102)2. 英語漬け教育とは?の最近のブログ記事

 Q.1 あなたに影響を与えてきた教授法を紹介してください。

A.1 今までの私に影響を与えてきた教授法をいくつか紹介したいと思います。

 1.松本 亨の「英語で考える」

 私の基盤になっている教授法です。私も含めフィニックスの日本人講師は全員がこの方法で英語をマスターしました。フィニックスはかつて東京松本英語専門学校という名前でした。TIEは「英語で考える」を独自の体系に構築されたボブ西崎先生が作られた学校です。 

 2.Richard Viaのドラマメソッド

Via氏はブロードウエイの俳優、舞台監督、ディレクターをされていた方で奈良橋先生はVia先生の教授法をもとにMLSという英語学校をつくられました。Via先生はNHK英会話入門を担当されている遠山顕先生の先生でもあります。

この2つがメインですが、他に私の通っていた筑波大付属中学で使われていたAudio Lingual Method、最近はやりのCommunicative Approach, ドラマと似たTotal Physical Responseなども使います。 また概念として影響を受けているものにNatural Approach, Total Immersion などやニューヨーク大学で学んだドラマ教育で使われるDrama in Education. Theater in Educationの手法などがあります。

 Q.2 赤ちゃんが言葉を覚える際の順序は聞く→話す→読む→書くの順番で、大人が外国語を学ぶ際もやはりこの順番に行なうのが一番効率的ということはないでしょうか? 日本の英語教育はいきなり第三段階から始めるため、後で僕のような苦労を強いられるような気がします。

A.2 おっしゃっている通り「聞く」「話す」をまずやるべきだという教授法は多数あります。こうした教授法の方が主流といっていいとおもいます。  

例としては日本の英語教授法に大きな影響を与えたパーマーのOral Method。これは私も属している語学教育研究所で多数の大学、高校、中学の英語の先生方によって教育現場への応用が研究されています。私は21世紀の日本の英語教育を変えていくのはこうした真摯な努力をされている先生方だと思います。

それから日本語をいっさい使わせないDirect Method。これはベルリッツで使われているので、ベルリッツメソッドとも呼ばれています。

私が筑波大付属中学の教育実習で使ったAudio Lingual Method, Graded Direct Methodもそうです。私は中学の英語の授業を英語だけで教えました。

Total Physical Responseは幼児が話せるようになる前に母親の指示に的確に反応できることに注目した教授法で学習者に教師の指示にしたがって動作をしていくことにより英語を身につけさせようという手法です。

実際のところ新しい教授法のほとんどは聞く、話すをやってから書く、話すに入ります。それは前にも言ったように「言語の本質は音」だからです。

私個人の意見としては学習の順番として聞けて話せるようになってから初めて書く読むを始める必要はないと思います。読む、書く、聞く、話すは同時に勉強してもかまいません。  しかし強調したいのは言語とはつづりの前に音があって、これこそが大切だということです。

英語を覚えるとは「正しい英語の音を覚える」ということです。最初に覚える時にいいかげんな音で覚えると、正しい音を聞いてもその音に反応できなくなります。すなわち聴き取れないということになります。また間違った音で話すことになりますから相手に通じなくなります。これがいわゆる「ゆがんだ」英語です。 覚える時にはテープまたはCDなどの音の教材を聞いて、それと同じように発音できるように覚えていかなければダメなのです。 「言葉は文字ではなく音が主人公だということ」は語学学習の基本中の基本です。

Q.3 子供はどのようにして言語を学ぶのでしょうか?

A.3 これはアメリカの大学で使われている教育心理学の教科書にのっていたことです。 幼児が初めて言葉を発するのは約1歳ぐらいだそうです。最初は"bah-bah"というような意味のない言葉ですが、幼児が意味を伝えようとして話しているのがまわりの人間にもわかるそうです。

2歳くらいになると言葉を組み合わせて2語の文をつくれるようになります。例えば"see boy"とか"my mommy"のようなものです。

3歳くらいになると文法的にもかなり複雑な、"Where my ball?""I want do it" "When Daddy come to home?"なども言えるようになります。

5歳くらいになると大人と同じような文法を使って日常会話がほぼできるようになります。

文字を習うのは親が教えない限り、学校で初めて習うことになります。私の娘は親が怠け者だったので小学校に行くまでひらがなが書けませんでした。

Q.4 子供は言葉を学ぶ過程で致命的な間違いを犯しても、かわいいねえって思われるだけで、許されます。でも、私たち大人が、外国語を学ぶ過程で子供と同じレベルの致命的な間違えを犯せば、知的水準を疑われることは必至です。

