307)リーディングをのばすための教材の最近のブログ記事

英語を読む教材としてよくあげられるのがTIMEや、NEWSWEEKなどの外国の雑誌、英語の小説やスクリーンプレイなどです。これらのものも悪くはありませんが、英語学習者が読む教材として本当に適切なのだろうか?と私は疑問に思います。

 国際英語の学び方の章でも述べましたがこれら「外国もの」は学習者に「英語がわからないこと」と「書かれている内容の背景がわからないこと」の二重の負担をかけます。「英語学習には英語以外の部分の負担がなるべく少ないものを使うのが効率が良い」というのが私の持論です。

そこで私は「日本もの」を使った英語学習を推奨しているのですが、「日本もの」の他に私がおすすめするのが「万国共通もの」を使った英語学習です。 「万国共通もの」とは各国の文化にかかわりなく、どこの国でも同じように教えられる客観的な知識のことをいいます。

具体的にはみなさんが小学校、中学校、高等学校などで習ってきた、社会や理科の内容です。 私達は社会や理科の授業でいろいろなことを学びます。世界の地理や歴史、政治や経済の基礎的知識、物理、化学、生物、地学などの自然化学の考え方などが例としてあげられます。これらは人類共通の財産であり、日本の子供も外国の子供も同じように学ぶ大切な知識です。 これらの知識は私達は日本語ではもう知っていますから、これをもう一度英語で学びなおすことはそんなに難しいことではありません。

特に文化的な背景知識も必要ありませんし、内容も興味が持てますからどんどん読めます。わけのわからない「外国もの」を読むより、ずっと楽に早く大量のものが読めます。そしてイメージもはっきりわきますから、語彙もどんどん増えます。 こうした「万国共通もの」を使って英語を勉強するのに私がおすすめするのがGROLIER Multimedia Encyclopediaです。

これはアメリカの小学校中学年から中学生が使う子供用の百科事典です。昔はThe New Book of Knowledgeというタイトルでしたが、今ではinteractiveなCD-ROMとして生まれ変わりました。

内容は百科事典ですから自然科学、社会科学、人文科学のいろいろな記事がAからZまでアルファベット順に並んでいます。その中で自分が興味を持った記事を読んでいけばいいのです。 子供用ですから語彙はやさしいものを使っていますし、大変わかりやすく説明されています、しかし内容は相当高度のものが含まれており私でも勉強になることがたくさんあります。

私はこの教材をTOEFLの語彙増強のクラスで使っています。TOEFLには大学で学ぶ一般教養科目の基礎的な知識を見る問題がでますから、この教材はTOEFL準備にも最適です。 GroliaのホームページにThe New Book of KnowledgeのDemo版がありますから、是非ご覧下さい。

http://www.grolier.com/

最新版のCD-ROMは50ドルで注文することができます。(送料別)

この本は大学入試用の読解用参考書ですが、英語のあらゆる構文をきちんとマスターするためには最もよくできた本だと思うので推薦します。昔は「全解英語構文」の名前で売られていましたが、コンパクト版になって名前が変わりました。

英語の入試の読解問題は今だにかなりの割合で下線部訳の問題が出ます。英検1級は下線部訳の問題は廃止されましたが、通訳ガイド試験にはまだ出ます。こうした下線部訳の問題は複雑な構文をきちんと理解し訳せるかどうかを見る問題です。構文が複雑で、訳しにくいところに下線を引き、そこを正しく訳せるかどうかで構文を理解しているかどうかを見るのです。

私はこうした問題は時代後れの問題だと思います。現代英語はできるだけわかりやすい構文で読みやすい英語で書くのが良いと考えられてきているので、こうした複雑な構文の英語にはあまりお目にかからなくなってきたからです。しかし、昔の文献を読んだり、TIMEなどの少し気取った文体のものの場合には難しい構文が使われることもあります。したがって一度はあらゆる英語の構文をきちんと勉強しておくことは必要だと思うのです。

こうした構文研究で有名なのは駿台の伊藤和夫先生ですが、私は山口俊治先生の本の方がわかりやすくで好きです。山口先生は他に有名な「山口英文法講義の実況中継(語学春秋社)」という本を出されていますが、誰でもわかるようにスッキリと説明することがとてもうまい先生だと思います。

この総合英文読解ゼミも学習者の立場にたってとてもわかりやすく書かれています。 この本では英語の構文をカテゴリーに別けながら、全部で200の構文に分類しています。そしてこれだけをマスターすれば、どんな英語の構文も理解できるように作られています。

まず構文を紹介する例文が囲みの中で紹介され、くわしい説明がされた後、その構文が入っている文章が練習問題としてのせられています。 ただ私はこの本の使い方について大学受験生がやるような英文を日本語に訳すという方法で勉強するのは良くないと思います。英語の勉強は英語を覚えることが勉強であって日本語に訳しただけでは勉強になっていないからです。

私は以下の方法をすすめます。 まず囲みの中の例文をその後に続く説明を読んで理解します。そしてその例文を本を見ないで言えるようになるまで覚えます。その後の練習問題は日本語と比べ英文の内容を理解しながらどんどん読んでいきます。英文を訳して自分の訳をノートに書いて解答と比べて直したりするのは無駄ですからやりません。ただ語彙を増やすことは必要ですから練習問題の中で知らない語彙がでてきたらその部分にあたる英語と日本語の部分をマーカーで印をつけておきます。 この方法で最初から最後まで最低2回この本をやってこの本をきっちりマスターすればどんな構文でも読みこなせるという自信がつくこと請け合いです。

3.PENGUIN READERS  (LONGMAN)

「英語のペーパーバックが読めるようになりたい。でも語彙が難しすぎて内容がよくわからない。本が厚すぎて途中で挫折してしまう」という方に速読・多読用の教材として是非おすすめしたいのがこのPENGUIN READERS というシリーズです。

この本は現代、過去のベストセラー、名作をやさしい英語で書きなおしたもので、200 Words レベルから 3000 Words レベルまで自分の英語力に合わせた本を選ぶことができます。 私がこのシリーズをすすめるのは、内容がとてもおもしろくて楽しく読めるからです。

ジエラシックパーク・失われた楽園、逃亡者、クライエント、フルモンティーなど数年前にヒットした映画などもたくさんふくまれています。またビルゲイツの著書、俳優デカプリオの伝記などもあります。他にもやさしい英語で書かれているペーパーバックのシリーズもありますが、このペンギンリーダーズが一番読んでみたいというタイトルがそろっていると思います。

また本が薄いので、あまり苦労せずに始めから終わりまでを読み通すことができて、読破した冊数が増えるにしたがって、本を読み上げたという充実感を得ることができるのも良い点です。 内容理解を確かめるためのQuestionも巻末についているので、クラスで教材として使う時にも便利でしょう。

値段は600円から800円くらい。紀伊国屋など洋書をあつかっている本屋で手に入れることができます。