06)5-6. ドラマメソッド(4):自分以外の人物の立場に立ってみる
ドラマのもう1つの特徴はもしも「自分がドラマの中の登場人物だったら」と自分以外の人物の立場に立ってみることによって、普段できない経験、ものの見方ができることです。
私がニューヨーク大学で学んだDrama in Education や Theater in Education はこの「想像上の世界で,自分以外の人の立場でいろいろなことを経験することにより、世界を体験的に理解すること」を利用したものです。
私が見せてもらった、イギリスの演劇教育のクラスでは歴史をドラマを通して教えていました。イギリスでペストが大流行した時のことを手紙や文献で再現し、自分の家族や友人が理由もわからずに死んでいく様子を生徒にドラマを使って経験させていくというユニークな授業でした。 これは歴史の事実をただ教科書で知識として覚えるのとは違った、体験的、感情的に歴史を理解させようという試みであり、詰め込み教育の日本ではまだ教えられていない方法だと思います。
ドラマとは「人の真似をすることだ」と勘違いしている人がいますが、それは違います。ドラマは「もしも自分が~だったら」という想像上の状況で生きることなのです。ロシアの有名な演技の指導者スタニスラフスキーはこの「もしも」のことを"Magic If"と呼んでいます。
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