103)3-2. 「習得」(i+1の仮説)
ではまず「習得」Acquisition(自然に英語を学ぶ方法)にとって大切なことを2つ説明します。
まずは[i+1の仮説]です。 これは「言語は、習得した能力のレベルより1段階高いレベルのインプットを理解することによって習得される」というものです。[i+1]の[i]は現習得段階を意味し、これより少しだけ難しい[i+1]を推測によって理解することによって[+1]の部分が習得されるということです。 つまり現習得段階よりもずっと難しい[i+2]以上のものを聞いたり、読んだりしても習得は起きないし、現習得段階以下のもの[i]だけを聞いたり、読んだりしても習得は起きないということを意味します。
よく「聞き流すだけで努力なしで英語がマスターできる」的な教材がありますが眉唾ものです。学習者にとって聞く内容が[i+2]以上の場合が多いからです。わからないものはいくら聞いてもわかるようになりません。たとえば私はロシア語がわかりませんがロシア語の会話をテープで10000回聞いてもまだわからないでしょう。習得は起きないからです。 つまり習得のための教材としては内容が8割くらいは理解できるもので、状況や言語外の情報によって残りの2割が想像がつくようなものを選びこれを大量に聞いたり、読んだりすることが大切だということです。
また英語のレベルが低い人が留学しても思ったような成果が得られないのも留学して聞いたり,読んだりする英語が難しすぎて習得が起きないからです。留学は英語のテレビや新聞、雑誌の内容が8割くらいできるようになってから行くのが最も効果的です。それ以下の場合は結局現地の語学学校に入って学習者用にやさしくしてある教材で学ぶことになるのですから、日本の英語学校に行くのと変わりはありません。「外国に行けば英語は自然にマスターできる」というのはウソです。
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