のリチャード・バイヤ氏と奈良橋陽子先生を中心にモデルランゲージスタジオ(MLS)で開発され教えられているものと、私がニューヨーク大学院、演劇教育科で学んだことの両方が入っています。

ドラマメソッド(R)には英会話のクラスで使うものと、劇を作っていく過程で使うものがあります。それぞれについて述べてみたいと思います。

英語劇制作のクラスの内容に入る前に、ドラマが語学学習に役に立つ理由について簡単に説明したいと思います。

私が学んだ演技法はアメリカではメソッド演技と呼ばれているものですが、ここではアクティングを「想像上の状況でのコミュニケーション」と考えています。つまり、俳優は想像上の状況の中でいかに相手とうまくコミュニケーションできるかの訓練を受けているのです。

語学学習者の究極の目的もコミュニケーションができるようになることですから、俳優のそれと同じです。だから語学学習にアクティングの様々なテクニックを応用することができるわけです。

ではコミュニケーションとは何なのでしょうか?簡単なモデルで説明したいと思います。ここにAさんとBさんの二人がいます。この二人がコミュニケーションすると、二人の間で何かが交換されます。何が交換されるでしょうか?  

いろいろな答えが考えられると思いますが、基本的には2つの要素に分類されます。 一つは「情報」という要素です。意見のこともあるし、客観的な事実のこともありますが情報を伝えるということに関しては同じです。私達がニュースを聞いたり、講義を聞くときの目的は主としてこの情報を得る為です。

もう一つの要素は「感情」です。生徒さんに聞くと、この答えがなかなか出てこないことが多いのですが、コミュニケーションには「感情を伝える」という要素もあります。私達が映画や演劇を見にいくのは主として、感情をストーリーの中の登場人物と共感する為です。

私は今までの語学教育にはこの感情を伝えるという要素が欠落しているのではないかと思います。たとえ単語をたくさん覚え、文法的にも正しい文を作れるようになってもそこに生きた感情が入ってこないと、本当の言葉とはいえないのではないでしょうか。ドラマを語学教育に使う良いところの一つはこうした言葉の感情面を自然に学ぶことができる点だと思います。

ドラマを英語教育に応用するもう1つの良い点は、コミュニケーションの非言語要素にも、注意を払えるという点です。 例えばジェスチャー、アイコンタクト(視線の合わせ方)、顔の表情などはとても重要です。 他にも、相手との距離、身体的接触、着ているものや髪型、アクセサリーやメイクアップなどもコミュニケーションに大きな影響を与えます。 こうした非言語要素は実際にコミュニケーションする時は言語と同じか、それ以上に重要な役割を果たすのにまだまだ、語学教育の中で忘れらている分野だと思います。

さて英語が使えるようになる為にはアウトプットが必要だということを述べ、その方法として英語を使う必要性を作っていく、コミュニカティブアプローチを紹介しました。

確かに、インフォメーションギャップやゲームなどを導入することにより、ある程度英語を使わせることは可能ですが、英語の必要性を人工的に作った感じがするのは避けられません。そこで私達の学校では生徒が本当の意味で自然に英語を使わなくてはならないようにする為にプロジェクトワークという英語のグループ活動を導入しています。 これは生徒をブループに分け、グループごとにプロジェクトを企画、準備、発表させ、その過程で英語を使わせようというものです。

現在,私達の学校では英語劇を作る「英語劇制作」と、与えられた命題についてのディベートを試合形式で行うロジカルプレゼンテーションと自分達で選んだトピックについて賛否両論からいろいろな役に入って問題を考えるドラマティックディベートの3つのプレゼンテーションが行われています。

以前お話したように私達の学校では校内日本語禁止で、英語しか使えないのですが、せっかくの英語の環境も友達との雑談くらいでは十分機能を発揮できません。日々の日常会話だけではなかなか複雑なことを話すことがないからです。

しかし、このプロジェクトワークを課すとその過程の様々な作業を通して、生徒はいろいろなことを英語で話し合い、考え、決定していかなければなりません。その結果、英語を使う量、質とも大幅に増大させることができるのです。 この章ここでは私の専門でもある、ドラマ教育を応用した英語劇制作のクラスについてどんなことをしているのかをご紹介したいと思います。

ロジカルプレゼンテーションとドラマティックディベートについてはディベートと理論の章をご覧ください。

日本人同士で英語を話すことに抵抗があるのは英語をインプットすることと、アウトプットすることを同時にやるという発想から抜けられないからだと思います。英語はネイティブスピーカーと話しながら覚えるものだという先入観がどうしても邪魔をするのです。しかし私はインプットとアウトプットは切り離してやった方が効率がいいと思います。

インプットはネイティブスピーカーが録音したテープやCDがいくらでもあるのですから、一人でもできます。テープを止めながらネイティブスピーカーの話している正しい英語とできうるかぎり近い発音で言えるように口を使って何度も言いながら確実に覚えていきます。必要なのは自分でインプットした英語が正しいかどうかをチェックしてくれる先生だけです。

一方英語のアウトプットには相手がどうしても必要です。そこでどうやったら費用をかけずにたくさん英語を使えるかを考えなければなりません。ネイティブスブスピーカーと話すことだけにこだわると十分なアウトプットの量が確保できません。

アウトプットに関して大切なのはとにかく量をこなすことです。私が強調したいのは高い授業量を払って英会話学校でネイティブスピーカーと話すより、日本人同士でおたがいに英語を使ったほうが費用的にもずっと安く大量の英語を使うことができるということなのです

英語は読んだり、聞けたりするのに、話すことがダメだという方が多いようなのでその原因について考えてみたいと思います。

まず語彙にはpassive vocabulary と active vocabulary があることをご存知でしょうか?

