2.アメリカ口語教本 (研究社)

スピーキングのアウトプット用の教材はほとんどがコミュニカティブアプローチのものですが、唯一つオーディオーリンガルメソッドの教材として根強い人気を保っているのがこのアメリカ口語教本という教材です。

この教材は1959年に出版されてからもう40年間も売れつづけているという英語の教材としては驚異的なロングセラーを誇るテキストです。 オーディオリンガルメソッドは機械的だとか、時代遅れの教授法だという人もいますが、私はオーディオメソッドにはコミュニカティブアプローチとは違った別の良い点があると思います。(オーディオリンガルメソッドとコミュニカティブアプローチの比較についてはアウトプットの方法のページをご覧下さい)

日本でロングセラーになるだけに、日本の学校教育でおこなわれている英語教育のこともよく踏まえた上で、日本人がかゆいところに手がとどくように効率的にスピーキング力をのばせるようにつくられたよくできた教材だと思います。何度も改訂されているので、内容的にも古臭さは感じません。

この本はアウトプット用にもできていますが、インプット用の教材でもあります。テキストの指示にあるように各課のダイアローグの部分はテープやCDを聞いて、ネイティブスピーカーの発音をまねしながら、正確に覚えていかなければなりません。

私はクラスの半分をこのダイアローグの暗記のチェックに使っています。 授業の半分はこのテキストの特徴である数多くのパターンプラクティスを口頭でこなしていきます。

パターンプラクティスはもとの文を指示されている通りに置き換え練習や言い換え練習をするもので、オーディオリンガルメソッドの典型と言える練習です。この本ほど、いろいろな種類のパターンプラクティスの練習がたくさんのっている本はないと思います。

パターンプラクティスは英語をいろいろな形に変えて話す練習ですから、必ず声を出して練習しなければいけません。また瞬間的に口から英語がでてくるように練習しなければなりません。時間をかけて、ゆっくり解答を考えて英文を作っているようではあまり意味はありません。

たとえば、三人称単数が主語の時は動詞に s をつけなければいけないのは皆知っています。でも実際に話す時になると慣れないうちは s を落としてしまうものです。こうしたことをとっさに自然にできるようになるための練習にはパターンプラクティスはとても役に立ちます。

文が長かったり、変形が複雑なものはテキストを見ながらパターンプラクティスをしてもかまいませんが、理想的にはテキストを見ないで先生の発音した文を聞いて理解しそれを指示通りとっさに変えていく練習をするべきでしょう。こうすれば聞き取りの練習にもなります。

この本は入門編、初級編、中級編、上級編と四冊からできているシリーズですが、テキストもテープやCDの音声教材も価格が非常にリーズナブルだし、これ四冊をきちんと勉強すれば、かなり高度なレベルの会話までできるようになります。

はっきり言って、ブリタニカとかリンガフォンとかの何十万の教材よりも、このアメリカ口語教本4冊をしっかり勉強されたほうがずっと良いと私は思います。

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