302)スピーキング力をのばすための教材(インプット用): 2007年4月アーカイブ

現在放送されているラジオ、テレビの放送の中で英語を話せるようになる為に英語をインプットする教材としては私はラジオの英会話入門を推薦します。

理由は

1.初級者から上級者まで使える内容である。

この番組は入門という名前がついているので初級者用の講座のような誤解をうけやすいですが実は上級者でも学ぶことが多い大変高度な内容を持つ講座です。ダイアローグの表現にもさりげなく上級者でも知らないがよく使われる表現などを入れているところが心にくいところです。英会話文法なども独特の切り口で学ぶことが多いです。

2.楽しい

遠山先生は楽しく英語を教えることの達人です。他のゲストとの息のあったかけひきを聞くだけでも楽しめます。早口言葉やシチュエーションを変えてダイアローグをやってみるなど楽しく英語を教えるいろいろな工夫がほどこされています。

3.量が適切

学習者が使える表現を覚える量としてはちょうどの量だと思います。「やさビジ」なんかじゃ普通の人には覚えきれないでしょう。

4.音が生きている

言語というのはその中に感情を含んでいます。単語を文法で並べただけでは英語はできないのです。そこにいろいろな感情やこれを伝えたいという気持ちが入って初めて生きた英語になるのです。遠山先生はドラマの素養があるので英語が生き生きしています。ただ表現を並べたダイアローグではなく、会話の中に何かをしようという目的があるからです。情報を伝えるだけでなく気持ちを伝える英語力も身につけることができるのもこの番組のすぐれたところです。

英会話入門の使い方

これから英会話入門を使って英語力をつけていく方法を「英会話入門を120%利用する方法」というシリーズで紹介していきます。私は英語学校で英語を教えていますが、ここで紹介することは私の生徒さんたちに実際にやってもらっていることです。同じようにやれば、どなたでもこの番組一本で使える英語力を身につけることができます。ミスターフィニックスの英語学習相談室の「英会話入門を120%利用する方法」のページをご覧下さい。

英語が話せるようになるためには、日常よく使われる常用語句をしっかり覚えていつでも使えるようにしておくことと、基本的な文法事項を含んだ構文が会話の中で自由に使えるようになることの両方が必要です。

前者の常用語句を覚える教材はたくさんあるのですが、後者の英文法が会話の中で使えるようになるための教材はあまりなく、この必ずものになる話すための英文法はそうしたものの中で手ごろで使いやすく私はおすすめします。今まで私はいろいろな教材を覚えてきましたが、その中でも最も英語がでてくるようになった教材です。

この本は初級編part1,part2、中級編part1,part2の4冊から構成されていて、初級編には約350、中級編には約600の英文が日本語とともに文法項目にそってならんでいます。

多くの文法書の英語は書くときの英語表現で書かれていますが、この本は話すときの英語表現で書かれているので、この本を覚えると会話でもいろいろな文法事項を含んだ英語が話せるようになります。

使い方はテープを聞きながら、テキストの本をひたすら覚えていくというものです。著者の市橋敬三氏は「各文を最低80回、精神統一して読め」と言っています。

決して日本語から英語に訳すのではありません。日本語を見たらそれに対応する英語がすぐにスラスラ言えるようになるまで完全に覚えます。私のクラスでは私が日本文の方を無作為に選んで読み、生徒はすぐそれに対応する英語を言うという方法でチェックしています。発音やイントネーションがおかしい時はその時直します。

私は自分では中級編の2冊を覚えました。常に持ち歩き、暇があれば覚えるという方法でやって1冊覚えるのに3ヶ月づつ、2冊で半年ほどかかりました。生徒さんは一週間に20~100くらいの文を覚えてきています。

初級編はだいたい中学校の英語くらいですが、英語の基礎力のない方が基礎的な英文法を知識としてだけでなく、実際に使えるものとして学ぶのに適しています。

中級編は文が長くなってかなり難しく、相当力のある方でも勉強になると思います。イディオムや口語表現も豊富ですし、今まで受験英語しかやってこなかった方にとっては文法の説明も誤解していたことや、気がつかなかったことが多いと思います。

私が東京松本英語専門学校の生徒だった時に最初に覚えさせられた教材です。私にとって英語を覚えるということを初めてやった教材で1つの話からできています。当時の松本の生徒にとっては大変愛着のある教材で、私はこの教材は最初から最後まで覚えました。量的には50分くらい連続して英語を話していられるくらいの量があります。

松本亨先生はNHKラジオ英会話を担当されていた先生ですが、ご自分でも「私は英語学者ではなく英語作家である」と言っていたくらいおもしろいストーリーを書かれる方でした。単なる英会話の教材ではなく、話がおもしろいのです。このThe Visitorもそうですが、松本亨先生の放送を聞いていた方の話によると、松本先生のラジオ講座はまるで連続テレビ小説を見ているような楽しさがあったそうです。次にどんなことがおきるのか、ハラハラ、ドキドキ、自分が登場人物になってしまうのです。これは松本亨先生の後に放送を継いだどの講師の先生にもできなかったことです。

ストーリーはアメリカのカリフォルニアのバーバラ斎藤という日系3世の女の子の家で始まります。彼女のバックグラウンドはストーリーが展開していくにしたがってだんだんわかってくるのですが、彼女のお父さんはこれも日系人の吉田さんというところで庭師として働いています。斎藤さんも吉田さんも戦前から優秀な庭師で広い土地を持っていたのですが、第2次戦争中に土地が日系人の土地が没収されるのを防ぐためにアメリカ人の友人に土地の名義を肩代わりしてもらいます。吉田さんが預けたアメリカ人やよかったのですが、斎藤さんの預けた相手は土地を売り飛ばしてしまい斎藤さんはすべての土地を失います。

吉田さんにはフランクというバーバラと同じ位の年齢の息子がいて、バーバラとフランクはつきあっています。バーバラの母親はバーバラがフランクと結婚することを望んでいますが、バーバラはフランクが自分のことを所有物のようにあつかうことに強い不満を持っています。

そんな時にバーバラの家にやってくるのが、母親の昔の友人の息子、島健二です。彼はグランドキャニアオンにいる友人に会いにく途中で一泊させてもらうためにバーバラの家に来ます。健二は比較宗教学を学ぶ大変まじめな学生で、バーバラは健二の知性と人柄にひかれます。バーバラは健二をUCLAを案内してまわり、食事をして、二人は恋に落ちます。夕暮れのハリウッドボールで二人は口づけをかわすまでになります。

健二は翌日、バスでグランドキャニオンへ向かいますが、バーバラは健二のことが忘れられず、お父さんに相談し、フランクの父親がフランクとバーバラを結婚させたいと申し入れていた事実を知ります。そしてバーバラは家も学校も捨て健二の後を追うのです。

なかなかドラマチックでしょう?恋のシーンあり、ケンカのシーンありバラエティに富んだ会話が展開します。次のバーバラのセリフなど普通の英会話の教材ではお目にかかれないと思います。

Barbara: Kiss me, Kenji. Real hard. Our last kiss.

カセットテープつきの本一冊のコンパクトな教材で、定価は3900円です。現在残念ながら絶版ですが、希望者の方にはコピーを2000円(送料別)でさしあげます。