passive vocabularyは、聞いたり、読んだりするとわかる表現のことです。

active vocabularyは、話したり、書いたりする時に使える表現を言います。

passive vocabulary は active vocabulary より多いのが普通です。これは母国語である日本語の場合にもあてはまりますが、外国語の場合はこの差が母国語より開いてしまうことが多いのです。

 「英語は聞いたり、読んだりすることはかなりできるようになったのに話したり、書いたりしようと思うとなかなか出てこない。」という方はこの差が大きい方です。

こうした方はかなり上級者の方でもいらっしゃるようです。 そういう方はガイド試験や英検1級の一次試験はパスできるのですが2次の面接試験がどうしても合格できなくて苦労します。 TOEICでは900点とれているのにスピーキングは全然ダメという方もいます。 こうした方はpassive vocabularyは豊富なのにactive vocabulary が少ないのだと思います。

では active vocabulary を増やすためにはどうしたら良いのでしょうか? 私がこうした方にアドバイスしているのは

1.英語をきちんと覚えること

 2.英語を使う機会をたくさん持つことです。

英語を大量に聞いたり,読んだりしていくと英語に慣れますからpassive vocabulary を増やすことはできます。しかし、active vocabulary として使えるようになるには、そうしたあいまいなレベルの記憶では十分ではありません。 適切な表現がとっさに口をついて出てくる為には、そのきまり文句を完全に暗記していつでも使えるようになっていなければなりません。私は「石につまづいても出てくる表現」などと言っています。

完全に暗記したってなかなか使えるようになれないのですから、うろ覚えの表現などというのは使えるわけがありません。 英語がなかなかでてこない人はこうした「きちんと英語を覚えていく訓練」が足りないのではないかと思うのです。

それからもう1つ大切なのは英語を使う機会をできるだけ多く持つことです。英語が使えるようになる為には必ずどこかでその表現を使ってみる体験をしなければなりません。覚えるだけでは使えるようになれないのです。

したがってなんとか英語を使う機会を作らなければいけません。英語で日記をつけるとか、英語のチャットに参加するとか、友達と英語で話をするとか、とにかく自分で工夫して、英語をアウトプットする機会を確保しなければいけません。

私達の学校の生徒さんは英語で話すのがあたりまえですから、英語を使うということに関しては慣れています。ですからpassive vocabulary と active vocabularyのギャップが少ないのです。

一度どこかで使ったものは、次の機会にも使えますから、いろいろな英語を使う機会を多くもてばもつほど、使える英語の表現も増えていきます。

Q.パターンプラクティスとコミュニカティブアプローチなど、興味深く読みました。 1カ所少し気になった部分があります。 パターンプラクティスは稲垣様もおっしゃっているように機械的で苦痛なため多くの人が挫折しやすい方法だと思いますが、テープと本だけ購入すれば大量に練習できるという点では非常に優れていると思います。

また、「練習の時は間違えなく話せても、実際に英語を自分で考えて話す時になると英語がスムーズに出てこなかったりすることでしょう。置き換え練習ができるということと、自分で英語が話せるということとはやはり違ったところがあります。」とありますが、私のスピーキング力はあまり高くないので見当違いの反論になるかもしれませんが、私の感覚ではこれはないと思います。パターンプラクティスは置き換え練習を繰り返すことで基本構文パターンを身につける練習でして、身に付いた基本構文は実際の会話においても使えていると感じております。

A.ご指摘のようにパターンプラクティスは、誰でも簡単に練習できるところが長所です。私もパターンプラクティスでスピーキング力が向上することは異論がありません。

私が言いたいのはパラーンプラクティスで練習した後、実際に英語でコミュニケーションすることもしなけばいけないのではないかということです。 パターンプラクティスはテニスで言えば壁打ちのようなものだと思います。つまりパターンプラクティスは相手がいないのです。ボールを打つ練習はできますが、これだけでは試合にはのぞめません。やはり私は壁打ちで十分練習した後、実際に誰かを相手に実践練習をすることがどうしても必要だと思うのです。

誰かを相手に試合をすると、相手とのかけひきや、臨機応変な対応が必要になってきます。機械的でない、クリエイティブな部分がでてきます。これは壁打ち練習だけではできないことだと思います。 そしてこの「相手とのコミュニケーション」というのが、言語を学ぶ本質的な楽しさだと思うのです。

「ネイティブスピーカーと話すと正しい英語になって、日本人と話すとブロークンイングリッシュになる」という人がいますが、本当にそうでしょうか?

私は日本人と話そうとネイティブスピーカーと話そうと、正しい英語を正確な発音で覚えていかないと正しい英語で話せるようになるとは思いません。それを証拠にアメリカに長く住んでいてアメリカ人と話す機会が多い日本人でもひどい英語しか話せない日本人はたくさんいます。

逆に日本にいても正しい英語をきちんとインプットしていけば正しい英語を話せるようになれるのです。 私達の学校では生徒さんに正しい英語を大量に覚えさせているので、最初はブロークンイングリッシュしか話せなくてもだんだん正しい英語が使えるようになっています。

もちろん頭の中に英語が十分蓄積されていないうちは英語を話そうとすると間違えます。しかし、それは話す相手が誰であろうとやはり同じように間違えてしまうのです。日本人と話すとブロークンイングリッシュになってネイティブと話すとすばらしい英語を話すようになると考えるのは幻想にすぎません。

英語をモノにする為には英語を実際に使う機会が絶対に必要です。この「使う」というのはテキストを見ながら会話の練習をしたり置き換え練習などのパターンプラクティスをすることではなく実際に何らかの目的の為に英語を聞いたり、読んだり、書いたり、話したりすることを言います。   

他の英会話学校もこの英語を使う環境の必要性に気づいていて、その為にラウンジと称したスペースを設けて、授業以外の時間にネイティブスピーカーとそこで話させるという方法をとっているところも多いようです。しかしこの方法はいくつかの点で問題があり効果的ではありません。