A.4 語学は間違えずに向上させることは不可能です。そして大人は子供と違って間違えることを恐れるのでできるようになりません。間違えることを恐れると緊張します。すると英語が頭の中に入って来ずらくなるのです。Natural Approachのクラッシェンはこれをaffective filterと呼び、語学学習者のaffective filterを下げること、すなわち学習者が子供と同じように安心して間違えることができる環境をつくってあげることの重要性を強調しています。

学習者が一生懸命、慣れない言語でコミュニケーションをしようとしているのに、間違いを一切許さず知的水準を疑うような人は、今まで外国語を学ぶ苦労をしたことがない人だと思います。少しでも外国語を学びその難しさを実感している人は相手の間違い対して寛容なのが普通です。

Q.5 一番大切なのは、言えなかったことを覚えておくことでしょ?そうしたら、誰かが言った時、どこかで聞いた時に、「そう言えば良いのか」って覚えられるから。(笑)

A.5 言っておられることは非常におもしろいと思います。つまり「人間は自分が言いたかったけれど言えなかったこと、書きたかったけれど書けなかったことは速く確実に覚える」ということです。それはその表現がその人にとって生きていく為に必要な表現だったからだと思います。 「必要は発明の母」という諺がありますが、「必要は言語習得の母」というのも真だと思います。

日本人の子供もまだ日本語が自由に聞いたり、話したりできなかった時はやはり相当な不自由を感じていたはずです。だから彼らには言語習得の必要性を日々感じていたのだと思います。 第2言語である英語を習得する場合もこの原則は変わりません。だから英語を速く確実に覚えたかったらまず自分自身を英語を使わなければならないような状況に追い込めば良いのです。

Q.6 フィニックスで英語漬け教育をしている理由はなんですか?

A.6 「人間は自分が生きていく為に必要な表現は速く、確実に覚えていく」ことは前に「必要なものは覚える」で説明しました。そしてその為には「自分自身を英語を使わなければならないような状況に追い込めば良い」ことも説明しました。ではどうしたらこのような状況に自分を追い込むことができるのでしょうか?  

フィニックスでは校内とその周囲100メートルを日本語禁止区域にして、その中で日本語を一言でも話した場合はその都度1000円の罰金を徴収しています。すなわちフィニックスの生徒は授業の内外にかかわらず英語しか使えないのです。休み時間の友達との会話も英語ですし、遅刻や欠席の電話も英語です。そのうえプロジェクトワークという英語のグループ活動をカリキュラムに採り入れているので生徒は日々の学校生活の中で膨大な英語を使うことになります。  

こうした英語だけの学校生活の中でフィニックスの生徒は「英語で言いたかったけれど言えなかった表現」に日々出会います。そしてそうした表現は彼らにとって必要な表現だったのでスポンジが水を吸うように吸収されます。

状況とともに適切な発音やイントネーションで覚えますから自分でもその表現をすぐ使えるようになります。だからフィニクスの生徒は短期間で英語が使えるようになるのです。  このような外国語浸け教育法を応用言語学の分野ではTotal Immersion(トータルイマージョン)と呼んでいます。Immersionとは没入するという意味ですが、これをここまで徹底してやっている学校は世界でもまれだと思います。

Q.日曜日のTV で 日本人の英語教育について放映していましたが、英語を勉強するには、自分が持つ好きなアイテムを活かして勉強をすることが一番ではないでしょうか?

花、園芸、ゴルフ、パソコン、料理、車、映画、等などいくらでもあります。アダルトが好きな人もいるでしょう。 何が趣味、好きかは本人しか分かっていません。これをみんな同じ本で皆で勉強する。好きなもの、好きなタイトルの英語の本 雑誌を読む事が早道だと思います。アメリカの犬は、犬でも英語が分かるそうです。ご意見をどうぞお願いします。

A.人間というのは「自分が好きなもの、興味のあるもの」はすぐ覚えます。「多少嫌いでも、どうしても必要なもの」も覚えます。その反対に「あまり興味がないもの、嫌いなもの」「大して必要だと感じないもの」はなかなか覚えにくいのです。 ですから英語を勉強する時は自分が好きなものを教材することが大切です。

日ごろ、ろくに日本語の新聞も読まない人に英字新聞を読ませてもおもしろいわけありません。でももしも読む教材がファッション雑誌ならもっと興味が沸くかもしれません。

日本の英語教育は生徒の個性を無視して、つまらない教材を全員に押し付けるから生徒はイヤになってしまうのです。

私たちの学校では、大学と同じように学期ごとに自分のクラスを選択していく選択履修制を採用していますから、生徒は興味がわき、自分にとって必要だと思われるクラスを選べるようになっています。

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