139)39-02. 知的理解より感情的理解の方が先である

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理解というと知的に言葉の意味を理解するということだけを考えがちですが、実は理解にはもう1つ感情的理解があります。そして私は人間が言葉を理解するときは、知的理解より感情的理解の方が先だと思うのです。

たとえば赤ん坊が小さなブロックを口に入れようとします、母親はそれを見て「健ちゃん、ダメッ!」と叫びます。赤ん坊はビクッとしてブロックを口に入れようとするのをやめます。この時赤ん坊は「ダメッ」という言葉を知的に理解しているのではなく、母親の強い言葉の調子に反応して、「これはいけないことだ」と理解しているわけです。

逆に「いい子ね」とニコニコしながらやさしく話しかければ、子供はほめられていると思ってうれしくなるでしょう。これも言葉の意味を理解しているのではなくて母親の言葉の調子に反応しているわけです。

つまり人間は言葉の意味を理解する前に言葉の中の感情的に理解し、知的理解というのは感情的理解の後に来るのが普通だということです。

この感情的理解は日本の英語教育ではほとんど考慮されていないといっていいでしょう。しかし感情的理解は言語習得にとってとても大切な要素だと思います。

私が英語の音声教材を選ぶ時その教材の音声が生きているか(自然に本当の感情が入っているか)ということが1つの基準になるのはこうした理由からです。

スペリングを覚えたり、文を文法で分解して理解する前に生きた英語の音声を聞いてその音の中に意味を感じ取らなくてはならない(感情的に理解しなければならない)と思うのです。そしてその感情とともに英語を素直に覚えていけばストレスやイントネーションなども自然に覚えられ、英語を自然な調子で使えるようにもなります。

コミュニケーションでは情報を伝えるという作用とともに感情を使えるという作用もあります。日本の英語教育はあまりに言語の情報を使えるという作用のみに着目して言語を知的に理解しようとばかりしているから楽しくないのです。

コミュニケーションには感情を伝えあうという楽しさがあることを皆さんに是非知っていただきたいです。

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