1.雑談は実際には難しく話題にも限界がある。   

例えばネイティブスピーカーをラウンジに一人置いて生徒が5人くらい雑談するとします。一見簡単そうで誰にでもできそうに見えますがこれを本当に効果的なものにするのは実際にはかなり難しく、教師に相当な力量が必要なのです。教師は毎回違った話題を提供しなければなりませんしその為に相当な準備も必要です、またレベルの違った生徒達一人一人に平等に話させる技術もなければなりません。ただソファとテーブルを置いて外国のポスターを貼ってそこらへんに歩いているネイティブスピーカーを置いておけばうまくいくようなものではないのです。

 2. コストがかかる   

結局ラウンジ方式を成功させる為にはある程度優秀なネイティブスピーカーを採用し、ラウンジに居る時間に対してもクラスを教えるのと同じような賃金を払わなくてはならないということです。これには当然コストがかかり生徒はこれを負担しなければなりません。授業料を支払ってラウンジに入るのではクラスと同じことになります。   

以上のような理由から、英会話学校が無料で優秀なネイティブを長時間ラウンジにおいておくのは実際には相当に難しいことなのです。多くの英会話学校のラウンジが結局は生徒が日本語で雑談する場になってしまっているのはこの辺に理由があります。   

またよく考えてみればラウンジ形式をとって生徒5人にネイティブが一人入っていても結局は会話のほとんどは日本人同士で英語を話しているわけなので、ネイティブはいてもいなくても大して変わらないことになります。私の学校のように校内日本語禁止にして、生徒同士が英語でしか話せないようにしてしまえばそれですむことだと思います。

「生徒主導型」は、たくさんのアウトプットを確保できのは良いのですが、間違った英語を直す機会が「教師主導型」より少ない点が弱点です。その為「生徒主導型」を使う時は以下の点に注意する必要があります。

 1.十分な英語のインプットの量を確保すること。

十分なインプットがないのに「生徒主導型」を使うと、生徒は自分で英語を作って話すようになります。これは間違った英語をはびこらせるもとになります。これを防ぐためには、アウトプットの傍ら、常に大量の英語をインプットしていくことを怠ってはなりません。

このインプットを確保する為に、私達の学校では、生徒さんに大量の英語を正しい発音で覚えさせています。これを続けていくと、頭の中に正しい英語がたまってきて、だんだん話せる表現が増えてきます。それにともない言えないことが少なくなり、英語で直接言いたい事を正しい表現で思いついてそのまま話せるようになるのです。

また正しい発音で英語をインプットしていきますから、今までのカタカナ発音が、正しい英語の発音に修正されて、発音も向上していきます。

2.よくある間違いを修正する。

生徒が話す英語を聞いていると、よくある間違いに気付きます。私達の学校では、こうした表現を書き出して。生徒がみんな読めるところに掲示してあります。

たとえば生徒は遅刻する時は、学校に電話をかけてその理由を英語で説明しなければいけないのですが、残業しなければならない時に   I have to overwork. という生徒が非常に多いのです。このような場合はoverworkは「働きすぎる」という意味で、「残業する」のは  I have to work overtime.  と言うのだと指摘するわけです。

このように生徒の使う英語に教師が注意を払い、間違いを含んだ表現を指摘して修正しているので、英語が崩れていかないのです。

さて私は英語をアウトプットする方法には2つの大きな流れがあると考えています。私は今までこれをオーディオリンガル的手法とコミュニカティブアプローチ的手法と呼んできましたが、この呼び方は誤解を生むので呼び方を変えてみたいと思います。新しい呼び方は「教師主導型」と「生徒主導型」です。この2つを比較しつつ説明を試みたいと思います。

1.会話の主体

 「教師主導型」は教師と生徒が会話をすることがメインです。会話のリーダーシップは教師がとり、生徒はこれに乗って話す練習をします。

「生徒主導型」は生徒同士が会話をすることがメインです。教師の仕事は生徒同士が会話をする目的を与えることで、あとは生徒がこの目的を利用して自分で話します。

2. 会話の内容

 「教師主導型」は会話で何をどう言うかは教師が決めますが、「生徒主導型」は話す内容をある程度生徒にまかせるやり方です。

3.生徒の英語の「誤り」の直し方

「教師主導型」では生徒が英語の発音や表現を間違えた場合これをすぐ直します。

「生徒主導型」では、コミュニケーションを重視し、生徒が間違えを厳密に直さず会話を続けます。直す場合も相手が誤りに自然に気づくやり方で直します。

 

次に「教師主導型」「生徒主導型」の長所、短所を比較してみたいと思います。

 「教師主導型」の長所はきちんとした英語を教えられるところです。会話のリーダーシップは教師が握っていますから、教えようとする課題をきちんと教える時に役にたちます。

短所は、教師は一人しかいませんから、生徒が話す量が限られてしまうことです。教師が一人の生徒と話している間、他の生徒はそれを聞いていることになります。

 「生徒主導型」の長所は生徒同士を組み合わせて話させますから、いくつもの会話が同時進行的にすすむことになります。したがってそれぞれの生徒が会話する量が増えます。

短所は生徒同士が話しますから、その中で間違えがあってもそれを「教師主導型」ほど厳格に直していくことができません。

私は「生徒主導型」をメインに使いますが同時に「教師主導型」も捨てがたい良さがあるので使っています。私達の学校のカリキュラムにとりいれられているプロジェクトワークというのは「生徒主導型」のやり方です。  

オーディオリンガルとコミュニカティブアプローチを私なりに比較してみると以下のようになります。

まずオーディオリンガルは、文法(structure)ベースの練習なのに対し、コミュニカティブアプローチは 1.状況(situation)ごと、例えば買い物や、道案内や、料理の表現など 2.機能(function)ごと、例えば人にものを頼む、反対の意見を述べるなどのどちらかになります。

