107)7-05. 民族英語と国際英語
皆さんは慶応大学の鈴木孝夫氏が「民族英語」と「国際英語」というのを「武器としての言葉」(新潮選書)という中で説明しているのをご存知ですか?
「民族英語」とは英米二国の文化と伝統に裏うちされた、英米人の所有物としての英語を意味し、 「国際英語」とは異民族がコミュニケーションの為に使う共通語(lingua franca)としての英語を意味します。
彼は「これからの英語教育は「民族英語」よりも「国際英語」という視点をもって行われるべきではないか?」と主張しているのですが、この考え方について皆さんはどうお考えですか?
鈴木氏が提案しているのは、「英米の文化を背景にしない英語を学ぶことは可能なのではないか?」ということなのです。
「英米の文化を背景にしない英語は標準英語ではない、したがって英語学習はイギリスやアメリカを背景にした正統なものを使うべきだ」と考えることもできます。
また「発音や、表現方法はアメリカ英語やイギリス英語をモデルにするのはいいとしても、文化的背景までそっくり真似る必要はないのではないか?私達はアメリカ人やイギリス人のコピーになる為に英語を学んでいるのではない。」と考えることもできます。
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