04)4-4. オーディオリンガルメソッドとコミュニカティブアプローチの違い
オーディオリンガルとコミュニカティブアプローチを私なりに比較してみると以下のようになります。
まずオーディオリンガルは、文法(structure)ベースの練習なのに対し、コミュニカティブアプローチは 1.状況(situation)ごと、例えば買い物や、道案内や、料理の表現など 2.機能(function)ごと、例えば人にものを頼む、反対の意見を述べるなどのどちらかになります。
私の出したインフォメーションギャップの例は最も単純なものであり、実際はこの上にコミュニケーションにリアリティを持たせ、生徒を「のらせる」さまざまな工夫が加えられなければなりません。これがなかなか一苦労なのですが、最近のテキストには先人が考案した、いろいろなアイディアが載せられているのでそれを使って,自分の教えるクラスの実情に合わせていけば結構うまくいきます。
こうしたコミュニケーションについてのアイディアはやはり日本語教育の教材より英語教育の教材の方が豊富で、私は日本語教師の教育実習をした時には英語教材からそうしたアイディアを拾ってティーチングプランを作っていました。
オーディオリンガルとコミュニカティブアプローチのもう1つの違いは、教師と生徒の関係です。 オーディオリンガルの場合はコミュニケーションは主として教師と生徒の間で行われます。生徒間のコミュニケーションというのはあまりありません。また教師は生徒が誤った英語を使った場合は即、直すべきという考えに立っており、生徒の発音、文法などの間違いをその都度直していきます。
これに対しコミュニカティブアプローチの教材は原則として生徒同士が英語でコミュニケーションする為に作られています。教師は生徒同士が話しているのを聞いて、必要があれば手助けしたり、誤りを直したりしますが、オーディオリンガルのような厳格なチェックはしません。それはコミュニカティブアプローチではお互いに意思の疎通をすることが最も大切で、正確な英語を話すことにこだわった指導をすると、かえって生徒間のコミュニケーションを阻害し良くないと考えられているからです。
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