私の出したインフォメーションギャップの例は最も単純なものであり、実際はこの上にコミュニケーションにリアリティを持たせ、生徒を「のらせる」さまざまな工夫が加えられなければなりません。これがなかなか一苦労なのですが、最近のテキストには先人が考案した、いろいろなアイディアが載せられているのでそれを使って,自分の教えるクラスの実情に合わせていけば結構うまくいきます。

こうしたコミュニケーションについてのアイディアはやはり日本語教育の教材より英語教育の教材の方が豊富で、私は日本語教師の教育実習をした時には英語教材からそうしたアイディアを拾ってティーチングプランを作っていました。

オーディオリンガルとコミュニカティブアプローチのもう1つの違いは、教師と生徒の関係です。 オーディオリンガルの場合はコミュニケーションは主として教師と生徒の間で行われます。生徒間のコミュニケーションというのはあまりありません。また教師は生徒が誤った英語を使った場合は即、直すべきという考えに立っており、生徒の発音、文法などの間違いをその都度直していきます。

これに対しコミュニカティブアプローチの教材は原則として生徒同士が英語でコミュニケーションする為に作られています。教師は生徒同士が話しているのを聞いて、必要があれば手助けしたり、誤りを直したりしますが、オーディオリンガルのような厳格なチェックはしません。それはコミュニカティブアプローチではお互いに意思の疎通をすることが最も大切で、正確な英語を話すことにこだわった指導をすると、かえって生徒間のコミュニケーションを阻害し良くないと考えられているからです。

Audio Lingual Methodが当初期待されていた効果が得られなかったことから、その後開発された教授法がCommunicative Approachで現在、会話用に作られた教材のかなりのものにこの手法の演習が含まれています。

この手法は「言語は言語を使う必要があって使うものだ」という考えがもとになっており、学習者に英語のコミュニケーションの必要性を人為的に作ってやることにより英語を話させようとするものです。

ここではその中のインフォメーションギャップを利用した会話練習と、ゲーム的要素を含んだ会話練習の例を紹介したいと思います。

これはロングマンから出ているEnglish Firsthandというテキストに出てくるアクティビティーです。 まず二人がペアになります、AさんはシートAを、BさんはシートBを持ちます。それぞれのシートにはPat, Michael, Hee Soon, Dusit, Naomiの5人のhometown, occupation, Age, interestの覧があります。 シートAのPatのhometownの覧は空欄になっていますが、シートBにはSan Franciscoと書かれています。AさんはPatのhometownを知る為にBさんにWhere is Pat from?と聞きます。そしてBさんはAさんにHe is from San Francisco.と答えます。 逆にシートAのPatのoccupationの覧にはstudentと書いてあり、シートBのその覧は空欄になっていますから、今度はBさんがAさんにWhat does he do?と聞き、AさんがBさんにHe is a student.と答えます。このようにお互いに不足する情報を相手に聞いていくということにより、自然に英語を話させていこうというわけです。

次の例は同じテキストに出てくるFind somone whoというゲームです。これは多人数のクラスで使います。 まず生徒にそれぞれ一枚のシートが配られます。シートには Find someone who... と書いてあり、その後 1. who is shy. 2. who has been to China. 3.. who can play the musical instrument. 4. who can do 20 push-ups. 5. who was born in February. 6. who likes mathematics などが書かれています。 生徒はこれにあてはまる人をクラスメートの中から探すわけです。まず最初のクラスメートに、 Are you shy? と聞きます。 もしも答えがYes, I am.なら、その人の名前をシートに書きます。No, I am not.なら他の人のところへ行って同じ質問をするわけです。 この方法でそれぞれの文にあてはまる誰かを探していって、全部の文にあたる人が探せるまで続けます。ヨーイスタートで誰が一番速く探せるか競争させると、クラス中が蜂の巣をつついたように、にぎやかになります。

関連項目 私のおすすめの英語教材 スピーキングをのばす為の教材(アウトプット用)

まずAudio Lingual Methodについて説明します。これはミシガン大学で開発されたのでミシガンメソッドとも呼ばれ、言語学理論に基づく教授法としてかつて一世を風靡したメソッドです。ここではその代表的プラクティスと言えるパターンプラクティスを紹介します。

次のプラクティスは1959年に出版され、今だにロングセラーを続けているアメリカ口語教本(研究社出版)の入門編の中に出てくるプラクティスです。

まず二人の男の子が野球をしている絵をみせ。先生が I play baseball every day.と言って生徒がこれをリピートします。 次に先生がBobと言います。 生徒はIの部分をBobに変えてBob plays baseball every day.と言います。 次に先生がBob and Dick と言います。 生徒はBob and Dick play baseball every day.と言います。 このように I, You, Heと主語を変えたり、baseballをsoccer, tennis, volleyballなどに変える他、先生がQuestionと言うと生徒はDoes Bob play baseball every day?とこれを疑問文に変えたり、Yes,と先生が言えば、Yes, he does. He plays baseball every day.と答えたりもします。

この手法はとにかく矢継ぎ早に正確に指示通りに英語を話させることがポイントです。 私が通学していた中学校ではこのパターンプラクティスが広く使われていました。慣れてくると教師も生徒もよどみなく次から次へと指示通りの英語が話せるようになります。

この方法の良いところはとにかく限られた時間で大量の英語を話させることができる点です。生徒も先生も授業の初めから終わりまでずっと英語を話しっぱなしといった感じです。また生徒が発音や文法を間違えた時はその都度直せますから発音向上や文法のチェックにもなります。

悪いところは練習が機械的で退屈だということです。教師も生徒もまるで自分が英語を話すマシーンになったような気がします。それと、練習の時は間違えなく話せても、実際に英語を自分で考えて話す時になると英語がスムーズに出てこなかったりすることでしょう。置き換え練習ができるということと、自分で英語が話せるということとはやはり違ったところがあります。

