111)11. ディベートと理論の最近のブログ記事

私が主催しているフィニックス英語学院ではプロジェクトワークという英語でグループ活動をするクラスがあってその中でディベートをやっています。

実際には2種類のディベートがあり、一つはロジカルプレゼンテーション、もう一つがドラマティックディベートといいます。(それぞれのディベートについてはまた別の項目で説明します)

ディベートの良いところは

1.英語の論理(ロジック)を学ぶのに役立つ

英語で何かを説明するときには英語のやり方があって、これを英語の論理(ロジック)といいます。どんな順番で説明するかとか、どんなスタイルで説明するかが英語の場合はっきりきまっていてその通り説明しないと英語の論理になれている人には説明している内容がなかなか理解してもらえません。

この英語の論理(ロジック)はビジネスで何かを説明するときや、大学などで学術的な論文や発表をするときにも使われるのでこれに慣れておくことは非常に重要です。

ディベートをやると理論でこの英語の論理をきちんと勉強しますから、英語で何かを説明する時にとても役立つのです。

2. 即興制が要求される

ディベートではあらかじめ用意されたスピーチだけでなく、相手かの質問に答えたり、相手の意見に反論しなければなりません。

相手は何を言うかはわからないのですから、即興的に相手に言っていることに反応し英語で説明しなければなりません。

これは英語を自由に使えるようになるためにはとても良い訓練になります。内容も政治、経済、社会問題などですから知的レベルの高い会話が自由にできるようになるのです。

Q.ちゃちゃを入れるようで申しわけありませんが、何故「英語」なんですか?日本語でちゃんとdebateできるんですか?

A.日本語でディベートをすることも、もちろん大切ですが、英語のディベートもとても良いスピーキングの練習になります。

英語の簡単な会話やスピーチで四苦八苦しているレベルでは難しいと思いますが。ある程度、英語が話せるようになったら、日常会話レベル以上のもう少し高度なことについても話す練習をすべきだと思います。その為にはディベートは役に立つと思います。

E.S.S.でやっているような、本格的なディベートは、準備等にもかなり時間がとられ、大変ですが、もっと身近なトピックについて、立場を決めて議論をたたかわせることによって、エキサイティングな会話を楽しむことができます。  

Q.先生をしていらっしゃるようですが、生徒さんをご覧になっていて、やはり日本語を論理的に話せる人ほど、英語も論理的に話せるようになる、というような、相関関係のようなものは、あるのでしょうか?お気づきになったことがありましたら教えてください。

A.日本語を使う時と英語を使う時と、その論理性まで使い分けている人はそれほどいないと思います。大部分の人は日本語でも英語でも同じような論理を使っているのではないでしょうか。

日本人はよく、論理的でないといわれていますが、日本人には日本人の論理があると思います。ただその論理が英語圏の人達の使う論理と違っているので、論理的でないと思われているのではないかと思うのです。

私は英語をやって、ディベートやパラグラフライティングなどを習ってから、論理が英語的なものに変わってきたように思います。日本語を使う時もやはり、英語的な論理を使うようになってきたような気がします。

英語の論理は非常に直線的です。結論からズバッと入って、後からその理由を説明するようなものが多いです。

それに対して、日本語の場合はまず理由の方を長々と説明して、最後に結論がくることが多いです。結論をあいまいにしておくことも多々あります。

だから英語の論理に慣れている人にとっては日本人の論理はまわりくどくて、ポイントがはっきりせずイライラすることが多いのではないかと思うのです。

私は大学ではESSに所属していたので、そこでディベートをやりました。授業そっちのけでエビデンスカード作りの為に図書館に入り浸っていたことを懐かしく思います。

私はディベートは英語スピーキング力向上に役立つし、英語的な論理の思考にも慣れるので勉強のためにはいいと思うのですが、個人的にはどうも好きになれません。すべてを理屈だけで解決するのは、無理だと思うのです。

