128)28. 音読の効果を考える: 2007年7月アーカイブ

128)28-07.音読の弱点

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こうして考えていくと音読はすばらしい方法のような気がしますが、音読には弱点があります。それは「速く読めない」ということです。

 音読する時は発声器官を動かしますから、発声器官を動かす速度以上には速く読めないのです。

私達がいろいろなものを読んでいるときは何も一時一句をしっかり読んでいるわけではありません。全体をざっと読んで要旨を把握したり、必要な情報だけをピックアップする時もあります。こうしたスキャニングとかスキミングということをする時には音読は向きません。

要は何のために読むのかということです。自分が使える表現を増やしたり、発音を良くするために読むなら絶対に音読です。でも速く大量のものに目を通し情報を得ることが目的なら、黙読・速読を選ばなけらばいけません。

日本語はどの言葉も似たような強さで読まれますが、英語は強くてゆっくり読まれるところと、弱く速く読まれるところがはっきりしている言語です。

英語を音読する時はこの強弱のメリハリをつけると英語らしく聞こえます。

この事については「語核と英語学習の章」にまとめてありますからご覧下さい。

音読に使う教材は自分が使えない英語が入っているものなら何でもいいでしょう。中学の教科書でOKです。

大切なことは決して自分勝手な発音で読まないことです。最初のうちはネイティブスピーカーが録音したカセット・CDなどを聞いてそれと同じように言えるように音読します。

間違った英語を脳に通してしまうと、正しい英語を聞いても聞き取れなくなりますし、自分で話す時も発音が悪くて通じなくなってしまいます。

発音やインオネーションに気を使いながらネイティブとできるだけ近い発音で読めるように練習します。 発音に自信のない人は音声教材つきでないものは使わないで下さい。

Q.理論的なアドバイスありがとうございます。そうかやっぱり効果はあるんですね。私は今中学の教科書を読んでいますがある本によると300回ぐらいよめば会話も楽になるとのこと。たしかに読むのがはやくなった気はするのですが、でも音読だけでは話したい内容を話せるようにはならない気がします。文を自分で作れるようになりたいのですが、何か言い方法はありませんか?

A.英語の学習とは脳というコンピューターに純粋の英語をいろいろな形で何度も通してやることによって脳の中に英語に反応する細胞や回路を作ることを言います。 音読は目、耳、口、声帯などをすべて使いますから脳に対する刺激が多い分だけ黙読よりいいわけです。

どのくらい読めばいいかということについては「本当に効果のあるところまでやるのであれば読んでいる英語を覚えてしまうまで」というのが答えです。 「英語を話せるようになる」ということは使いたい時にすぐ使えるように頭の中に英語を用意しておくことですから、音読は読んでいるものを本を見ないでも再生できるところまでやらなければいけません。

話す時に本を見なければ英文を思い出せないのであれば話せるわけありません。80回も読めば普通の人はほとんどの英文を覚えてしまうでしょう。

あたりまえの事ですが、音読するためには読んでいる単語の発音を知らなければいけません。音読していって発音がわからない単語にくるとひっかかって先へすすめませんから、この単語はどう発音するかなと思います。

「こういう発音かな」と思って辞書等で発音を調べると正しい発音やアクセント、単語の意味を確認することができます。

クラスで生徒に音読させると間違った発音、アクセント、イントネーションで覚えている単語をすぐ修正することができます。

あてられて音読させられることがわかっていれば、皆の前で恥をかくのはいやですから、学校に来る前に少し練習しておこうかという気持ちになるものです。またうまく読めたらほめてあげるともっとうまく読もうという欲もでてきます。

私は昔受験生に大学入試問題を教えていたことがありますが、入試の英文解釈の英文を音読させるとまともに音読できる生徒がほとんどいないことに驚きます。学校で訳やスペリングばかりテストにでるものだから発音できなくったてスペリングがわかって日本語に訳せればいいという感覚なんですね。

でも言語で本当に大切なのはスペリングや日本語訳でなくて、英語の音声なんです。英語を聞いたり、書いたり、読んだり、話したりする時はすべて心の中で英語の音声を処理しています。単語の正しい発音を知っているということは基本中の基本でこれがすべての出発点です。音読はこのことを認識させてくれます

黙読している時は心の中で声を出して読んでいるわけですが、これではスピーキングの練習になりません。

スピーキングというのはいわばスポーツのトレーニングと似ています。スポーツがうまくなるためには何度も身体を動かしていろいろなトレーニングをしますね。これと同じように英語が正しい発音で話せるようになる為には発声器官である、舌や唇や声帯を何度も動かして鍛えないといけないわけです。

音読をこなしていくと発声器官を何度も使いますから、だんだん舌や唇が英語の発音をすることになれてうまくなってきます。これが後で自分の言葉で英語を話す時にも役立つのです。

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