これほど単純ではありませんが、ベルリッツなどで使われている、教師が矢継ぎ早に英語で質問を発し次々と生徒がそれに答えていく手法はこの方法の延長線上にあるものと言えます。

英語が使えるようになる為にはインプットだけでは足りません。アウトプットすなわち英語を使う練習が必要なのです。

英語をインプットしていけば、その英語は聞いたり、読んだりした時にわかるようにはなります。しかし、それを話したり、書いたりできるようになる為にはその英語を実際に使うという経験が必要なのです。 そこでこれからは「いかに英語を使わせるか?」というアウトプットの方法について説明していきたいと思います。

教室の中で英語を使わせる方法としては大きくAudio Lingual的な方法とCommunicative Approach的な方法があります。現在ではCommunicative Approach的な手法が主流です。

私の学校で使われているプロジェクトワークもcommunicative Approachの延長上にあるやり方です。ここでは典型的なAudio LingualとCommunicative Approachのexerciseを簡単に紹介した後プロジェクトワークとドラマメソッドについて説明していきます。

Q. 興味深いご意見をどうも。確かに、日本人と英会話の練習をするとブロークンイングリッシュになる訳ではない。しかし、これには条件があります。

1インストラクターの日本人が完全な英語の発音ができる。

2インストラクターの日本人がアメリカかイギリスでトレーニングを受けた、十分な技能のあるSpeech Therapist (英語発音の矯正を行う人)である。

1の条件については、英語学習者がネイティブスピーカに理解不可能な誤った発音をした場合、的確に指摘する必要があるためです。間違った発音、イントネーション、リズムを覚え込むのは学習の妨げになると思います。

2の条件があるため、(発音矯正の知識を持たない)アメリカ人と年中話す機会がある人も、英会話が下手である場合があるのです。

 

A. おっしゃることはその通りです。英語のインプットは発音、表現ともにできるだけ正確にやらなければなりません。

まず英語を聞いて覚える時はテープやCD等のネイティブスピーカーの発音を聞いてそれをできるかぎり正確に再現できるように何度も口で発音しながら覚えていかねばなりません。いいかげんな発音で覚えると英語が聞き取れなくなりますし、話しても通じなくなります。

自分では正しい発音だと思っていても間違っている場合もありますから、覚えた英語をチェックしてもらわなければなりません。

チェックしてもらうのは苦労して正しい英語の発音を身につけた日本人インストラクターか音声学の知識もあり日本人の発音の弱点も熟知したネイティブスピーカーがベストです。

日本語も話せない、音声学の知識もないネイティブスピーカーでは的確な指導はできません。 彼らは日本人がなぜ正しく発音できないかがわからないからです。

発音はネイティブスピーカーとさえ話していれば自然によくなるというものではありません。集中してネイティブスピーカーの英語を聞き、何度も声に出して練習し、その結果をインストラクターに矯正してもらいさらに練習をつむといった努力の中だけでよくなっていくものです。

私の使っている教材に「話すための英文法」(市橋敬三著、研究者出版)という本があります。内容は文法項目ごとに並んだ英語の文を暗記していくものです。この本の「はしがき」の部分に「どうやったら英語で考え、話せるようになるか」を書いた部分があるのでそこの部分を引用させていただきます。

英語で考え、話せるようになるための秘訣 (1)英文法を知識としてでなく自由自在に使えるようにせよ 最も効果的な方法はたくさんの例文をインプットすることである。

ただこれを手当り次第にやるのではなく、英文法にそった例文をインプットするのが効果的である。 英文法は中学、高校、大学で十分やったがいまだに英語で考えたり話したりすることはできないと、反論する人も多いであろう。しかし皆さんは読解のために英文法を知識として学んだにすぎず、例文を暗記してインプットしていないのだ。したがって頭に英語の構造、発想が根付いていないのである。

(2)英文法の例文暗記の効用 数学をやるのに小学校で習う九九は不可欠である。九九を暗記していなければ9を9回たさなければならない。しかし9を9回たしたりすると時間もかかり、たしまちがえることもある。九九は数学の基礎である。英文法の全項目の例文は算数の九九に相当する。したがって暗記が不可欠なのである。

暗記していないと、いろいろ考えて文を組み立てなければならない。しかしこんなことをしていたら時間もかかり、組み立てる際にミスを犯す。 英文法の例文を暗記すると、英語の構造、発想が身につき、一度完全にやると一生忘れないものである。

皆さんのなかに九九を復習した人はいないであろう。かように暗記は長持ちするのである。英語も同じで、暗記しておけばいざ英語を話さなければならないときに、頭に日本語ではなく英語で文を浮かんでくるようになるのだ。

ただここでひとつ注意したいことは、暗記そのものを最終目的にしないことで、暗記した文を使い、見るもの、聞くものを英語で考え、自問自答したり、友人と英語で話したりして使おうとしてみることである。

例文をよく暗記している人は英語で自問自答することは問題ない、暗記した例文をそっくりそのままは使えなくとも、暗記してあれば、暗記してある文の一部を自分が言いたいことと置き換えて自分の意思表示をする応用能力が養われるからである。 (以上引用)

Q.こんにちわー(^-^) 私も英会話を勉強しています。

はじめのうちは、私も頭の中で(英語->日本語)(日本語->英語)をやってましたよ。でも、だんだんとそうしなくても大丈夫になってきました。

私の通う英会話学校に、張り紙がしてあって「英語の勉強はコップに少しずつ水が溜まっていくようなもので、その時は上達があまりわからないが、ある時少しずつ溜まった水がコップから溢れ出す。がんばって3年くらいはコツコツいきましょう」みたいなことが書かれていました。なーるほどーと思っていたのですが、なんと!3年たった頃、何だか自分の英語がちょっと上達してるな、と感じたのです。

