305)イディオムを学ぶための教材の最近のブログ記事

英頻の愛称で呼ばれる大学受験生なら誰でも知っている有名な英文法の問題集です。私は受験生の時に英文法に関してはほぼこれ一冊しかやりませんでした。この本は英文法の問題集ですが、イディオムや動詞と前置詞が組み合わさったできた動詞句の問題も豊富でイディオムの問題集としても必要十分な問題がのせられています。

イディオムは最終的には会話や、作文の中で自由に使えるようにならなければならないのですが、入試や英検の対策としてはとりあえず読んだり、聞いたりした時に意味がわかり、また空所補充や選択問題で正しい答えを選べればなんとかなります。受験勉強のためにはあまりたくさんの問題集に手を出さずこれ一冊仕上げるというつもりでやれば十分だと思うのです。

この問題集は左側のページに問題、右側のページに答えと解説がのっていますから、昔の問題集の様に問題集と解答をいちいち見比べる手間がはぶけます。(最近は左ページに問題、右ページに解答という形式の問題集が増えましたが、英頻が出たころはこうしたものはほとんどなく画期的なものでした)。

1回目はとにかく左側の問題を頭から順番に答えていきます。できた問題には○、できなかった問題は×、曖昧な問題には△をつけて最初から最後までとにかくやります。英文法やイディオムなどの問題は最初は知らなければわからないのがあたりまえなのですから、あまり考えずにどんどん答えを見てそんなものかと考えながらやっていけばいいのです。あまり考えても意味はありません。 2回目は×と△のついた問題だけをやってきます。今度もまた○、×、△をつけていき、これを3回目、4回目と繰り返していき、全部の問題に○がつくまで繰り返します。

イディオムは理屈ではなくとにかく慣れですから、何度も接しているうちに自然に覚えてしまうものです。この問題集を終えてしまえば大学入試や英検2級程度のイディオムはほぼ学んだことになります。

語彙をふやす為の教材のところで、接頭辞や接尾辞で意味を覚えていく方法を説明しましたが、これと同じことを熟語でしていく方法に前置詞の意味によってイディオムの意味を理解していく方法があります。イディオムのほとんどは前置詞と動詞、形容詞、名詞などが組み合わさってできており、前置詞の意味を理解することによってイディオムを分解して理解することができます。

この前置詞の意味ごとに熟語を説明していくという方法をとった教材として「奇跡の英熟語」という本があります。この本は長崎玄弥先生の出しておられる「奇跡の英語シリーズ」の中の一冊ですがシリーズの中で私が最もおすすめしたい本です。

最近はアルク社からもこのタイプの教材がでているようですが、「奇跡の英熟語」は熟語を分析した草分け的な存在の本です。 この本に出てくるイディオムはかなり難しいものも含まれており、大学受験生程度ではマスターしきれないでしょうし、またすべてを完全にやる必要もないと思います。ある程度勉強がすすんできてから、今まで知っているイディオムを整理したり、それに関連づけて他のイディオムを覚えるために使うと良いと思います。

この前置詞の意味で熟語を説明していく方法はイディオムを理詰めで理解していく方法で、これをやったからといってイディオムが使えるようになるわけではありません。イディオムが使えるようになるためにはやはり、会話や文脈の中でイディオムを覚えていかないといけません。しかし、単語の時と同じようにイディオムの意味を忘れない、または意味を印象強く覚えるという点ではこの方法は効果があります。そういう意味で熟語というものを分析しこれを理論的に理解しておくというのも一度やっておくと良いでしょう。

イディオムに関してもうひとつ考えておかなければいけないのはスラングの扱いです。スラングは流行り廃りが激しいし、ノンネイティブスピーカーがよくわからないで使うと誤解をまねくことが多いので、スラングは学習者に教えるべきではないという考えもあります。しかし、映画の英語などではスラングは頻繁に使われこの理解なしには聞き取りは難しいのも事実です。やはりよく使われるスラングに関してはある程度おさえておくことも必要なのではないかと私は思います。

そこで私がスラングの学習用におすすめするのがSTREET TALKという教材です。副題にHow to speak & understand American Slangとあるようにスラングのみを扱った数少ない教材の一つです。 この教材の面白いのは単にスラングを覚えるための教材ではなく、Colloquialismsという音の連結や脱落という現象も扱っている点です。

たとえばこの本の例文にあがっている例をあげると "I am going to get upset if he does not quit what he is doing stop bothering me!" という文は実際の会話では "I'm gonna ged upsed if'e duz'n quit what 'e's doin' 'b stop botherin' me! と発音されます。これをスラングを使って言うと I am going to freak out if he does not knock it off and stop bagging me!" ということができ、この文は実際には I'm gonna freak oud if 'e duz'n knock id off 'n stop buggin' me! と発音されると説明されています。

ネイティブスピーカーの話す英語が聞き取れないという理由はこのColloquialismsとSlangがわからないことから来ることが多いので、映画の聞き取りができるようになるためにはこの本をやっておくといいでしょう。

テキストの他にカセットテープも発売されていますから、実際にネイティブスピーカーがどう発音するかを聞きながら楽しく学ぶことができます。