108)8-03. 「語核」を強調した感情の入った英語を話そう
英語を話す時も語核(自分が最も言いたい単語)を強調すると、自分が言いたいことが相手にずっと伝わりやすくなります。
全体として日本人の話す英語はどの単語も同じような強さで話す日本語のクセが抜けず、強弱のない平板な英語になりがちです。日本人が何を考えているのかわからないと評判が悪い原因の1つはこの抑揚のない平板な話し方にあると思います。
以前、ドラマのところでお話したように、言語には情報を伝えようとする機能の他に、感情を伝えるという機能があります。そして感情は話す英語の語核を強調することによって、自然に入れることができるのです。
ドラマを英語教育に使うと良いところは、同じ英語の文であっても使われる状況によっていろいろな言い方ができることを教えられるところです。
次にあげる例は「英語を実用的に使う本」(森 喬伸 著)に書かれているものですが、どの語を語核にし、強調するかによって同じ文がいろいろなニュアンスの違いを持ってくることがよくわかります。
「英語を実用的に使う本」ワニ文庫 森 喬伸著 P41~P42より
I am going. についていえば、次の4つの意味の違いが,声の上げ下げと強弱でいいあらわすことができる。(〔 〕の中の単語が強調される単語です。)
(1)I am going.とふつうの読み方をすると「私はいきます」という気持ちを一般的にあらわす。ところが
(2)I am 〔GOING〕.とGOINGの部分で声を上げると同時に強く発音すると、「いくぞ!」という感じになる。どこかに一緒にでかけようと、亭主が待っているのに奥さんが長化粧。「なにをぐずぐずしてんだ」ということばが、のどまででかかっているときのセリフである。
(3)I 〔AM〕 going. と大文字のところを強く発音してみるとわかるが、どぎつく、ヒステリックに聞こえるはずだ。亭主にせかされた奥さんが「いくったら、いきますよ」と返事している状況である。さらに
(4)〔I〕am going. と「I」の部分を強めていえば、これは「誰か行ってくれますか」という質問に対して、「私がいきます」とみずから名乗りでるときの気持ちをあらわしている。
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