A.私も同じコップの例を出して英語のインプットの大切さを説明しています。私の場合コップにはひびが入っていて,そこから水がもれていると言っています。つまり英語のインプットを怠っていると中の水はどんどん減っていってしまう(忘れてしまう)というわけです。

もれるよりも多くの水を入れていけばコップの中の水は次第に増えていって使える英語の量はだんだん増えていきます。 でもインプットをおこたっていると少しづつ英語はもれて忘れていってしまいます。だからインプットはたえず行っていないとコップには水はなかなかたまりません。

もうひとつ私がよく例に出すのは「英語の上達は髪の毛がのびるのと同じだ」ということです。みなさんおそらく毎日髪の毛がのびていることなど気づかないと思います。でも3ヶ月もすると髪の毛がボサボサになって、床屋や、美容院に行かなくてと思いますよね。 英語の勉強もこれと同じです。

毎日勉強しても自分の中に英語が溜まってきていることはなかなか自覚できないものです。でもコツコツ続けていると、ある日急に英語がわかるような気がするのです。

この英語力の向上が自覚できない時期のことを英語では学習のプラトー(plateau:台地という意味)と呼んでいます。 英語ができるようにならない人はこのプラトーの時期ががまんできない人です。勉強してもなかなかできるようにならないので、途中でやめてしまうのです。するとせっかくある程度頭の中にたまってきた英語を忘れてしまいます。そしてまた、忘れたころに英語の勉強を始めるのです。これはとても能率が悪い勉強方法です。

英語ができるようになるコツはとにかく続けることです。「継続は力なり(Continuity is Power)」という「ことわざ」がありますが、言語の学習においては特に大切なことです。

私は松本亨先生のテープ教材で上で説明したことをやらされました。松本亨先生の教材はドラマ性のあるストーリーになっていて覚えるのがとても楽しかったです。残念ながら状況や英語が現代にマッチしないので今では絶版になってしまいましたが。

今の学校の生徒さんには他のいろいろな教材を使ってもらっています。Family Album USAという教材はネイティブスピーカーが自然な調子で話しているので会話の中に英語の音の崩れがでているのでネイティブスピーカーの英語を聞き取るのに非常に効果があります。

またいろいろな文型を使った英語が話せるようになる為に役にたつのが「話すための英文法」「魔法の英文法」シリーズ(市橋敬三著)です。全部暗記すればかなり難しい文型を会話の中で使うことができるようになります。

覚える教材は正しい英語で書かれていて、音声付きのものであれば何でもかまいません。自分のレベルにあっていて、興味が持てるものを選べばいいと思います。

関連項目 私のおすすめの英語教材 スピーキングをのばす為の教材(インプット用)

それでは具体的にどのように英語を暗記していったらよいかを説明します。これは私を教えてくれた先生方が40年ほど前に松本亨先生のNHKラジオ英会話を使って勉強していた方法で、私もこれと同じ方法で英語を暗記してきました。

現在ではテープやCDなど英語の音声付きの教材はいくらでも手に入りますが、40年ほど前にはオープンリールのテープもなかった時代で英語の生の音声が聞ける教材は松本亨先生のラジオ英会話くらいしかありませんでした。しかしそうした時代でも私達の先生はりっぱに英語が話せるようになっていたのです。

まずラジオを集中して聞き、イントネーション、アクセントなどを書きこみながら、ラジオの英語について同じように言えるように何度も練習します。(今では録音機がありますから、録音してテープを止めながら聞くといいでしょう)大切なのは決してテキストの文字から自分勝手な発音で覚えないことです。覚えるのは英語の音声だということを忘れないで下さい。

この後、その日のスキットをテキストを見ないでスラスラ言えるようになるまで、正しい発音で暗記します。次の日には同じようにその日のスキットを暗記してから、前の日のスキットをもう一度覚えなおします。このように常に前に覚えた英語を忘れないようにしながら次々と新しい英語を覚えていきます。1週間後にはその週のスキットが、1ヶ月後には1ヶ月分のスキットがすべてスラスラ口から出てくるようになっていなければなりません。これをとにかく1年間続けます。

半年もやっていると頭の中が英語でいっぱいになってきていることがはっきり自覚できるようになります。頭の中で英語が鳴っている感じで、電車に乗っていても、歩いていても口から英語がポロッと出てきます。そのころにはこの英語をどこかで使えるところはないかと思うようになります。

「学習」の話に入る前に「英語を話せるようになる為に暗記は必要か?」ということについて書きたいと思います。

私は「暗記は絶対必要」だと思います。なぜなら大人は「習得」(無意識のうちに自然に英語を覚える方法)だけでは十分な英語のインプットが確保できないからです。 確かに幼児は意識しなくても英語が聞けて、話せるようになっています。しかし、幼児が母国語を学ぶ場合と大人が第2外国語を学ぶ場合では2つの大きな違いがあります。

まず1つは学ぶべき言語に触れている時間です。私達は子供のころ日本語が話せるようになるまでに膨大な日本語を聞きます。毎日あびるように日本語を聞いているといってもいいと思います。そのくらいの量に触れても5歳くらいにならなければ大人と同じような日常会話ができません。それに対し、大人が英語を習うときには普段は日本語の生活をしていて時たま英語学校に行って英語にふれるだけです。1回50分のセミプライベートレッスンを一週間2回やって1年間勉強したとしても子供のころ日本語に触れていた時間に比べれば微々たるものです。インプットの為の量があまりに少なすぎるのです。

もう1つ違うのは大人と子供の言語習得能力の差です。母国語が確立してしまった大人と比べ子供は言語を自然に吸収する能力がずっとすぐれています。海外に転勤になった親は全然英語ができるようにならなかったのに、一緒に行った小学校2年の子供が2年後には英語がぺらぺらになっていたなどというのはこの言語吸収能力の差からくるものです。

