107)7-02. コミュニケーションギャップは誰の責任か?
前回、私が「国際人としてあるべき態度は、いろいろな英語を幅広く認め、尊重していくことではないでしょうか。大切なのは発音や表現方法ではなくその人の話している内容だと思います」と書いたことについて少し説明を加えさせていただきます。
私は「発音や表現方法は適当でいい」と言いたいのではありません。日本人がモデルとして勉強する英語としてはやはり最も広く受け入れられるイギリス英語かアメリカ英語を選ぶべきだと思います。ネイティブスピーカーの発音を聞きそれになるべく近い発音で話せるように努力すべきですし、また正しい表現を正確に覚えて使えるようにしていかなければなりません。それは、こうすることがより多くの人に自分の英語を理解してもらうのに役立つからです。
しかし相手の英語を理解するということに関してはできるだけ寛容であるべきだと思うのです。 現実には世界ではいろいろな英語が使われていて、そのことによって様々なコミュニケーションギャップが生ずる可能性が増えています。その責任を誰が負うのかということが問題です。
たとえばシンガポール人がアメリカ人に英語で話している時に発音や表現方法の違いにより、わからないことが生じたとします。アメリカ英語が標準でシンガポール英語は偽者と考えれば、責任は正しい英語を話さなかったシンガポール人のみにあることになります。
しかし、シンガポール英語も英語の1つだと考えれば、責任は両者にあり、シンガポール人はアメリカ人に理解できるよう説明し、アメリカ人もシンガポール英語を理解しようと努力すべきだということになります。 私は後者の方が健全な考え方ではないかと思うのです。
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