107)7-07 国際語としての英語学習
最近の英語教材の傾向として、「国際語としての英語を教えよう」というのがあります。
昔は確かに以前は英語は英語を母国語としない人々が英語を母国語をする人達とコミュニケーションをする為のものと考えられていました。英語はイギリス文化や、アメリカ文化と結びついており、英語を話す時はネイティブスピーカーのやり方に合わせるべきだというのが一般でした。
しかし現在では英語は世界中の人々が互いにコミュニケーションするための国際語として考えられるようになってきました。すなわち英語を母国語としない人々同士がコミュニケーションするために英語を使うようになってきているのです。こうしたことを背景にしてテキストの内容にもいくつかの変化が出てきています。
まずテキストに登場する人物が変わりました。昔はアメリカ人やイギリス人の名前がほとんどでしたが、今では世界中の人が登場します。中国人、日本人、マレーシア人、タイ人などの他、イラン人、ケニア人、インド人、ロシア人など過去には見られなかった名前が多数出てきます。
内容も昔はアメリカ文化やイギリス文化をあつかったものがほとんどでしたが今では世界各地の風俗習慣がとりあげられています。
私は英語を母国語としない人々同士がコミュニケーションするのに必ずしもネイティブスピーカーのやり方を使う必要はないのではないかと考えます。それよりもいろいろな文化を背景にいろいろな種類の英語が使われるようになってきているのですから、そうした文化の差に敏感になると同時に、その違いに寛容であることが必要になってきているのではないでしょうか?
私は鈴木孝夫氏の国際英語の概念に基本的には賛成です。
もちろん、私も日本人が英語を学ぶモデルとしては、アメリカかイギリスの標準英語を選ぶべきだと思います。発音もなるべくモデルの英語に近づけるように最大限の努力をすべきです。
しかし、アメリカ英語やイギリス英語だけが正しい英語で、他の英語は間違った英語と考え、これを軽蔑することは誤りだと思います。インド英語も、フィリピン英語もアメリカ英語と同じ英語の1つです。私たちは国際社会ではこのような英語も聞きとっていかなければならないのです。最近のリスニング教材にあえて標準的な英語だけでなく、いろいろななまりの入った英語が取り入れられているのもそうした理由からだと思います。
また、あまりネイティブスピーカーのように話すことにばかりこだわっていると自分の英語にいつまでも自信が持てず、その結果、英語で自己主張することが恐くなってしまいます。「英語は度胸」だと思います。多少ブロークンでも相手にわからせてやろうという意気込みでどんどん自己主張していくことが話す力をつける秘訣だと思います。
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