私は実社会で大切なのは「人を説得する」技術だと思います。たとえ理屈で勝っても相手に「こんなやつとはつきあいたくない」と思われてしまうのでは何の意味もありません。あくまでも最終的な目的は「この人のいう通りやってみようと」思ってもらうことなのですから。

説得には「理屈」と「感情」の両方が必要です。アメリカの敏腕弁護士などは陪審員の感情に訴えるのがとてもうまいと聞きます。いわゆるアカデミックディベートはこうした感情面が無視されているので、理屈と証拠だけで勝ち負けが決まるゲームになってしまっているような気がしてならないのです。

そこで私が感情面を考慮した新形式のディベートスタイルとして開発したのがフィニックス英語学院で実践されているドラマティックディベートです。詳しくは下のブログをご覧ください。

ドラマティックディベートの作り方

Q.一般に、日本人は他の国の人と比べ、英語の流暢さが足りないと良く言われます。その代わり、文法は良く知っています。私自身も実際、海外経験からそのことを実感しました。どうやら韓国人にも同じ傾向があるようです。この傾向の原因はどこにあると思いますか?

また、英語でディベートをするとき、流暢さの欠如は説得力をある程度左右するような気がするのですが、実際どうでしょうか?


A.日本人の英語に流暢さが足りない原因は私は2つあると思います。

 1つは「英語を使う機会が少ない」ことです。流暢さは「英語を使う」アウトプットの量に比例すると思います。日本人は英語を話したり,書いたりする機会が少ないので、なかなか流暢に話せるようになりません。

 もう1つは日本人は「間違えることを恐れる」傾向が強いからだと思います。「間違えてはいけない、間違えてはいけない」と思っているといろいろなことが気になって流暢に話せないのです。

クラッシェンという言語学者はこれをモニター機能と言っています。いわゆるチェック機能ですね。これは適度にあれば、正しい英語を話すのに役にたつのですが、強すぎると緊張を生み流暢さを阻害してしまうのです。

ではなぜ日本人は「間違えることを恐れる」のでしょう? 私は理由は2つあると思います。

1つは日本の英語教育は文法の間違いをうるさく言うからです。日本人は受験勉強の中で、文法の間違い探しや、穴埋め問題をいやというほどやらされていますから、文法が気になってしょうがないのです。(そのくせ発音に関してはいいかげんです。)話したり、書いたりする英語が文法的に正しいかどうかいちいち気にしていたら流暢には話せません。

 もう1つは「他人の目を気にする日本人の国民性」です。日本は「恥の文化」だとルース・ベネディクトは「菊と刀」という本の中で言っていますが、日本人は回りの人にどう思われるかが気になってしかたがないのです。

これは他のトピックで話題にしている「耳からはじめる英会話入門」(中教出版)という本にも書かれています。変な英語を使うと回りの人間にバカにされるのではないかと思うから流暢に話せないのです

Q.一般の人間が英語のディベートを勉強できる団体があったら、どなたか教えてください。できれば東京周辺で。また、ディベート的な考え方を身に付けるのに良い本などをご存知でしたら、それも教えてください。

A.私の教えている学校には必修科目のプロジェクトワークや選択科目の中にもディベートのクラスがあります。

使用している教材は初級用は

Make Your Point : Debate for EFL Students Michael H.Lubetsky著 HARCOURT BRACE社  

中級用、上級用は

BASIC DEBATE Maridell Fryar, David A.Thomas, Lynn Goodnihgt 共著 National Textbook Company社  

ADVANCED DEBATE David A.Thomas, Jack Hart編 National Textbook Company社 の2冊を使っています。

これらは洋書なので日本語で英語の理論を学びたい方におすすめの和書としては

「頭を鍛えるディベート入門」 松本茂著  講談社ブルーバックス

「日本語ディベートの技法」 松本茂 著 七賓出版

などがあります。

松本茂先生はNHKテレビ英会話などでもお馴染みですが、名ディベーターとして有名です。 

 

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