ではこの差を埋めるためにどうしたらよいのでしょうか?方法はあります。「学習」(意識して努力して英語を覚える方法)を使って英語をインプットすれば良いのです。大人は幼児と違って自ら努力することができますから、自分で英語を覚えようと努力すれば、たとえ英語に触れている時間が少なくてもこれをカバーすることができます。英語の文を今日は100覚えてやろうと努力すれば幼児よりずっと早く英語を吸収することができるのです。

だから英語が早く話せるようになる為には私は絶対暗記が必要だと思います。暗記をバカにする方もいますが英語の暗記は必ず英語力向上に役にたちます。あれこれ考える前に暗記してしまえば、やればやっただけの効果はあるのです。是非努力して少しでも多くの英語を暗記して下さい。  

103)3-4. 英語は度胸

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情緒フィルターを下げる話をしてきましたが、簡単に言えば「英語は度胸」ということです。

フィニックスでは入学希望者の方には全員1日体験コースに参加してもらうのですが、1日英語しか使えないということで結構ビビルみたいで、中には緊張のあまり前の日眠れなかったなんて方もいらっしゃいます。 私はこの1日コースの初めに「日本人が英語を学ぶ上での一番の障害は何だと思いますか」と聞くんです。私の答えはshyness(恥ずかしさ)なんですが、私はこのshynessをなくすためにみんなcrazyになろうと言うんです。みなさん笑いますけど私は本当にそう思っているんです。

1日コースではいろいろなことをしますがその一つの課題で「英語劇を作って、先生や在校生の前で発表する」というのがあります。これは生徒が主体の活動で、劇の内容もせりふも動作も全部生徒のアイデアで作ります。もちろん作る過程は全部英語です。 毎回驚くほどおもしろいものができて参加者の皆さんに「楽しかった」と好評なんですが、この人前での発表をするとなんか今まで萎縮していたものが吹っ切れるみたいなんですね。今まで難しく考えていた英語がコミュニケーションのための道具なんだということが認識できて、英語で話すことが楽しくなってくるんです。これはつまり英語を話す度胸がついたんだと思います。

語学を学ぶ楽しさの本質はコミュニケーションの楽しさです。英語で考え、英語で感じて、英語で友達ができる。フィニックスの楽しさはここなんです。

「習得」に関するもう1つの大切な原則は情意フィルターの仮説(the Affective filter hypothesis)です。これは以前「間違えを恐れないことが大切」というタイトルで説明したことです。つまり「不安感の低い者ほど言語の習得は進む」ということです。

幼児が英語を習得していく過程では誰も幼児の間違えなどとやかく言いません。しかし大人になると自分が間違えた英語を話すとまわりから笑われたり、バカにされたりするのではないかと思い緊張します。すると情意フィルターがあがり、英語が自然に習得されるのを妨げてしまうのです。

「幼児の言語習得過程」にも書いたように幼児でも始めから正しい英語が話せたわけではないのです。何度も何度も間違えて、また正しい英語に触れる中でしだいに正しい英語が話せるようになったのです。最初から間違えずに英語を学ぼうなどというのは不可能ですし、そうしようとすることは言語習得にとってマイナスです。

日本では長い学校教育の中で間違った英語を話したり、書いたりすることが悪いことのような指導をされているので一般に情意フィルターが上がってしまっている方が非常に多いようです。

ではまず「習得」Acquisition(自然に英語を学ぶ方法)にとって大切なことを2つ説明します。

まずは[i+1の仮説]です。 これは「言語は、習得した能力のレベルより1段階高いレベルのインプットを理解することによって習得される」というものです。[i+1]の[i]は現習得段階を意味し、これより少しだけ難しい[i+1]を推測によって理解することによって[+1]の部分が習得されるということです。  つまり現習得段階よりもずっと難しい[i+2]以上のものを聞いたり、読んだりしても習得は起きないし、現習得段階以下のもの[i]だけを聞いたり、読んだりしても習得は起きないということを意味します。

よく「聞き流すだけで努力なしで英語がマスターできる」的な教材がありますが眉唾ものです。学習者にとって聞く内容が[i+2]以上の場合が多いからです。わからないものはいくら聞いてもわかるようになりません。たとえば私はロシア語がわかりませんがロシア語の会話をテープで10000回聞いてもまだわからないでしょう。習得は起きないからです。 つまり習得のための教材としては内容が8割くらいは理解できるもので、状況や言語外の情報によって残りの2割が想像がつくようなものを選びこれを大量に聞いたり、読んだりすることが大切だということです。

また英語のレベルが低い人が留学しても思ったような成果が得られないのも留学して聞いたり,読んだりする英語が難しすぎて習得が起きないからです。留学は英語のテレビや新聞、雑誌の内容が8割くらいできるようになってから行くのが最も効果的です。それ以下の場合は結局現地の語学学校に入って学習者用にやさしくしてある教材で学ぶことになるのですから、日本の英語学校に行くのと変わりはありません。「外国に行けば英語は自然にマスターできる」というのはウソです。

Q.日曜日のTV で 日本人の英語教育について放映していましたが、英語を勉強するには、自分が持つ好きなアイテムを活かして勉強をすることが一番ではないでしょうか?

