303)スピーキング力をのばすための教材(アウトプット用): 2007年9月アーカイブ

英語をアウトプットする方法の一つにディスカッション用の題材を与えてこれについて意見を述べさせる方法があります。ディスカッション用の題材としてはいろいろなものが考えられますが是非私がおすすめしたいのがこのアンランダースの人生相談という新聞のコラムです。

日本の新聞と同様アメリカの新聞にも人生相談コラムがあります。いろいろな人がこのコラムに自分の人生の問題を相談する投書を寄せ、それにコラミニストが答えます。アンランダースはアメリカの最も有名な女性の人生相談コラミニストの一人です。

このアンランダースの人生相談を読んでいくと、アメリカ人が日常生活の中でどんな悩みや問題を持っているのかよくわかります。夫婦の問題、子供の問題、性の問題、仕事の問題、病気の問題などそのほとんどが私達の生活にも関係する非常に身近な問題です。

アンランダースのおもしろいところはこれらの問題を真面目にかつユーモアを交えて適切なアドバイスをしていくところです。この辺が彼女の人生相談が人気の所以でしょう。

私はまず生徒に相談内容を英語で読ませて、何が問題かをサマリーさせます。難しい語彙やイディオムがある時はその時に説明します。その後、自分だったらどんなアドバイスをするかを一人一人に話させ、グループでディスカッションさせます。最後にアンランダースのアドバイスをみんなで読んで感想を言い合います。 生徒それぞれの人生観や、いろいろな考え方が交換できて毎回とても充実したディスカッションができています。

私はこのアンランダースの人生相談を集めた本をアメリカで買ってきてそこから題材をえらんでいますが、アサヒイブニングニュースやアサヒウイークリーにも連載されているので、これを切りぬいておいて使うこともできます。また下のURLでインターネット上で彼女のコラムも読むことができますから、ここから適当なものを選ぶこともできます。是非ご覧下さい。 http://www.creators.com/lifestyle/landers/lan.asp

スピーキングのアウトプット用の教材はほとんどがコミュニカティブアプローチのものですが、唯一つオーディオーリンガルメソッドの教材として根強い人気を保っているのがこのアメリカ口語教本という教材です。

この教材は1959年に出版されてからもう40年間も売れつづけているという英語の教材としては驚異的なロングセラーを誇るテキストです。 オーディオリンガルメソッドは機械的だとか、時代遅れの教授法だという人もいますが、私はオーディオメソッドにはコミュニカティブアプローチとは違った別の良い点があると思います。(オーディオリンガルメソッドとコミュニカティブアプローチの比較についてはアウトプットの方法のページをご覧下さい)

日本でロングセラーになるだけに、日本の学校教育でおこなわれている英語教育のこともよく踏まえた上で、日本人がかゆいところに手がとどくように効率的にスピーキング力をのばせるようにつくられたよくできた教材だと思います。何度も改訂されているので、内容的にも古臭さは感じません。

この本はアウトプット用にもできていますが、インプット用の教材でもあります。テキストの指示にあるように各課のダイアローグの部分はテープやCDを聞いて、ネイティブスピーカーの発音をまねしながら、正確に覚えていかなければなりません。

私はクラスの半分をこのダイアローグの暗記のチェックに使っています。 授業の半分はこのテキストの特徴である数多くのパターンプラクティスを口頭でこなしていきます。

パターンプラクティスはもとの文を指示されている通りに置き換え練習や言い換え練習をするもので、オーディオリンガルメソッドの典型と言える練習です。この本ほど、いろいろな種類のパターンプラクティスの練習がたくさんのっている本はないと思います。

パターンプラクティスは英語をいろいろな形に変えて話す練習ですから、必ず声を出して練習しなければいけません。また瞬間的に口から英語がでてくるように練習しなければなりません。時間をかけて、ゆっくり解答を考えて英文を作っているようではあまり意味はありません。

たとえば、三人称単数が主語の時は動詞に s をつけなければいけないのは皆知っています。でも実際に話す時になると慣れないうちは s を落としてしまうものです。こうしたことをとっさに自然にできるようになるための練習にはパターンプラクティスはとても役に立ちます。

文が長かったり、変形が複雑なものはテキストを見ながらパターンプラクティスをしてもかまいませんが、理想的にはテキストを見ないで先生の発音した文を聞いて理解しそれを指示通りとっさに変えていく練習をするべきでしょう。こうすれば聞き取りの練習にもなります。

この本は入門編、初級編、中級編、上級編と四冊からできているシリーズですが、テキストもテープやCDの音声教材も価格が非常にリーズナブルだし、これ四冊をきちんと勉強すれば、かなり高度なレベルの会話までできるようになります。

はっきり言って、ブリタニカとかリンガフォンとかの何十万の教材よりも、このアメリカ口語教本4冊をしっかり勉強されたほうがずっと良いと私は思います。

英語をアウトプットするための教材の代表的なものはコミュニカティブアプローチを使った教材です。コミュニカティブアプローチとは英語を使ってコミュニケーションする目的を作ってやることによって英語を自然に話させようという方法で、現在ほとんどの英会話学校でこの手法が使われています。

コミュニカティブアプローチのテキストはたくさんあって、Cambridge, Oxford, Longman などたくさんの出版社がこぞってこの教授法を使った教材を出していますが、内容は大同小異で同じようなアクティビティーがどのテキストでも使われています。英会話学校などではこうしたテキストのコピーを使って授業をしているところが多いようです。

私が使っているのは、Longman社のEnglish Firsthandという教材でこれはもとLingual House社が出していたものがLingual HouseがLongmanに吸収されたためLongman社が引き続き出版しているものです。

私はCambridgeのInterchangeやOxfordのEast Westなども使ったことがありますが、こうしたテキストは外国で出版されているため日本人なら誰でも知っている余計な文法の説明や練習が多いような気がします。その点このEnglish Firsthandは日本在住の言語学者が日本の現状に合わせて作ったものだけにあまり無駄な部分がなく使いやすいと思います。

この教材は総合教材であり、聞く、話す、読む、書く、の4つの技能をすべてのばせるように作ってありますが、コミュニカティブアプローチの教材だけに主として話すためのプラクティスが中心です。

テキストの構成は Listening.  Conversation,  Duet,  Language check,  Ensemble,  Solo, そして別冊の Reading の7つの部分からできており、同じテーマをいろいろな手法のプロクティスを通して練習できるようになっています。

Listening はコミュニカティブアプローチの趣旨にそって、できるだけ生の英語に近いナチュラルスピードの会話を聞いて、必要な情報を的確に把握するように作られています。

Conversatonはいわゆるダイアローグですが、会話の中身をいろいろ入れ替えて練習できるようになっています。またドラマメソッドの Talk & Listen などの手法を使って練習するようできています。

Duet はいわゆるインフォメーションギャップを使ったアクティビティーでAとBがそれぞれ違った情報を持ち、それを交換していくことによって英語を話させるものです。

Language Check はその課で確実にしておくべき文法事項や語彙を確認するためのもので、次のEnsembleの準備もここでします。

Ensembleはクラス全体、または4,5人のグループでするアクティビティーで主としていろいろなゲームを通して英語を使わせます。

Soloはライティングのアクティビティーで、私はこの部分は宿題にしています。

この他にEnglish FirsthandにはFirsthand StoriesというReading用の教材がついていて、各課を学んだ後それに関連する文章を読んで内容に英語で答える練習をするようになっています。

またインターネットを通じてこのテキストの各課で使えるいろいろなアクティビティーがhttp://www.efcafe.com/
にのせられていますし、このテキストを使っている世界各国の英語講師の先生と情報交換をすることもできます。