308)ライティングをのばすための教材の最近のブログ記事

「英作文とは単語を英文法を使って組み立てながら日本語を英語に訳していくこと(Translate)である」というのが一般に信じられていることです。しかし「これは間違った方法である」というのが松本亨先生の考えです。松本亨先生は「英語はまず正しい英語を覚えておいて、日本文の意味を解釈(interpret)し、それに相当する英語を書かなければいけない」とおっしゃっています。

つまり "Do not translate: Interpret accurately"ということです。 この考えを証明するために書かれたのがこの英作全集というシリーズです。この本は松本亨先生がまず生徒に英語になおす日本文を提示し、これを生徒が英語に直し、それに松本亨先生がコメントをつけ、次に正しい英文を示すという方法で構成されています。 いくつか例をあげます.

 1.梅雨明けはセミの第一声から始まる

生徒の作文  The sign of closing wet season starts with singing of cicada.

松本亨先生の英文  The rainy season comes to an end when you hear the first cicada.

 2.生きていることは誰かの役に立っていることだ。

生徒の作文  To go on living is useful for someone.

松本亨先生の英文  The fact that I go on living must be useful for someone.  

3.彼はよく長崎をテーマに絵を描く。

生徒の作文  Sometimes he paints a theme in Nagasaki.

松本亨先生の作文  He often paints Nagasaki.  

4.昨日は気温が最高だった。

生徒の作文  Yesterday was the highest temperature.

松本亨先生の作文  Yesterday's temperature was the highest this year.  

この本をやっていくといかに直訳というのが危険かということがよくわかります。かなり英語のできる方でも勉強になることが多いと思います。 私はこの本の使い方としては説明を読んだあと答えをそのまま覚えてしまう方法をすすめます。英語があまり頭にたまっていない時に日本語から英語への作文をやっても間違えてしまうことが多く、やっても有益とは思えません。それよりもちょっと考えてわからなければ答えを見て、それを覚えてしまった方が早いと思います。 私は2巻やったところで挫折しましたが、10巻全部を制覇すればほとんどのことは書いたり、話したりできるようになると思います。がんばってチャレンジしてみてください。  

関連質問 Q. おすすめ教材にある松本亨全集の1・2巻を買った者です。日本語と英語の違いがよくわかり大変いいものを手に入れたと感謝しています。ところで、稲垣先生は3巻以降は難しいとおっしゃっていますが、準1級の私にはむりでしょうか?よかったらお返事ください

A.英作全集はどの巻も難易度は変わりません。3巻以降私がやれなかったのは根気がなかっただけにすぎません。3巻以降もがんばってやってください。 この教材の問題は改訂されていないので例文が古いところです。改訂して例文を入れ替えれば良いのですが、私達のところには版権がないので残念ながらできません。

[日本版は実例現代英語用法辞典(金子 実他訳 桐原書店)]

 ライティングに関してはやはり英文法というものをさけては通れないでしょう。そこで英文法を実際に英語を書くという見地から勉強するために是非一読をおすすめするのがこのPractical English Usageという本です。

この本は英語学習者が間違えやすい文法や語法を455のカテゴリーに分けて説明した本で、学習者が迷うポイントを数多くの例文を通して的確に指導してくれます。

例えば最初のテーマは a book about Africa と a book on Africa はどこが違うかというもので、on は本や記事、講義など堅い内容のもので、学問的であり、専門家向きであることを示唆しているのに対し、about は内容が一般向きである場合、あるいは書き方は話し方がもっとくだけている場合に用いられると説明されています。

この後比較にために以下のような例が続いています。 a textbook on African history. a book for children about Africa and its peoples. a lecture on economics a conversation about money an article on British industrial problems an argument about strikes

説明を読んで納得した後にこうした例文を覚えていけばより正確な英語が書けるようになります。

この本はかなり厚いものですから、通読しようとすると辛いかもしれません。最初は辞書のように必要な時に調べるという使い方でもよいでしょう。