129)29. 聞き流すだけで英語はマスター?の最近のブログ記事

Q. 新聞雑誌などの前面広告で「聞き流すだけで英語が口をついてでてくる」という教材がありますが、本当にそんなことは可能なんでしょうか?

A. 「この聞き流すだけで英語を吸収する方法」は言語学ではAcquisiton「習得」と言います。子供は皆この「習得」で言語を吸収しますから、原理的には可能です。 ではどんな時に習得はおこるのでしょうか?

クラッシェンという人が説明しています。 習得は現在の自分の英語力よりも少しだけ難しいものを聞いたり、読んだりするときにおこります。現在の英語力を i とすると i+1 のものを聞いたり、読んだりしたときにおこるわけです。

今の英語力以下のものを聞いていても新たな習得はないし、今の英語力よりもずっと難しい i+2以上のものを聞いたり、読んだりしても意味がわかりませんから、習得はおきません。

例えば私はヒンズー語がわかりませんが、ヒンズー語のテープを1000時間聞いたってまだわからないでしょう。なぜならそのテープは私にとって i +2 以上であり、私の耳はヒンズー語の音を雑音としてとらえ、言語として理解できないからです。

関連項目 2.「習得」(i+1の仮説)

すなわち「習得」で英語を吸収(インプット)したいのであれば、聞いたり読んだりしてだいたい全体の意味はわかるのだが、時々知らない表現が出てきて、その意味が前後関係や、その時の状況、映像などの言語以外の部分などからだいたい想像できる教材を選ばなければなりません。

 「聞き流すだけで英語がマスターできる」という広告が眉唾なのは、その教材が学習者にとって i+1 でないことがほとんどだと思うからです。大抵の人にとっては習得に使うには難しいことが多いと思います。

習得に使うのであれば本屋に行って教材を見て、トランスクリプション(テープの内容を書き取ったもの)を読んで全体の意味はわかるが時々わからないところがあるようなものを買いこれを時間が許す限り大量に聞くようにして下さい。

聞き流す教材の中には英語と日本語が両方とも入っている教材もあります。英語が流れてそのあとすぐ日本語の訳が流れてくるタイプのものです。この場合は日本語が聞けますから意味はすぐにわかりますので効率は良いように思われますが他の問題があります。

日本語の部分はわからないうちはいいのですが、いったんわかってしまうと毎回日本語の部分も聞くのが非常にわずらわしくなります。英語と日本語があると日本語のほうが印象が強いですから、日本語の部分のほうが印象が強く残り、英語の部分を覚えるさまたげになってしまうのです。

また半分の時間は日本語を聞くことになり、英語を聞く時間も半減しますから、時間あたりの効果も半分に落ちてしまうのです。 私は日本語の部分まで吹き込む必要ないし、入っていないほうがいいと思います。

何度も聞いても英語がわからない場合はトランスクリプション(吹き込んである内容を書き起こしてあるもの)やその日本語訳を読めばすむことだと思います。

耳で余計な日本語を聞くよりわからない部分だけを紙の上で確かめるという方法のほうが全然いいと思います。

もしも聞いてわからない部分が多すぎる場合はその教材は聞き流す教材としては難しすぎます。その場合ははじめからトランスクリプションを全部読んでわからない単語やイディオムも調べて内容を理解してから聞くようにしましょう。

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