花、園芸、ゴルフ、パソコン、料理、車、映画、等などいくらでもあります。アダルトが好きな人もいるでしょう。 何が趣味、好きかは本人しか分かっていません。これをみんな同じ本で皆で勉強する。好きなもの、好きなタイトルの英語の本 雑誌を読む事が早道だと思います。アメリカの犬は、犬でも英語が分かるそうです。ご意見をどうぞお願いします。

A.人間というのは「自分が好きなもの、興味のあるもの」はすぐ覚えます。「多少嫌いでも、どうしても必要なもの」も覚えます。その反対に「あまり興味がないもの、嫌いなもの」「大して必要だと感じないもの」はなかなか覚えにくいのです。 ですから英語を勉強する時は自分が好きなものを教材することが大切です。

日ごろ、ろくに日本語の新聞も読まない人に英字新聞を読ませてもおもしろいわけありません。でももしも読む教材がファッション雑誌ならもっと興味が沸くかもしれません。

日本の英語教育は生徒の個性を無視して、つまらない教材を全員に押し付けるから生徒はイヤになってしまうのです。

私たちの学校では、大学と同じように学期ごとに自分のクラスを選択していく選択履修制を採用していますから、生徒は興味がわき、自分にとって必要だと思われるクラスを選べるようになっています。

Q.6 フィニックスで英語漬け教育をしている理由はなんですか?

A.6 「人間は自分が生きていく為に必要な表現は速く、確実に覚えていく」ことは前に「必要なものは覚える」で説明しました。そしてその為には「自分自身を英語を使わなければならないような状況に追い込めば良い」ことも説明しました。ではどうしたらこのような状況に自分を追い込むことができるのでしょうか?  

フィニックスでは校内とその周囲100メートルを日本語禁止区域にして、その中で日本語を一言でも話した場合はその都度1000円の罰金を徴収しています。すなわちフィニックスの生徒は授業の内外にかかわらず英語しか使えないのです。休み時間の友達との会話も英語ですし、遅刻や欠席の電話も英語です。そのうえプロジェクトワークという英語のグループ活動をカリキュラムに採り入れているので生徒は日々の学校生活の中で膨大な英語を使うことになります。  

こうした英語だけの学校生活の中でフィニックスの生徒は「英語で言いたかったけれど言えなかった表現」に日々出会います。そしてそうした表現は彼らにとって必要な表現だったのでスポンジが水を吸うように吸収されます。

状況とともに適切な発音やイントネーションで覚えますから自分でもその表現をすぐ使えるようになります。だからフィニクスの生徒は短期間で英語が使えるようになるのです。  このような外国語浸け教育法を応用言語学の分野ではTotal Immersion(トータルイマージョン)と呼んでいます。Immersionとは没入するという意味ですが、これをここまで徹底してやっている学校は世界でもまれだと思います。

Q.5 一番大切なのは、言えなかったことを覚えておくことでしょ?そうしたら、誰かが言った時、どこかで聞いた時に、「そう言えば良いのか」って覚えられるから。(笑)

A.5 言っておられることは非常におもしろいと思います。つまり「人間は自分が言いたかったけれど言えなかったこと、書きたかったけれど書けなかったことは速く確実に覚える」ということです。それはその表現がその人にとって生きていく為に必要な表現だったからだと思います。 「必要は発明の母」という諺がありますが、「必要は言語習得の母」というのも真だと思います。

日本人の子供もまだ日本語が自由に聞いたり、話したりできなかった時はやはり相当な不自由を感じていたはずです。だから彼らには言語習得の必要性を日々感じていたのだと思います。 第2言語である英語を習得する場合もこの原則は変わりません。だから英語を速く確実に覚えたかったらまず自分自身を英語を使わなければならないような状況に追い込めば良いのです。

自分の不得意な分野を知るにはどうしたらいいでしょう? 病気になったら病院に行って診察をしてもらったり検査をしてもらいますね。 英語学習も同じです。 まずテストをして英語力のうち自分のどんなところが弱いのかを調べることがとても重要です。

フィニックス英語学院では年間4回の英語力診断テストを行い、英語力をリスニング、語彙、文法、会話表現、読解の5分野でいろいろな角度から必要な英語力が身についているかを調べています。テストの問題も会議で議論をしてどんなことを調べているかをはっきりするような問題にするようにしています。

学習者の中には自分がどこができないのかもわからずにただめくらめっぽうに勉強している方がいますがこれでは効率よく英語力をのばすことはできません。自分の弱点を知りそれを一つひとつつぶしていく方法が効率よく勉強するためには一番いいということです。

 

Q.4 子供は言葉を学ぶ過程で致命的な間違いを犯しても、かわいいねえって思われるだけで、許されます。でも、私たち大人が、外国語を学ぶ過程で子供と同じレベルの致命的な間違えを犯せば、知的水準を疑われることは必至です。

A.4 語学は間違えずに向上させることは不可能です。そして大人は子供と違って間違えることを恐れるのでできるようになりません。間違えることを恐れると緊張します。すると英語が頭の中に入って来ずらくなるのです。Natural Approachのクラッシェンはこれをaffective filterと呼び、語学学習者のaffective filterを下げること、すなわち学習者が子供と同じように安心して間違えることができる環境をつくってあげることの重要性を強調しています。

学習者が一生懸命、慣れない言語でコミュニケーションをしようとしているのに、間違いを一切許さず知的水準を疑うような人は、今まで外国語を学ぶ苦労をしたことがない人だと思います。少しでも外国語を学びその難しさを実感している人は相手の間違い対して寛容なのが普通です。

Q.3 子供はどのようにして言語を学ぶのでしょうか?

A.3 これはアメリカの大学で使われている教育心理学の教科書にのっていたことです。 幼児が初めて言葉を発するのは約1歳ぐらいだそうです。最初は"bah-bah"というような意味のない言葉ですが、幼児が意味を伝えようとして話しているのがまわりの人間にもわかるそうです。

2歳くらいになると言葉を組み合わせて2語の文をつくれるようになります。例えば"see boy"とか"my mommy"のようなものです。

3歳くらいになると文法的にもかなり複雑な、"Where my ball?""I want do it" "When Daddy come to home?"なども言えるようになります。

5歳くらいになると大人と同じような文法を使って日常会話がほぼできるようになります。

文字を習うのは親が教えない限り、学校で初めて習うことになります。私の娘は親が怠け者だったので小学校に行くまでひらがなが書けませんでした。

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